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作成年月日:2017年11月

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タイ国情報 2017年10月

1. タイの前国王の国葬からみる王室と国民との関係について

2. 日系企業の社内不正の防止策について

3. タイにおける輸送機関(自動車)の安全対策について

4. (事例)タイ市場に参入するための展示会の有効活用について

5. (質疑応答)トラックの運転手の給与をどう決めるか?



1.タイの前国王の国葬からみる王室と国民との関係について

2017年10月のタイのバンコク市内はプーミポン前国王葬儀関連のため、黒い喪服とマリーゴールドなど黄色の花が目立つ。タイ政府は前国王崩御1周忌である10月13日と国王の亡骸を火葬する10月26日は休日にした。10月23日はチュラロンコン大王(前国王の祖父にあたるラーマ5世)記念日でもあり、王室関係の休日が続く。ちなみに11月3日は先祖の霊を敬うロイカトン(精霊流し)でもある。昨年10月13日に前国王が崩御され、王室関連の一連の葬送の儀式が執り行われた後、10月29日から一般国民が王宮の戴冠式ホールに安置されているご遺体に別れを告げることができるようになった。その後、10月5日が最後の日となった。当日は朝受け付けた11万人を超える弔問の列ができ、翌10月6日午前2時18分に閉門されたのである。最近の報道では、337日の弔問期間に約1,300万人もの国民が弔問に訪れた。

この数字から、如何に前国王が国民から敬愛されていたか、わかる。

10月26日の火葬式は、王宮前のサナムルアン広場には祭壇が建設され、ご遺体を王宮からサナムルアンまで軍隊による葬送の行列が執り行われた。参拝者は、日本からの秋篠宮を始め、諸外国からの賓客9,000名を含み、25万人と推計されている。

また、全国76県の県庁にも王宮前の祭壇を模したミニュチュアの祭壇をバンコクから運び当日の参拝場所とされた。

 

(写真は、10/26に火葬が執り行われた建築物)

 

2.日系企業の社内不正の防止策について

10/4にバンコク日本人商工会議所の化学部会において「アジア地域特有の犯罪事情と犯罪者の心理に基づく対策」と題して、セコムの安斎哲夫営業課長から話を伺う機会があった。

以下は、講演の概要と、質疑応答を紹介する。

1. 企業が海外進出時に必ず遭遇する壁、言語、宗教、労務、税務、安全

2. タイ王国における犯罪傾向、社内不正・内部犯行が多い(タイの盗難事件の85%は内部犯行)

3. タイ日系企業における不正の状況

4. 内部犯行の事例と手口、普遍法則・罪の意識、量、インターバルは回を重ねるごとに、罪の意識は薄くなり、量は増え、インターバルは短くなる。しまいには、やらなきゃ損、という意識になる

5. 内部犯行対策の実態、対策の大原則(早期発見、早期摘発、徹底根治)

6. 不正が起きやすい職場の共通条件(@チェック機能が甘いなど機会環境がある、A処遇への不満などの動機、Bこれぐらいは、との正当化)

7. リスク管理、リスクマネジメント、リスクの評価をして、取り組むべき課題を決定(以上)

 

質疑応答

質問1)内部犯罪が顕在化した場合の、取るべき対策は?

回答1)5つの対策がある。@スタッフの配転、アウトソース、A保管場所の変更、Bカギをすべて交換して複製できないようにする、C重要なものがある場所の開閉には2名が立ち会う、D敷地内の出入り口での所持品検査、車載積載物の検査を実施。

質問2)正義感が強い社員が辞めると、危険信号との説明があったが、犯罪を内部告発する社員をどう扱えばよいのか?

回答2)内部告発者を保護する仕組みが必要、内部統制に、日本の本社も絡ませて、もしタイ語での告発があっても、翻訳機能を使うなど、本社での機能できるようにする。BLACK MAILとして、内部でもみ消しをされるケースもあるが、幹部全員が理解し、告発者のアドレスがわからないようにすること。

質問3)アジア特有の犯罪として、宗教的なものが絡んだ事例はあれば、伺いたい。

回答3)インドネシアで、内部犯罪を問い詰めた日本人幹部が、土足のままイスラム教のお祈りの部屋まで追いかけて、問い詰めた事例がある。日本人は、神聖な祈りの部屋に土足で入った、として現地で、宗教裁判にかけられて、結局国外退去をされた事例もある。 その他、ベトナムや中国も内部犯行が多い、という点では、共通性がある。 今回の講演を踏まえての感想としては、経営トップが、不正に厳しいという態度を示し、犯罪発生を未然に防ぐ手立てが重要だと感じる。

 

(写真は10/4JCCでの講演の様子)

 

3.タイにおける輸送機関(自動車)の安全対策について

2017年1月の年末年始の休暇から、バンコクに戻る大学生を乗せた近距離輸送用の最大15名まで乗れるワゴン車が、大型車両と接触して若い大学生が急死した事故があった。タイ政府運輸省は、今までも近距離用のワゴン車(乗り合いタクシー)の運転手が過労で、事故を起こしていることから、近距離輸送車を安全上の対策から25名まで乗れる小型バスへの返還を発表した。タイの鉄道、港湾、空港、鉄道および輸送車両のルールとインフラ整備の状況は貨幣の裏表の関係である。インフラが整備されるとともに、輸送車両が増え、逆に都心では渋滞を引き起こしており、高速道路では制限速度を超える運転が目立つ。タイでも2009年からコネクテッドカーの実証実験が行われ、自動運転と安全確保の課題が浮かび上がってきた。特に、インフラが整備されない都心の路地、また地方都市の幹線から村落への簡易な輸送手段としてソンテウという貨物自動車の荷台にベンチを置いて簡単な乗り合いバス風に仕立てた輸送、近距離輸送でバスでは乗客数が満たないが、少人数ならバスよりも早く送迎できるワゴン車の利用が普及した。

バンコク都内と郊外を結ぶだけでも1万台近くあり、郊外と郊外でも数千台の活用があった。

しかし、少額で稼ぐために運転手には過大な労働が課せられていた。このため、最初に紹介したような居眠り運転など、安全対策が行き届かなった事例である。

もし今後、ワゴン車の路線免許の更新時期に小型バスに切り替わるとすれば、相当数の需要が発生する、と見込める。

一方、欧米系のVOLVOやSCKANA、日系の日野、いすゞなどの大型バス、トラックは、従来から安全運転のを確保するナビや運転レコードの記録など、交通ルールの順守に向けた補助器具が設置されていた。今後は、自動運転の流れで、タイの交通ルールや路上を走る車種が変更するのかどうか、長い目で確認をしたい。これらの点は、タイの輸送業界だけではなく観光、ロジステイック面も変化が起きる可能性がある。

整理すると、ハード面の安全性確保は時代の流れであるが、同時に運転手の確保や安全教育面ではまだまだ課題が多いと推察される(後半の、運転手の給与の決め方も参考に)。

(10/12に訪問したタイの輸送車両製造会社TRUI、近距離輸送がワゴン車から小型バスに)

 

4.(事例)タイ市場に参入するための展示会の有効活用について

10/18から開催されたThai Style展で、日本から出展されていた中小企業者に的を絞って、海外展開の中で展示会を活用する方法と、同時に海外市場開拓が可能な、人材確保について紹介する。

 

そもそもこの展示会は従来のギフトショー、ハウスウエアショーとジュエリー宝石ショーおよびアパレル・ファッションショーが、同じタイ商務省の主催で、類似の業界関係者を呼ぶことから、今年度から3つの展示会が、一つにまとまったもの。たまたま、会場であるバンコク都のバンナ地区にあるBITEC国際展示場が拡張工事がなされて従来の1.5倍になり、またBTSの近い部分にオフィスタワーも建設され、将来の副都心形成にも役立つ大規模商業施設となった。

 

ところが、2016年10月の前の国王の崩御とともに、官公庁は1年間の服喪期間であり、大きなイベントの中止と、爆竹などの大音響は禁止されるなど、消費生活は比較的落ち着いた動きであった。消費者物価も年間1.5-2%程度で、比較的安定をした。

言いかえると、ベンツやBMWなど欧米の高額車両は景気に左右されない上流社会、高額所得者の消費にあって前年比のプラスとなる売れ行きが続いてきたが、二輪やピックアップなど地方都市、農村向けの商品は前年比マイナスの動きであった、それをカバーしたのが海外市場で、タイ政府は海外の展示会や国内の展示会を振興して、将来の輸出拡大に力を入れてきたのである。Thai Style展では、デザイナー商品など、一部も意欲的な消費を刺激する商品もあったが、全般的に注目されたのはハウスウエア商品や衣料でも実用衣料が比較的商談があったようだ。

 

さて、最初の日系のSMEであるが、取材すると、今まで海外のギフトショーには出展したことはなかったが、縁があってタイ人と知り合い、タイでの展示会の出展に至った、とのこと。そのため、今までの展示会での商談の進め方、商品説明などタイ語の説明が足りないなど、現地での販売促進に関しての準備不足であった。たまたま、今回は出展費用に補助を受けたせいもあって、負担が大きくなかったが、次回からは、何を準備すればよいのか、大いに学んだとのことであった。中小企業こそ、現地事情に明るい方を外部の知恵として活用する、また、JETROを始め各種中小企業の支援機関の活用をお勧めした次第である。

 

(写真、10/18-10/21商務省主催のStyle展会場のBITEC)

 

5.(質疑応答)トラックの運転手の給与をどう決めるか?

(質問)

お願いがあります。もしわかれば、タイの現地輸送トラック会社のドライバーの給料(相場)を教えていただけないでしょうか?タイH社に何度も聞かれていており、対応に苦慮しております。もし判ればで結構ですので、よろしくお願いします。

 

(回答)

職種別の給与は、勤務条件や会社の規模や歴史によって異なります。

 

例えば、タイの地場のA運送業に聞くと、

「弊社では、6輪の運転手の給料は込込みでTHB19,000からTHB21,000ほどです。10輪の場合はTHB20,000からTHB22,000ほどです。ドライバーの基本給は変わりませんが、運行手当てで差が出ます。日系の運送会社の給料は弊社よりも5-10%程度は高いと思います。」

 

B氏に聞くと、次の通り。 「6輪か10輪かで違いますが、だいたい12,000〜13,000バーツ/日です」

 

C氏に聞くと、次の通り。 「コンビニの配送車は、委託料で配送をしている。その場合荷物1kg当たり10THBで配送する契約を結んでいる、らしい」

 

タイでは、職種別の一般的な相場がないため、個別の職場で決めていくことになります。もし参考になると思われるのであれば、バンコク日本人商工会議所(JCC)に加盟する製造業、非製造業に勤務する高卒ワーカーの給与、年齢を考慮して比較されては如何でしょうか?

(出版物は、販売されています。問い合わせ先 JCC:www.jcc.or.th)

 

例えば、30歳のワーカーの実在給与も幅がありますが、それと比べて大幅な格差があればワーカークラス、運転手クラスはすぐに他の企業、職種に転職をします。

1.やめてもらいたくない場合、同じ学歴と勤務年数の友人と比べて安すぎないこと

2.やめていただきたい場合、この数値を見て、給与の引き上げをしない、または残業をさせない、とこでしょうか?

H自動車のお客様に説明されるのであれば、製造業の現場のワーカーと比べて劣らない水準をと助言されてはいかがでしょうか?

ずばりの回答になりませんが、参考に。

なお、地場企業と日系企業と比べる場合、一般的には日系が高い、ようです。 タイのS一流企業と合併したY運輸の場合、日系のY運輸と言っても運転手が集まらなかったが、S社と合併して運転手を募集したところ、思いもよらない優秀な運転手が集まった、と聞きました。日系企業でも、運転手は転職の多い職場ですから、給与以外にも待遇の面、人間関係など工夫がいります。

(写真は、タイの宅配業者のトラック)

 

以 上


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