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タイ

作成年月日:2015年5月

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タイ国情報 2015年4月

2014年3月にタイ商務省は会社設立に関する通達を出しました。その影響を受けた日系企業の紹介と、その顛末をご紹介します。

また、今月はタイに半分以上いましたが、ソンクラン(タイのお正月)はインドネシアに出張をしました。その関係で、タイの報告とともにタイ在住の日系企業がアセアン展開先の一つとしてインドネシアをどのように研究しているかの事例を報告します。

今月の内容は次の通りです。

1. タイ商務省の会社設立に関する通達とその影響

2. タイ進出の日系企業の駐在員のアパート探しについて

3. タイ進出の日系企業の自家用車の活用と運転手確保について

4. 日系企業むけの情報提供先としての新聞社、銀行、工業団地の選択について

5. (参考)タイにある日系企業がAEC2015をにらんでインドネシアをどのように見ているのか?

1.タイ商務省の会社設立に関する通達とその影響

S社は2015年2月にBOI認可が下りて、法人設立の準備中ですが、4月1日からの商務省の規則変更で、会社設立が遅れています。その理由は、通達では500万バーツ以上の会社を設立する場合は、発起人代表がタイで銀行口座を取得してその残高照明を提出することになりました。ところが、外資の場合は会社設立ができないと、労働許可もなく一般的には個人の銀行口座が開設できない、という鶏と卵の関係のルールを商務省がご存知なかったようです。このため、通達の変更が各方面から要請をされているところです。

S社もこの関門が通過できないため法人設立ができない、という足踏み状態です。

4/21に商務省は通達の変更をせず、会社設立を願う外資、BOI企業には上申書を提出した場合は、発起人代表にいったん資本金を払い込む必要はない、会社登記はみとめるという手続きの変更を発表しました。 ノミニーを防ぐという商務省の役人の意識があることは良く分かるのですが、むしろ 規則だけで防止できるのではなく、現実にタイ法人と協調して会社設立を考えている方には迷惑な話です。

(写真は、タイ政府投資委員会BOI本部)

通達の日本語訳(PDFファイル)

会社登記所施行令 第66/2558号 パートナーシップ・有限会社の設立と増資の登記申請に関する 基準および必要な書類

資料出所:「タイ商務省及び日本S&J」

なお、通達の原文はタイ商務省事業開発局のHPをご確認下さい。

website : http://www.dbd.go.th/main.php?filename=index

2.タイ進出の日系企業の駐在員のアパート探しについて

以前もこの欄で紹介したが、日本から進出する日系企業の駐在員の住居探しについて報告をします。

新しい動きとしては、Siracha方面で社宅を買い上げる、という動きが出てきました。毎月の家賃が4万バーツから10万バーツを支払うのであれば、4年-5年で1軒家が建つというのです。この点は企業のキャッシュフロー重視か、資産運用の一環とみるかで変わりますが、従来のアパートを借り続けるという多くの日系企業とは違う動きでしょう。もちろん、BOI企業で1億バーツ以上の投資をされた投資家は、土地付きの家も建てられるという特典もあるのですが、海外での駐在員はアパート住まい、という動きに一石を投じているのでしょう。

総務・人事担当者への助言;海外出張の場合と異なり、駐在となれば一家の暮らしが海外に移ることになる。できるだけ、日本と同じ水準を維持したいのであるが、職場、家庭生活とも大きく変わるのが普通である。たまたま、タイは長年の日系企業の進出の積み重ねから、日本食など恵まれた環境にあるバンコクと、地方では大きな格差があります。そのため、工場の立地と、駐在員の家庭環境を考えて、職場の生産性を上げるのはどうすればよいのか、検討が必要でしょう。単純に、家賃を一律と考えると、駐在員の士気を上げる場合もあり、下げる場合もあります。

(写真は、タイ駐在員のアパート)

3.タイ進出の日系企業の自家用車の活用と運転手確保について

日本からタイに進出すると困るのが足である。日本と異なり、バンコク以外では公共交通は当てにならない。ナビを取り付けて、自分で運転する経営者もあるが、多くはタイ人の運転手を採用して、車は会社で購入するのか、リースを利用する企業である。

駐在員のアパートでも同様であるが、日本のようにリースの利用が多い。一部は、社用車を買い上げて、10年近く利用する会社もあるが、3年のリースを更新しながら新しい車を使う企業もある。

悩ましいのが運転手である。専門職ということから、給与、待遇が良いと転職もする。また、待機時間が多いせいか、かけ事等いろいろと運転手仲間で良くないことにはまるものもある。T社では、社長の運転手が、彼女との争いが原因で退職した。後任を探すのが大変だとして運転手派遣会社の利用をした事例がある。

一般的な運転手の残業時間として毎月80時間の補償と、管理費として35%を管理会社に支払っても、良い運転手を確保するのに困っているためである。ちなみに、ある運転手派遣会社の運転手を1名利用した場合、平均支払額は33,000THBになる。

(写真は、バンコクの自動車ショー)

4.日系企業むけの情報提供先としての新聞社、銀行、工業団地の選択について

毎年、BOI主催の日系企業むけのセミナーを企画、運営すると、日系企業に効率的な情報伝達として何が良いのか、考えることがある。

通常は日系の新聞である。日経、読売、朝日がタイで読まれるのだが、それ以外にもバンコク週報もある。通信社としては時事通信、NNAも読者宛にメイルで送信をされるが、セミナーなどの案内としてふさわしいのかどうか、見極めが必要である。

むしろ、取引銀行からの案内や、工場のある団地運営会社からの案内が良いのである。 もちろん、従来のセミナー参加者への案内が一番効果が高いのだが、新規の顧客開拓には役に立たない。FACE BOOKなどのソシャルメデイアが有効かというと、日系の工場の責任者がSNSなどの利用は少ない。

そのため、基本は口コミだとしても、次は活字媒体が多い。

(写真は、ROJANA PRACHINBURI工業団地)

5.(参考) タイにある日系企業がAEC2015をにらんでインドネシアをどのように見ているのか?

日本からタイに進出するN社は、自動車の機能部品を製造する会社である。既に海外では、中国やシンガポールにも関連会社もあって、アセアンの次の拠点としてはインドネシアも候補に挙がっている。既に、現地の日系商社と一緒にパートナー候補の面談をし、数社見合いの段階まですすんでいる。

では、なぜ、インドネシアなのか?国内の自動車販売台数は100万台を超えて、アセアンでは国内市場はタイを超えた。生産台数ではタイの200万台には及ばないが、人口が2億4千万人とアセアンの総人口の40%がインドネシアある。所得水準も毎年引き上げられて、今では中間層も形成されつつある。もっとも、1万近い島々でもジャワ島に1億6千万人も住むという状況で、新しい大統領は海洋国家として、ジャワ島以外の島々のインフラを整備したいという。それはそれで、スマトラの南北を縦貫する高速道路ができるとしても10年はかかるといわれる。

そのため、高速道路でも今でこそジャカルタの渋滞は有名だが、各島を縦貫する高速道路ができれば、今までの車の安全基準がさらに厳しくなる可能性もある。

そうすれば、同社の高い機能も持つ部品がますます必要になると見ているのである。 現地のパートナーを探す理由は、現地での法制度の変更、人事労務管理の難しさを考え、パートナーにはそのような対応をお願いしたいので、良いパートナーを探す方法に頭を 痛めているのである。

 

以 上