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ベトナム

作成年月:2019年2月

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2019年1月度 ベトナム報告書

作成者:浅野 栄治

(1)ベトナムでの離職率と福利厚生

ベトナム北部では、離職率は0%に近い状況が続いていますが、ベトナム南部では年間で30%程度の労働者が入れ替わるなどの企業も出ています。高い離職率は、労働者の技術水準の低下を招き、生産性の向上を図ることが難しくなってきます。ベトナム南部では人材確保が難しくなってきており、労働集約的な加工から、徐々に設備を導入し、労働者数を減らし始めている企業も増えてきています。

 

他方で、高いスキルを持った労働者をつなぎ留めておくことも必要となりますが、単純に賃金水準を上げることだけが労働者のつなぎ止めに有効とは言えません。賞与水準も周辺国に比べれば低いですが、一部では、2か月分から4か月分程度を1年間で支給する企業も出始めています。賞与はテト(旧正月)の前に支給するのが一般的ですが、1か月分を超える賞与は、6月から8月ごろに支給し、賞与支給後の退職を防ぐのも一つの手です(テト前に賞与を全額支給すると、テト後に転職をするケースが多くなります。逆にテト前は賞与支給を期待して、人材の流動性が低い時期といえます)。

 

こうした給与や賞与だけでなく、福利厚生の充実も離職率の低下を図る一つの方法です。 ベトナムでの主な福利厚生には、@社員旅行、A忘年会・新年会、B海外での研修などがこれまで言われてきました。

 

この中で、@の社員旅行は、社員全員を対象に、バスで数時間の地域(南部の場合、ブンタウ、北部の場合、ハロン湾など)などから、最近ではLCCの発達により航空券が安くなっていることもあり、中部のダナンや南部のフーコック島などを訪問するケースも出てきています。

 

Aの忘年会や新年会も必須で、数百人規模で入ることのできるレストランがあり、労働者数が多い場合でもこうしたレストランを貸し切り開催することとなります。

 

Bの海外での研修は、高い成績を上げた社員に、日本本社やアジア各国の拠点にて数日間から1週間程度の研修旅行を実施することになります。実際に研修することによる技術の習得や現地スタッフとの交流による異文化理解やビジネスマナーの習得に有効です。こうした経験を積むことができることも、モチベーションアップにつながりますが、こうした経験を履歴書に記載し、転職を図る人材もいることから、海外での研修実施には一長一短があるといえるでしょう。

 

こうした従来からの福利厚生に加えて、近年では、資格取得への補助や民間の健康保険の付与なども見られます。

 

夜間の大学院や専門学校に通う労働者も多く、こうした学校が夕方18時前後から開始されることから、就業時間を早めに終わることができるよう配慮する、あるいは一部資格取得費用の補助を出す、資格取得後に給与水準を引き上げるなどを行うことにより、モチベーションを上げることとなります。もちろん補助を出すものは、業務の内容に近いものであり、会計や法律、パソコンなどが一般的です。

 

ベトナムの公的な病院は明らかにキャパシティをオーバーしている状況であり、高所得層の中にはベトナムの社会保険制度が使えない外資系の病院での診察を希望するケースもあります。こうした外資系病院での診察をカバーする保険は外資系保険会社だけでなくベトナムのローカルの保険会社からも出されています。月額数千円から1万円程度のものが主流で、出産などまでをカバーするものもあります。こうした保険を付与する企業は日系企業の中でもそう多くはなく、まして韓国系企業や中国・台湾系企業では付与している企業が少ないことから、離職率低下に高い効果があるものと考えられます。

(2) テト(旧正月)中の交通事情

テト前1か月程度は、あいさつ回りや新年の買い物などで都市部の交通渋滞が極めて激しくなる時期で、通常の倍近い時間を要するケースもあります。こうした移動にはタクシーが使われるケースが多く、通常、ベトナムではタクシーをつかまえることはそれほど難しくありませんが、テト前の時期は客待ちをするタクシーも少なくなり、また、短距離の場合乗車拒否をされるケースもあります。

 

また、航空券や鉄道、バスのチケットも極めて取りにくくなります。人の動きは、テト前は南部から北部方面に向かう人が多いため、ホーチミン市からハノイやダナンなどに向かう航空券は数週間前から満席になる状況です。他方で、テト後は、北部や中部から南部に向かって人が移動するため、同様にハノイやダナンからホーチミンへ向かう航空券が取りにくくなります。航空各社は、ホーチミン市・ハノイ間などの主要路線で24時間運航を続けますが、空席が確保できるのは、午前3時や4時台に出発する便に限られるなど、テト前後のベトナム国内移動には留意が必要です。

 

同様に海外からも帰国するベトナム人で混雑しますが、その反対方向の駐在員の自国への帰国やベトナム人の海外旅行で、双方向とも混雑している状況です。空港のチェックインカウンター、イミグレーション、手荷物検査場を通過するのに通常の倍近く時間がかかるケースもあります。

 

以 上


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