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タイ

作成年月日:2015年6月

海外情報プラス

タイ国情報 2015年5月

今月ご紹介する内容は次の通りです。

1. 社外行事に参加する際の交通事故について

2. タイ投資委員会(BOI)の自動車部品業界の課題について

3. タイの大学が実施するインターンシップについて

4. バンコクで各種法務、労務の情報を集める方法について

5. (参考)日本とタイの中小企業の事業継承と廃業について

1.社外行事に参加する際の交通事故について

タイでのリスクとして交通事故がある。たまたま、5/12夕方に開催されたサムットサコン県の水産業界の情報交換会に幹事の出席がなかった。

当日、代理で幹事役を務めた方に聞くと、会場に来る途中に単車の事故で骨折したため欠席するとのとことであった。

そのため、交通事故に関する資料をみると、世界保健機関(WHO)がまとめた2010年の人口10万人当たりの交通事故死者数は、タイが38.1人と世界で3番目に多かった。1位は人口1,500人程度の島国ニウエ で68.3人、2位はドミニカ共和国で41.7人だった。

 

2011年の登録車両台数     2011-2012年の交通事故件数
  (参考)Department of Land Transport, http://www.dlt.go.th/th/

交通事故の原因は次の通り。

1. 酒酔い運転35%

2. 無免許運転33%

3. 逆走30%

4. 運転中の携帯電話使用26%

5. 黄信号無視22% 6. 赤信号無視15%

(参考)

http://www.who.int/violence_injury_prevention/road_safety_status/2013/country_profiles/en/

交通事故に対する公的な補償はどの程度あるか、みると次の通り。タイでの交通事故と日本の強制保険を比べると、日本では死亡事故で120万円の補償があるが、タイでは54,000バーツである(約20万円)中小企業の多くの工場では、通勤のバスも出せないため、社員は徒歩、公共バスと単車での通勤が多い。もちろん、通勤途上として会社が補償する場合もあるが、中小企業はそこまで面倒を見ることは少ない。

そのため、突発的な事故で社員が出勤しない場合の対策とともに、日系企業では任意でも社員に保険加入を勧めるなどの対応をされていることがある。

ちなみに、情報交換会に参加できなかった幹事にその日の事情を聞くと、路面が冠水のため単車が滑って事故を起こした、とのことであった。事故で道路の陥没など道路管理者の不備を追及する動きはあるが、この点もタイでは自己責任となるのである。

(写真は、バンコク市内の交通渋滞)

2.タイ投資委員会(BOI)の自動車部品業界の課題について

5/13にBangkok のBITEC会場で開催されたタイ政府投資委員会BOI主催自動車部品産業セミナーを紹介する。今後の部品産業の長期、短期の課題を考えてみた。

参加者からは次のように長期の課題の質問があった。たとえば、アセアン共同市場AECが形成されて、自動車部品業界どう変化するのか?

また、将来のタイでの電気自動車の普及や方向性はどうかなど真剣な問題が提起された。 短期の課題は、円安による現地調達の変化など、複数の自動車メーカーでは欧米向けの自動車生産は現地生産ではなく日本から海外に送る事例もある。

部品業界の本質的な課題としては、部品の共有化、サプライテェーンの変化、メーカーからの技術的な支援なども質問としてある。

タイのエコカーとインドネシアのLCGCとの比較についても質問があった。 自動車メーカーから今後のキーワードとして新興国、エネルギー・環境問題が重要だと指摘された。部品業界としては、自動車メーカーが求める方向について絶えず研究するとともに、工場の分散にどのように対応すべきか? 技術進歩と環境変化に対応するには基本的には人材育成が重要だという、基本的な結論に達したのである。

(写真は、5/13のBOI自動車部品産業セミナー)

3.タイの大学が実施するインターンシップについて

ある日系のテキスタイル会社から日本語の話せるタイ人の採用をどうすればよいか相談をうけた。

日系企業では日本語の話せる学生の募集をしても、需要が大きく供給が追い付かないため、給与水準が上がっている。しかも、バンコク都内の希望が多く、都心から離れると応募が極端に下がる。そこで、学生時代のインターンシップを受け入れて、その中で良い学生を選別してはどうか、と提案をした。

候補の大学は次の3つ。

1. キングモンクット大学ラカバン校(KMITL日本語学科)

2. アサンプション大学

3. バンコク大学日本語学科

それぞれの大学の教授、日本語学科の教員に相談をした所、次のような返事があった。

1. バンコク大学:同大学は観光学部に力を入れており、卒業生は航空会社、ホテルに就職を希望している。そのため、インターンシップも既に2つの業界でそれ以外の業界には対応できない。

2. アサンプション大学:大学の掲示板を提供するから、そこにインターンシップを募集と掲示してはどうか、とのこと。

3. KMITLは国立大学でもあり、日本語の教員に連絡をしても返事が無い。直接、大学を訪問して教員にお願いをすべきだと考えている。

これ以外にも、候補として泰日工科大学があるが、すでに日本人商工会議所が支援をしている関係で、日系企業の多くが求人をし、奨学金も支給していることから、受給性は応援された企業に内定する確率も高い。

昨年と今年は日本でも就職戦線は売り手市場であり、様々な工夫をして優秀な学生を採用しているのである。

(写真は、学生に人気があるトヨタ系のデーラー)

4.バンコクで各種法務、労務の情報を集める方法について

海外企業の経営者、管理者には、マネジメント経験があるとともに、会社運営に必要とする法規に関する知識が必要とされる。また、海外で新しく公布される法律やマーケット情報など現地の最新情報を継続的に吸収し理解する能力が必要とされる。

日本で赴任する前に開催されるOVTAの海外事情セミナーなどに参加することは有効であるが、中小企業の場合は、事前の準備が整わない前に海外赴任をする場合も多い。

バンコクで各種法務情報を集めるには各種日本語の出版物ともにJETROや法律事務所が開催する顧客向けの法律セミナーや情報誌が有効な手段である。タイ語での情報が日本語に翻訳される前に、英文での情報が多い。また、投資関係ではタイ政府投資委員会BOIのWebsiteでも相当な情報があるが、周辺国の情報を集めるには現地に出向く必要がある。

タイ周辺国の投資情報を集めるため、JETROやJICAの事務所を尋ねることも有効。M事務所では、時代の変化や多様化するリーガルニーズに応えつつ最良のクライアント・サービスを提供することを常に使命として情報誌の発行とともに周辺国の投資情報セミナーを開催している。近く6/18にはミャンマーの新しい法律についてのセミナーが開催される。

労務関係の情報収集には、法律事務所、会計事務所、翻訳サービス会社、日系の銀行から発行される機関誌が有効である。英文とタイ語では、タイで40年以上発行されている情報誌もある。

結論をいうと、絶えず問題意識を持つとともに、絶えず機会を見て情報を集める必要があるのである。幸いにも、タイにいるとタイだけではなく周辺国の情報を集める機会もある。

(写真は、日本で開催されたインド事情セミナーの会場)

5.(参考) 日本とタイの中小企業の事業継承と廃業について

日本に短期出張をした際に、大阪商工会議所に立ち寄った。中小企業振興部の責任者に最近の中小企業の様子を伺った。海外まで展開できる企業は良いが、人材も資金も不足する中小企業では廃業する数が倒産件数するよりも多い、とのことであった。最近は金融状況が緩いため倒産せず、借金漬けになり、事業継承するよりも廃業の道を選ぶ。 そのため、中小企業が持つ技術や従業員が散らばっている。この分散霧消を少しでも減らすためM&Aにも取り組んでいるが、成功率は「千三つ」である。1%以下とのこと。では、タイではどうか?2つの事例を紹介する。

1)タイに進出した日系企業で創業者が亡くなって、2代目が元の経営者のご夫人の事例があった。現地の経営は創業者の知り合いに委託して数年経過したが、工場管理の経験が無く営業ばかり経験した方であったため、工場の原価削減、効率化が進まず、オーナーから事業継承できる方を探してほしいという要請があった。 日本のM&A専門会社、タイのM&A会社にも照会をしたが、1年を経過してもまだ見合い話だけで、進展がない。

2)タイで創業した人材紹介会社であるが、経営者が病気になって、M&A先も探したが見つからない。そのため、廃業すると決めたものの、病気治療で日本に戻ったままでタイ人の取締役は形ばかりで何もできない。結局、事業が休止したままで、商務省の職権で廃業措置をしてもらうしか方法が無い。資産も分散し、借りた事務所から撤去すると後に残るものは何もない状態になった事例である。

これらは公的な記録には残らないものが多く、進出した企業数は把握できても何らかの事情で廃業した数値は把握できないのである。

(写真は、事業継承先を求めるM社)

以 上