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タイ

作成年月日:2017年4月

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タイ国情報 2017年3月

今月は、年度末にかけて多くのセミナーがあり、また、3/29-4/9までモーターショーも開催されるなどイベントがありました。例えば、タイ国商業省と日本政府経済産業省共催の貿易管理セミナーや、東京都立産業技術研究センターと首都大学東京との共催のセミナーなどのセミナーがありました。それらの催しに参加すると、基本は人材次第だな、と感じることが多く、今後の日系企業がタイで事業を継続するため、あるいは、これからタイに進出されるであろう日系企業のためにも、伺えた情報の一部をご紹介します。

1. タイの通信技術の高度化と人材育成、輸出管理制度の枠との調和を求めて

2. ものづくり企業交流会(3/2)と産官学の共同研究

3. タイの創薬開発センターと日本製薬メーカーに求められる課題

4. 技能実習制度のタイ送り出し機関の研修の実態

 



1.タイの通信技術の高度化と人材育成、輸出管理制度の枠との調和を求めて

タイ政府は、タイランド4.0を目指してタイの産業の高度化を図っている。特に、地方の農村にもインターネットの普及を目指し、地方の産品を自らの力で都会や海外に売り出せるように狙って予算を配分している。その地方のデジタル化を推進するのがタイ電力公社(TOT)である。

現在、デジタルエコノミーを地方にも普及させるネックは通信回線が脆弱なことから、東西南部に光ケーブルを敷設する事業を展開し、その一部に日系企業の光ファイバーが使用されている。TOTの受注はタイの大手IT企業が受注をしているが、実際の施工に日系エンジニアリング企業が入っているのである。

先日、日系のN社を訪問して実情を伺うと、施工には相当程度高度な技術が必要である。特に銅ケーブルではなく光ケーブルとなると、接続部の施工技術がかなり高度化する。

そのため、同社では、タイ人スタッフの指導のため、数年前から日本で数名のタイ人の長期研修を行うとともに、日本から技術者を送り出して現場でタイ人の技術者を指導している。

課題は、現場で使用する機器が輸出管理制度の規制に係らないかであるが、幸いにも工作機械ではないため、大きな支障にはなっていない。

もし、光ケーブルの現地生産というような段階になれば、製造機械に関しては各種規制の対象になる恐れもある。技術移転といってもそれを妨げる規制が残っていることもあるのである。

(写真は3/2タイの商務省と経済産業省共催の貿易管理制度説明会)

2.ものづくり企業交流会(3/2)と産官学の共同研究

3/2に東京都中小企業振興公社、東京都立産業技術研究センター(都技研)と首都大学東京との共催のセミナーがあった。

大きなテーマは4つあった。

1) タイの製造業における自動化の現状と今後の展望

2) 自動運転と制御系セキュリテイ

3) 自動車の電動化とパワーエレクトロニクス

4) 金属3Dプリンターの特徴と活用方法、など。

これらは、日頃、バンコクでは生の情報を入手することが難しいテーマであったが、東京都の関連機関がバンコクに事務所を開設して1年を記念して開催されて取り上げたいただいたテーマであった。

なかでも、日本では産官学の共同研究がなされる実情なども紹介されたが、タイではどうすればよいのか?

大手企業では、すでに工学系の有名な大学に冠講座を開設したり、奨学金を支給するなど日本と同様の仕組みを導入する企業もある。2017年2月にも紹介したが、経済産業省の外郭である海外産業人材育成協会(HIDA)の制度で、冠講座を開設したい企業にも応援する仕組みがある。

また、東京都技研では、一部の経営課題にはTV会議を通じて、タイ進出企業の課題に答える仕組みもあると、紹介されている。都技研では、日本の出身が東京都でなくても相談できるとの説明もあり、人材育成面では大いに活用すべきであろう。

(写真は3/2ものづくり企業交流会の様子)

 

3.タイの創薬開発センターと日本製薬メーカーに求められる課題

3/17バンコク日本人商工会議所(JCC)の医薬分科会でタイのライフサイエンス研究機関(TCELS)のCEOのDr.Nares Damronchaiの話を伺う機会があった。TCELSは、研究機関と事業家を提携させて、研究の種を市場に売り出す道をつくる創薬開発センターの役割を果たしている。世界の潮流は再生医療、細胞医療を目指す流れがある。創薬開発センターは、タイの有名大学、科学技術庁、医学部、政府厚生省の医薬局、全国の病院連合、民間病院の連合、FDAなどが背景となって生まれた機関である。TCELSは日本の医薬品医療機器総合機構(PMDA)とも連携がある。

実際に創薬と言っても成果が出るまで数年、数十年かかるものもある。

Dr.Naresによると、タイでは、20年前にタイに医薬品の研究所、製薬メーカーが減少をしてきた。その要因は、研究員の人材不足である。そのため、Dr.Naresは、大学を卒業して、医局に入る前の学生と海外の研究者の交流が図れないか、との提案があった。

日本でも医局員の不足が叫ばれる中で、アセアンの大学で医学を学ぶ学生を日本で研修生として受け入れることは可能ではないか、との質問であった。ちなみに、Dr.Naresは東京工大を卒業後、ケンブリッジで修士号を納めて1999年からバイオ生物学の研究に従事をされてきた。

(写真は3/14 JCC医薬分科会のセミナー)

4.技能実習制度のタイ送り出し機関の研修の実態

開発途上国等には、経済発展・産業振興の担い手となる人材の育成を行うために、先進国の進んだ技能・技術・知識(以下「技能等」という。)を修得させようとするニーズがあります。我が国では、このニーズに応えるため、諸外国の青壮年労働者を一定期間産業界に受け入れて、産業上の技能等を修得してもらう「外国人技能実習制度」という仕組みがあります。

http://www.jitco.or.jp/system/seido_enkakuhaikei.html

今回は、タイの送り出し機関の取材する機会があったので、実情を紹介します。

 

1) アジア日本語学校(www.aji-school.com)

まずは、日本での技能実習に不可欠の日本語能力取得が目的である。 同校では、基礎クラス、文法@、文法A、会話クラス@、会話クラスAの5つのクラスがあります。6か月で、日本語能力4-5級を目指している。

2) タイアサワラート

1997年創業の人材送り出し機関である。全国の職業訓練学校(短大)と提携して、地方からタイ・バンコクで学ぶ機会を与え、それとともに、日本側の受け入れ機関と連携して、就職活動を行っている。教材は「みんなの日本語」を使っているが、入門から3か月は、タイ人教師による指導。4か月目からは、日本人による授業とランクごとに進級をできる体制に整えている。

3) 若手の意欲が日本語学習を

同行の学生たちの日本語習得レベルを伺うと、3か月である程度の日常会話が理解でき、5-6か月ともなると相当程度の論理的な意思疎通も可能である。実際に日本で企業に入った場合の理解について伺うと、指導される方の配慮でかなり早く日本の生活に溶け込むと、いわれれる。

4) 日本から帰国生の再就職も

現在、3年間の技能実習制度が日本国内の労働者不足もあって、今後、5年程度に延長の可能性がある。同じ企業間で、日本とタイで働く場合は、同じ会社に戻る可能性もあるが、日本の中小企業はタイに法人を持たない事例が多い。そのため、同社では、帰国生の再就職も世話をして居るが、ほとんど帰国するとともに再就職が決まる。

5) 大手企業から、社員研修に

日本の自動車産業では、現場の要員が不足することから、タイ国内で採用して、同社に日本語などの研修を委託し、そのうえで日本で現場作業を任せる事例がでてきた。 新しい、動きともいえる。

6) タイの警察での無犯罪証明

たまたま、タイの警察本部に伺う機会があり、無犯罪証明を発行する部門で、18-20歳の若者たちの集団が見受けられた。ユニフォームには、ある海外に労働者を送り出す機関の名前があったが、彼らは、証明書が発行されるまでの期間に、外国語を学びそれぞれの受け入れ国に出稼ぎに行く集団だと推察できる。

(写真はアジア日本語学校の授業風景)

 

以 上