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タイ

作成年月日:2015年3月

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タイ国情報 2015年2月

今月は2/5に実施されたバンコク日本人商工会議所(JCC)主催の景気討論会を始め、以下の課題についてご報告します。

1. JCC主催の景気討論会「2015年は前年よりも景気は上向くのか?」

2. 日本の建設関連技術のタイ、アジアへの移転について

3. 戦後早々期に進出した日系企業の半世紀後の展開について

4. 家事労働の資格認定とタイの山岳民族の就業機会開発について

1.JCC 主催の景気討論会「2015年は前年よりも景気は上向くのか?」

1) 日時 2月5日(木)14.00-16.30

2) 会場 デユシタニホテル(ボールルーム)

3) 参加者 約200名(例年よりも参加者が少ないと感じた)

4) 内容

最初に、基調講演がされたJCC金融保険部会長から、次のような内容の説明があった。

@ 2015年になって、各国の金融政策は緩和の方向である。例えば、スイスフラン、ロシア、EU中央銀行など。タイについても、一次産品の下落、原油下落で2014年の経済成長は0.8%に近かった。2015年は経済成長が4%台と期待される。GDPの主要要素は、輸出、内需、民間投資、政府支出の4点がある。キーワードとしては、欧米の景気回復により輸出の拡大。国内要因としては、政治の安定と、公共投資の拡大が期待されている。

A 輸出と同様の効果があるのは観光であるが、政治が安定したことから観光客の増加になった。農業所得が上がり、家計債務の比率が下がれば、消費も上向く可能性がある。民間投資についても、政治の安定、競争力強化、BOI制度の効果的な影響が出れば拡大する可能性がある。

B 財政投資に関しては、高速鉄道の構想はあるが、実際の財政投資に結び付くのは先になる恐れがある。

引き続き、自動車、電気、食品、小売業界からも業界の見通しがなされた。 後半に、参加者200名対象にアンケートがされた。労務、人事に関しての質問で「タイ人管理者の登用」についての質問があった。経営幹部まで登用している企業は39%。中間管理職までが41%であったが、適当な人材が居ない9%と、登用の予定なしが11%あった。 これは対象企業の45%が製造業、55%が非製造業という会員企業の一部の結果であり、これが日系企業すべてを反映しているわけではない。

なお、タイ中央銀行は3/11に入り公的な金利を0.25%引き下げて政策金融は1.75%とした。ただし、中銀の発表では、あくまでも財政主導による景気回復が主体で、金融は単なる補完的な措置だという姿勢がある。

(写真は、2/5の景気討論会の様子)

※以下のリンク先より景気討論会の関係資料のダウンロードができます。

http://www.jcc.or.th/download/index

2.日本の建設関連技術のタイ、アジアへの移転について

2014-2015年日本政府の支援もあり、JETROや中小機構SMRJ経由で中小企業、中堅企業の海外輸出、投資の相談が多い。以下は、両機関以外の照会から2つの技術移転に関する事例を紹介する。

1. 最初は水中でも凝固するセメントの海外展開である。港湾設備、河川工事などセメント工事の養生が少なくて済むセメントをアジアに展開するとなれば、可能性は大きい。

2. 次は、モルタル張りの技術移転で、今までのモルタル張りと異なり、割れにくいモルタル張りの工法をアジアに展開しようとするものである。

3. たまたま、建築関連の技術移転が事例として紹介したが、各分野でもこのような技術移転が進んでいるものと、推察される。

4. その場合、日本での労働市場(少子高齢化)、アジア各国の労働市場の違い、技術移転の背景となる現地の事情が異なることから、日本と同じ需要があるとは言えない。しかし、タイでも少子高齢化が進んでいること、技術者の不足から、あるターゲットのニーズに合えば、いずれの技術も拡大する可能性が高い。

5. 従って、各業界のニーズを大きな観点からつかむことと、それを普及させる方法として何が最適化を考える必要がある。

(写真は、タイの建設工事の現場)

3.戦後早々期に進出した日系企業の半世紀後の展開について

Y社は、第2次大戦後、1960年代に日本からタイに進出した草創期の繊維業界の1社である。日本からの輸出から、現地生産をして日本や欧米諸国に輸出する方目的で現地進出をされた。日本から皇族がタイ来訪の際に、日系進出企業の代表として訪問された企業でもある。爾来50年を経過して、同社のタイでの工場は、バンコクに隣接する県に第1工場、東北部にある第2工場、ミャンマー国境に近い第3工場がある。欧州向けはタイ、日本向けには、ベトナムの子会社が対応している。 現状のタイの最低賃金が全国一律300THB/日の時代になって、労働集約的な分野がタイ国内で稼働するメリットはなくなった。そのため、同社も東北部の工場の機能をラオスに移転する。タイ+1は、同社のように、労働者の確保が難しいタイでは、周辺国の労働者の活用を考えねばならない時代だといえる。

(写真は、ラオスとタイの国境を結ぶ橋)

4.家事労働の資格認定とタイの山岳民族の就業機会開発について

タイでの家事労働の調査を1-2月に実施した。これに関係して、タイ北部チェンマイでの山岳民族の就業機会の開発を進めるボランテイア事業を紹介する。

T氏は、日本の家業を息子に任せて、タイでロングステイをする日本人の一人である。バンコクよりも平均気温が低く、物価も比較的安い北部のチェンマイで半年を過ごす。春や秋は気候が過ごしやすい、ということから日本で過ごし、寒い冬はタイで過ごす。70歳を超えると、日本では介護の世話になる可能性もあることから、タイでもその準備をしている。

特に、チェンマイ周辺の山岳民族は、就業機会が少ないことから、T氏は、ロングステイをする借家で山岳民族を雇用して、日本語や日本的な家事サービスを教授している。たまたま、長年のタイと日本との往復から、簡単な日常の用語はわかるT氏であるが、まったくタイの生活の経験が無いシニアもロングステイをする場合がある。夫婦そろってのロングステイから、単身となってタイに移住する方もある。そのような方が、介護の必要な場合、ある程度、日本語が分かり、家事サービスができるタイ人が身近にいると役立つ、という。そのための準備として、日本語のわかる家事サービス要員を育てたい、という希望をもっている。

一方、タイの労働省が認定する家事労働の資格認定は、タイ人が国内で家事労働をする担い手として働く場合の資格制度であるが、タイの一般家庭で同様のサービスを提供される場合は、特にこの点の資格は要求されない。むしろ、家事サービスをしてくれるタイ人を探すのが難しくなっている。T氏のように、日本からタイにロングステイされる方にとっては、日本語と日本的な家事サービスが提供できるタイ人を探す手立てとしてこの制度は役に立つかもしれない。ただし、この制度の認定する条件として、職業訓練校以下の学歴では認定されない。山岳民族の就業機会の開発とは多少違いがある。

 

(写真、タイの労働省入り口)

 

以 上