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タイ

作成年月日:2014年12月

海外情報プラス

タイ国情報2014年11月

今月はOVTAと304工業団地が共催で実施した11/28労務管理セミナーの紹介を中心にタイの情報を提供します。同時に、11/25のタイ政府投資委員会が決定した新しい投資政策によってこれからタイが求める産業は何か、についてご紹介します。

その中で、必要な企業、人材についても触れることができればと考えます。

最後は、中小企業が初めて進出する候補としてタイを掲げる企業が多いのですが、具体的にどのような取り組みをされているのか、またその際の人材の問題を紹介します。

1. 景気低迷期のタイの労務管理(OVTAセミナーの紹介を兼ねて)

2. 2015.1から実施されるタイの新しい投資政策について

3. 初めての海外をタイでと考える日本の中小企業について

1. 景気低迷期のタイの労務管理(OVTAセミナーの紹介を兼ねて)

1)つぎのような開催趣旨で、景気低迷期のタイでの労務管理の在り方を学びました。

2014年のタイ経済は年度当初の見込みが、輸出の伸び悩みなど下方修正をされています。

自動車販売は前年比3割ダウンが続き、関連業界では、労働調整をする動きもあります。

一方、労働側では、昇給や年末賞与に向けて、要求を下げる動きはほとんどありません。

ご承知の通り、海外職業訓練協会(OVTA)は厚生労働省の指導の下、労働情報提供を行い タイ労働省とも長年にわたり信頼関係を築いています。 我々、日系企業としても、景気後退期でも良好な労使関係の維持継続に務めています。 しかし、景気下降期には労使紛争が生ずる恐れもあり、事前の対策、準備が必須です。

そこで、OVTAと協力して労務問題に詳しい講師をお招きし、労務問題公開セミナーを 開催致します。

2)主催者と後援 主催:海外職業訓練協会(OVTA)、304工業団地 後援:日本・厚生労働省、タイ・労働省

3)日時と会場 2014年11月18日(火)13:30〜16:30 タイ東部プラチンブリ県タワラワデーホテル会議室

4)基調講演 「労働紛争・問題との遭遇」 (講師)スパチャイ・マナットパイブーン氏(Mr.Supachai Manusphaibool) 講演の骨子は次の通り。

@ 労使紛争の根本要因

A 労働組合による訴訟の事例

B 使用者の弱点

C 労働組合の支援者

D 使用者による措置・対策をレビュー

E 対抗措置/労働組合リーダーの排除

F 労働組合の動向

G 運動の変化

H ケーススタデイ

I 異議事項の傾向

J 政府外部の関連メカニズム

K 不当な労働行為とは

L 不当解雇とは

M 会社内での労使関係の改善措置(内部コミュニケーション、ステータス、福利厚生、 労賃・月給・ボーナス、人材開発・育成、愛社精神と誇り)

(内容)

5)質疑応答(パネル討議) 主な質問と回答は次の通り。

質問1.景気悪化などで、余儀なく人員整理をする時の問題点、または方法は?

回答1.(Supachai講師)解雇手当を支払うことが前提。金銭的な支払いができない場合の対応例もある。たとえば、EC shoes社では、洪水で受注が無くなって、次年度の有休を今年に振り合えた事例もある。中には、来年、結婚でやめた場合は、今年に振変えた有休分を金銭で支払わなくても良いのか、という質問があって、結婚のお祝いとして、支払わなくても良い、と答えた事例もある。 タイでは、社内の事情に関係なく、家庭の事情で休むことは多い。子供や親の面倒を見るなど、現実を理解すべきだろう。むしろ、一定期間休める制度を導入してはどうか? 年齢は35歳以上など、条件を付けて2-3か月休めて、休暇後は復帰できる制度もあっても良い。

質問2.プラチンブリ県で活躍する労働組合としてはどのような組合がありますか? 穏健派ですか、強硬派ですか?

回答2.(Supachai講師)自動車部品のサプライヤーが多い場所ではタイ自動車連盟が多い。トヨタのサプライヤーは全国組織TAMなどに加入してNHK SPRINGなどLeaderは穏健派が多い。全国組織の労働組合は社内に問題が無いと介入するきっかけが無い。社内問題が無ければ、問題が無い、と考えてはどうか。 (労働事務所Supat係官) 当地の労働組合は問題はない。むしろ、PCの管理など、情報漏えいを考えておくべきだ。暴力事件はない。また、政治とも関係はないと見ている。

質問3.日本では、不況時期に政府が賃金の低下分を補てんする仕組みがあるが、タイではないのか?

回答3.(坪井書記官)日本では、雇用調整助成金はある。産業などの状態が悪い場合、休業補償をしなければならないが、その一部を政府が負担する仕組みはある。2011年の東日本大震災でも、休業した企業に支払われた (Supachai講師)タイでは、休業の場合は通常の給与の75%は支払わねばならない。1997年の通貨危機の際も、自主的にマネジャークラスは30%ダウン、スーパーバイザーは15%ダウンなどした企業もある。2004年のスマトラ沖の地震で、大被害を受けたHILTONやSheratonホテルでも従業員に全額支給をして、しかも食事の支援をした事例もある。2010年アユタヤの洪水で4か月復旧できなかった会社も全額支給を続けて、従業員が全員復帰してくれた企業もある。もしその時点で、給与を払わないで解雇をしておれば東部の自動車関連に従業員が移ったことでしょう。

6)最後に、各講師からのコメント (労働事務所Mr.Supat氏)労使紛争には原因があります。その原因を解消できれば、問題は解消します。

(坪井書記官)

労務管理は、小さなことを大事にすることです。たとえば、企業が労使交渉で従業員からの要望に満足な回答が出せない場合でも、どのような措置をとっているか、PRをすることが重要でしょう。労働組合側の説明よりも、会社側の説明を先にすることでしょう。

(Mr.Supachai講師)

労務管理の根本は、Warm Heart、Cool Headです。この逆では困ります。 タイは仏教国ですから、仏教の教えを良く学ばれることをお進めします。たとえば、薬物問題でも、 単純に解雇すればよい、というのではありません。

(写真は、11/18に開催されたOVTA-304工業団地共催のセミナー)

11月18日OVTAセミナー資料(日本語版)(PDFファイル 1,241KB)

2.2015.1から実施されるタイの新しい投資政策について

11/25にタイ政府投資委員会(プラユット首相が議長)は、 国にとって価値のあり、社会・環境に利益をもたらす投資を重視し、新しく7か年の投資奨励策を承認した。この7か年計画は、2015.1.1から実施する。主な狙いは、競争力の強化を目的として、タイ国内への投資とタイ企業の海外投資の双方で有益な投資の振興によって中所得国の罠に陥らず、今後の飛躍につなげ、持続可能な成長を実現させるというものです。タイの工業部門と国に有益な業種を重視するとしています。高度な技術を用いる事業、創造的な事業、デジタル、エコノミーの開発を支援する事業またはサービス、国内資源利用による付加価値生産事業を想定されています。

このためには、人材育成が重要です。たとえ、最新のCADソフトを導入し、高付加価値のある製品開発を行おうとしてもPCの技術、デザイン力、モノづくりの基本がわからないと新しい設計や開発はできません。大卒の初任給が月15,000THBになっても、このようなCADソフトが使いこなせる人材を育成していないと、企業が一から教育をせねばなりません。

タイ政府の方針なり計画は理解できても、それを実行に移すための基礎教育、職業教育が重要です。これからすぐにはタイ経済が高度化されるとは思えませんが、政府の方針がこれである限り、タイに進出する企業もこれからのタイ経済、タイ政府の施策はこれを基本としたものになると理解が必要でしょう。

(写真は、タイ国投資委員会)

3. 始めての海外をタイでと考える日本の中小企業について

市場があって、初めて企業が進出できる。企業が進出して市場をつくる、の2つの見方があるが、中小企業は新しく市場を創出することは容易ではありません。

そのため、海外に新しく進出する場合でも、既に大手企業、ライバルが進出している地域に進出してその中で、特異性や特色を生かした製品やサービスを提供することで活路が生まれます。

機械、金属業界でも同様です。毎年、11月の中旬にタイ国バンコクの国際展示場BITECでは国際機械金属展METALEXが開催されて、日系の機械メーカーも多数出展をしています。同時にJETROが地方の中小企業振興センターなどに呼び掛けて各地の中小企業がタイのMETALEXに出展をしています。今年は、埼玉県がタイの中小企業とのビジネスマッチング会を開催したりして、展示場以外でも交流会が開催されました。

日系の機械大手マーカーの責任者に聞くと、この機械展だけではなく5月に開催されるINTERMACHやSUBCON TAHILABDも活用している、とのことでした。 しかし、日本の中小企業振興機関に聞くと、年後初めの5月の展示会に中小企業をお誘いするのは難しい、との意見がありました。既に、5月の展示会を活用している地方自治体の事例を説明してもなかなかすぐには動けない、予算制度の壁があるようです。そのため、11月の展示会に集中しているのですが、中には対象とする業界が異なって、来場者との接点が少ないとこぼす企業もありました。

では、本来の海外進出に備えてどの程度の準備をされてきたのか、です。 来場者の見込み、ターゲットに合わせた商品やサービスを出展企業が準備できているのか、です。資料作成も同様です。中には時間が無いため日本語のパンフレットだけで対応したいという猛者もありました。言うまでもないことですが、開催国の言語での説明が必要で、少なくても英語の資料は欲しいものです。その準備ができない、それを作成する人材が居ない、など制約があることは承知していますが、もし海外に展開するのであれば、留学生を社員として採用する、社員の語学研修を奨励するなど、いくつもの準備が可能です。

今回の大半の出展企業はそのような準備をされているのですが、中にはこのような準備不足から成果が上がらない、と嘆いている出展企業もありました。

課題は、これからです。展示会は、その国の市場に参入するきっかけであってその後、ビジネスを拡大するためには、フォローアップが重要です。このために進出する国の事情に明るい人材、海外でも営業できる人材を育成することは何よりも大事です。中には、経営者自らが、市場開拓の先駆者となって活躍されている企業もあったことは言うまでもありません。

(写真は、11/19-22にBITECで開催された国際機械金属展)

以 上