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タイ

作成年月日:2017年10月

海外情報プラス

タイ国情報 2017年9月

1.タイの自動車市場と求められる情報収集力に関して

2.タイの医療産業参入について(地方行政の支援とJETROの支援)

3.日タイ企業連携について(日本からの経済ミッションでは何が生まれたのか)

4.(事例) タイの滞在ビザ延長について

5.(トピック) タイ企業が海外からの技術移転をどう吸収しているのか



1.タイの自動車市場と求められる情報収集力に関して

9/1に開催されたバンコク日本人商工会議所(JCC)自動車部会にて紹介された四輪と二輪の市場について紹介する。

2017年1-7月の販売台数は47.5万台で、前年同期に+11%である。2015年の税制改正による影響で2016年初めに低迷した反動と、景気回復の基調にあると、業界ではみている。二輪市場については、2017年1-7月は10.8.5万台で、前年比104%である。2016年から4年ぶりに前年比増加に転じた。背景には、2017年初頭から農産物価格が上昇に、機種別に農村部でよく使用されるアンダーボーン市場(53万台、前年比108%)によって支えられている。

業界としての懸念材料として報告されたのは2018年から海外輸出に関して、軍事用と民生用の申告は必要になり、しかも詳細の規定が2018年に実施と同時に紹介される動きがある。このため、タイの工業連盟とJCCが協力して、予告期間の設定と実施時期の猶予を求めているとの説明があった。

最後に、菅田道信部会長(タイトヨタ社長)から以下の見方が紹介された。

 

1. タイの市場構造が変化している。タイ政府の自動車の電動化の動きについても目を離せない。インフラ整備、消費者の動向に注意したい。

2. 景気回復のスピードは徐々に上がってきた。2012年のタイ国内市場規模140万台は需要の先食いという面があるが、2016年の77万台を底にして2017年は90万台に到達するとみている。

3. タイ以外のアセアン諸国についても注目したい。

4. 6か国合計で302万台が340万台に達するとみている。インドネシアは金融市場に不透明さがあり、ベトナムではアセアンFTAによる関税撤廃の影響が2018年に発足するため、買い控えとみられる。フィリピンは駆け込み需要があり、2018年委は45万台になると推測している。タイ市場の回復基調がアセアン市場の回復に影響を与えている。

 

上記のように、タイの自動車市場を単独でみるのではなく、アセアン各国の政策、関税制度の動きなど見ながらタイの自動車業界の経営判断がされる。人材の育成についても、今後はますますグローバル化の中で、必要な情報収集力、判断力が求められている。

 

 

(写真は、9/1に開催されたJCC自動車部会の様子)

2.タイの医療産業参入について(地方行政の支援とJETROの支援)

2011年の福島原発事故による影響で、福島県の産業施策は大きくかじ取りを変えられた。内堀知事をリーダーとして、大きな挑戦をし、新しい福島をつくろうとする動きである。 伝統を受け継ぐとともに、新しい産業、市場を求めている。 まずは福島産の原発事故からの復興の実情を伝え、同時に農産物の海外輸出、観光振興を図っている。産業分野では、再生可能エネルギーの振興、日本国内でも医療関連産業が集積している利点を浮かして、海外にも発信をする動きがある。

9/7-9/9に開催されているMedical Fair2017年に福島県として参加するとともに、9/7にはJETRO Bangkokと共催して医療セミナーが開催された。

同セミナーでは商工労働部長の基調講演とともに福島の医療産業を支える代表企業から実例の紹介があった。この技術をタイ企業にどのように伝えるか、今後の課題である。

県では、医療技術に必要な安全性評価への支援、人材育成、市場開拓へのコンサルテイングと取引先の紹介の4点から県内の中小企業を支援している。今回の展示会とセミナーはその一環であった。

募集期間が短かったせいか、セミナーの受講者は少なかったが、最初の試みとしては成果があった、と思われる。これ以外にもタイ企業との商談の機会をどのようなルートで探し出すのか、が、課題であろう。JETROのみならず、日本政府が医療の海外展開を支援する仕組みを有効に活用されると、成果が上がると思料される。そのためには、海外に展開する福島を基盤とする地方銀行などのネットワークの活用も課題であろう。

なお、セミナーの終了後、参加者を招いての交流会ではタイ政府や参加企業と福島県の行政関係者が率直に意見交換されて、有意義であった。

 

(写真は9/7の福島県の医療産業振興セミナーと医療機器展の福島県からの参加者)

 

3.日タイ企業連携について(日本からの経済ミッションでは何が生まれたのか)

9/11-9/14まで世耕弘成経済産業大臣を始め日系企業500名あまりの経済ミッションがタイを訪問した。

9/11の初日は、首相官邸に招かれてプラユット首相の歓迎の挨拶とともに、タイへの投資に関しての講話があった。当日は、参加者が多いため、グループごとに記念撮影をするなど、日系企業の一行への温かいもてなしがあった。

9/12は日系企業向けのJETROをはじめとする各種団体の主催による投資セミナーである。ソムキット副首相からタイ政府の長期ビジョンについて、ウッタマ工業大臣の産業政策、タイ政府投資委員会(BOI)ヒランヤ長官の投資奨励策の紹介があった。夜は、参加者を歓迎するレセプションも開催された。

9/13は東部経済回廊地区の視察会で、バス数十台の移動セミナーがあった。

9/14は中小機構(SMRJ)とタイの中小企企業支援機関の共催で中小企業向けの投資セミナーであった。SMRJの高田坦史理事長からは、タイ企業の日系企業の提携、連携が重要だとして、いくつかの案件の紹介もあった。このセミナーでも終了後は、タイ企業の日系企業のマッチング交流会もあった。

では、今回の経済ミッションはどのような効果が生まれたのか? タイの経済新聞やテレビでは日本からの大型ミッションの様子が大きく報道されるとともに、日本の新聞では、日経新聞が今回の経済ミッションに関して報道されていた。

成果としては、タイ政府、日本政府の各機関の交流促進、経済団体同士の交流促進を図る覚書の締結があった。

民間企業レベルでは、日本の技術志向のエンジニアリング会社、F社と、タイの高付加価値産業に転身を目指しているNグループとの協力関係の覚書の締結が紹介されていた。F社のO社長は、「これは今後の協力関係のスタートである。日本でのIoTやAI技術をタイ政府が目指すタイランド4.0の中でのタイ企業の技術向上に貢献できれば幸いである」と説明された。

(写真は、9/11タイ首相府官邸と訪問した日本からの経済ミッション)

(9/12に日タイの企業が協力関係を結ぶタイのN社と日本のF社の覚書締結)

4.(事例)タイの滞在ビザ延長について

毎年のことであるが、ノンイミグレーションビザの更新では、手間がかかる。法人決算とともに過去3か月の社会保険料の納入証明、毎月申告する付加価値税の申告、納税証明とスタッフの写真、自社ビル以外はオーナーとの賃貸借契約、健康診断が必要である。毎年小さな変更がある。今年は大きな通りから会社の所在地まで、小さな路地の入口も写真に紹介して、係官が間違いなく自社まで来れるように案内が必要である。この申告を受理してから、正式なビザ発給まで1か月。その間に、労働省の雇用局に申告して労働許可を得る。事務所を開設した2004年から14回目の申告である。

たまたま、車の免許の期限が切れるので、正式なビザ発給前に陸運局に行くと、ビザの仮申告だけではだめで、正式な許可を得たうえで、再度申請するようにと指導を受けた。ビザ、労働許可がないと、免許の更新もできないのである。もちろん、法人の銀行口座の開設など、ビザがないとお金を動かすことすらできない。

短期間の滞在で外国人が修理作業や会議の参加のためには、雇用局に通知するだけでも良い手続きがあるが、会社業務を遂行する上では、ビザと労働許可は必須の条件である。

タイ政府投資委員会(BOI)は専門家の来訪を促進するためのセンターを設置したが、この手続きが1か所で済ませることと、ビザの期間を最大5年とする。確かに、毎年のビザ更新は1日がかりで、今回も朝8.00の申告であったがほかの申請者が多いため、夕方18.00過ぎに、正式なビザの取得日を通知された。1か月後の正式ビザの取得日に、再入国ビザの申告するため、再度、移民局を訪問。これは午前中の申告で正午前に係官に面談して申請書類を渡すと、午後まで待機していた弊社のスタッフが持ち帰ってくれた。準備を始めて2か月あまり。各書類の準備に時間がかかるのである。もちろんBOI恩典企業は1か所でビザと労働許可が取得、更新が可能であるが、すべての企業がBOI恩典取得企業ではない。タイで事業を遂行する上での行事でもある。

 

(写真、移民局では残業をしてもその日に申請された方への対応をする)

 

5.(トピック)タイ企業が海外からの技術移転をどう吸収しているのか

タイの製薬機械メーカーからスタートして、今では医薬業界の容器、サプリメント、ペレット生産など多方面の事業をするNグループと、日本のF社が提携をすることになった。これは2017年の7月に開催されたインダストリアル・エキスポにF社もN社も出展したことから、タイ工業省の肝いりで、両社が互いのブースをみて、興味を持った技術の導入を図ろうとしたもの。9月の日本からの経済ミッション滞在中に、政府間の協定締結とともに民間の業務提携の覚書締結の1事例でもある。

F社では、日本のIoTとAI技術をタイに持ち込み、タイでのモノづくりに経験者の知恵をAIにて大量のデータから最適の製造管理をできる技術をタイに移転するアイデアがある。

そのため、9月に2回、N社の工場を見学して,F社の持つ技術の導入可能性を探っているのである。同時に、N社の技術水準を学ぶため、工場を訪問したところ、ドイツ製のWater Cutterの原理を学んで中毒性のポンプを使い、生産したWater Cutterや日本の生産機械のコントローラーなどすべて自社製に改造された機械なども見ることができた。

聞くと、製薬機械の一部は、10年前に日本の大手機械メーカーのK社と技術提携をしてエンジニアを1か月間、日本に派遣したこともある。技術者出身のオーナー企業だから、技術の導入には熱心で、それがゆえに欧州の製薬メーカーにも機械を納入するほどである。

社内には、日本製を始め、欧米の加工機械がたくさん置いてそれぞれが稼働できるようにハード、ソフトともに改造できる力を保っているのであった。

両社の技術提携が順調に進むように期待をしたい。

 

(写真は、N社のオーナーと開発した製品のサンプル)

 

以 上