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タイ

作成年月日:2014年11月

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タイ国情報2014年10月

今月はタイとその周辺国と比較しながら日系企業の経営はどうあるべきか、を中心に10月の動きを紹介します。

1. タイとミャンマーの日系企業の駐在員の住居選定(続)

2. タイ企業に勤務する日本人、外国人の役割り

3. カンボジアとミャンマーでの工場運営について

4. 新しいビジネスをメコン地域(カンボジア、ラオス)で

5. タイから見たミャンマー人、現地で見たミャンマー人

 

1. タイとミャンマーの日系企業の駐在員の住居選定(続)

先月は、タイの駐在員を参考に、海外進出には労働者の確保とともに、駐在員の住居選定も重要な課題だと報告をした。しかし、タイでは日本人駐在員が大使館に登録ベースで5万人を超えるから言えるのであった、周辺国ではまだまだそのような選択の幅が無い。

10月末にミャンマーに行って、JETROやJICAおよび現地日系企業の駐在員に住居選定の問題を尋ねた。現在、ミャンマーに駐在する日本人は大使館登録ベースで1,000名弱。また、お会いした日本人も日本からの出張やバンコクに住居を置いて出張ベースで仕事をする方も相当あった。その理由は、適当な駐在員向けアパートが無い。需要が多く供給は足りないため欧米並の住居価格である、などの原因がある。日本人学校はなく、インターナショナルスクールにいれて、土曜日の日本語補習学校で、日本語の教育をするという。それだけに、家族持ちであっても、単身者の駐在が多い。カンボジアに拠点を置く方も、家族はプノンペンではなく、バンコクに住まわせたい、という方が多い。これは日本語教育の体制が、中国やタイ、シンガポールとタイなど駐在員が多い場合しか整えることができず、発展途上国では未整備である。

加えて、海外の日本人学校は、文部省が補助金を出すといっても、運営は地元の日本人会、日系人社会がカバーする仕組みであるからである。そのような事情から、学校へ通う子女のいる家庭の住居選定は、日本人学校ではなくインターナショナルスクールでの周辺などになる事例が多い。 加えて、欧米系の大手企業では世界基準で異動をさせる社員にはどの国でも同程度の待遇をする、社員の家族にも同程度の福利厚生をさせないと、世界各地に転勤をさせることができない。このあたりの日系企業の考え方の違いが、駐在員の住居選定にも差が出てくるのである。一部、上場企業では欧米系のように世界どこでも同じ条件で処遇できるが、海外拠点が1か所や2か所しかない企業では、そのような経験がすくない。この点なども、海外赴任前の教育でも触れる課題だと思われる。

ちなみに、ヤンゴンでは1DK70-810uのアパートが月3,000-4,000ドルということから、先ほど説明したように、バンコクに住居をもって出張ベースでヤンゴンで仕事をする、事例も理解ができるのだろう 。

ヤンゴンの中心部にある住宅開発地

(写真は、ヤンゴンの中心部にある住宅開発地)

2. タイ企業に勤務する日本人、外国人の役割り

今までの報告では、日系企業に勤務する外国人労働者の事例を紹介してきた。今月は、地場企業のJ社に働く日本人に取材した。同社にはフィリピン人やミャンマー人も高給で採用されているので、同社の事例を中心にタイ企業に勤務する日本人の役割りについて触れてみたい。

J社では、欧米向けの市場開拓については、フィリピンやミャンマー人の営業が対応している。日本市場向けには、日本人が対応できるのであれば、日系企業からの受注が増えるが、タイ人や欧米人が対応すると、日本市場向けのビジネスが拡大できない。同社の社長は、欧米市場向けの営業には、語学力とともに業界の経験を重視する関係で、タイ人以外にもポストはオープンである。

アセアン経済共同体AEC2015を目指して、タイの企業はアセアンでの競争力を高めたい。ところが、中小企業では、海外でマネジメントをできる人材が少ない。タイ人以外にもアジア人でも英語力の強い国がある。そのような周辺国の営業職を上手に使うというのがタイ企業の強みでもある。開かれた職種、待遇を与えることができるのであれば、日系企業にも欧米人を始めアジア人が入社してくれる。

タイ企業に勤務する日本人からは、日系企業の閉鎖性を問題にされるのである。いつになれば、日系企業のTOPに現地人が就任できる時代になるのであろうか? 。

外国人にも開かれているJタイ企業に向かう道

(写真は、外国人にも開かれているタイ企業J社に向かう道)

3. カンボジアとミャンマーでの工場運営について

カンボジアの工業団地の説明会がバンコクで開催されたので覗いてみた。

カンボジアでは工場進出の基本的なインフラとして、水、電気、労働力を上げると、水も電気もある。ただし、自国内の発電容量が少ないため、ラオスやベトナムから購入したり、主要な州は自家発電も行うため、電気代は高い。労働力はあるが、一部の労働者層では識字率が低い。

一方、ミャンマーの工場運営でも水、電気、労働力の制約もある。ヤンゴン周辺にあるThillawa SEZは日本政府が応援するインフラ整備のおかげで、水、電気、道路、鉄道などは日本のODAの結果である。まったく、白紙の状態に絵を書くというのがミャンマー進出の良さでもあり、リスクでもある。国内の人口5,100万人の所得が上がれば、市場は大きい。カンボジアでは、国内市場が1,600万人程度で、輸出を抜きには考えられないのであれば、おのずと生産品目も限られてくる。原料立地、輸出向けか、国内市場を狙うか、によってカンボジアかミャンマーかの選択となる。

しかし、その場合でもタイの工場との連携をどうするかが重要で、中国のように脱出したい、というのではないのである。タイ人をリーダーとして両国の工場をどのように生かせるのか? チャンスでもある。特に、若い社員の人材育成の場として生かすのであれば、両国とも楽しみな工場である。

ミャンマーのThillawaSEZ

(写真は、ミャンマーのThillawaSEZ)

4. 新しいビジネスをメコン地域(カンボジア、ラオス)で

新しい地域で、誰もがやっていないビジネスをやりたい、という青年がいる。

J社のY社長である。日本の大学に在学中に東南アジアをめぐって、カンボジアやラオスでは日系の法律サービスが少ないことに気が付いて、大学の同級生などとともに法律サービスを提供する会社をつくった。最初はカンボジアで開業したが、日本の弁護士が常駐しているということでカンボジアに進出する企業が顧問先になっていただけた。

顧客の輪が広がり、事務所運営が軌道に乗ると、次はラオスである。

カンボジアと同様に許可取得など苦労をしたが目途がついた。両国と、メコン川流域の諸国で中心となるのはタイである。現在、タイに拠点づくりをする最中である。

一方、カンボジアで医療サービスを開始する動きもある。医師免許など日本の医療関係の経験と資格が生かせる国でもある。また、日本製の医薬品が販売できる可能性もある。そこで、医師や病院と提携した調剤薬局を開業したいというA青年もいる。

A青年の紹介で、インターネットを利用してホームページ作成サービスをするA社のM社長にもあった。海外進出を目指した日系のIT関連会社が、途中で撤退を機に、現地の事業を任されていたM青年が、カンボジアの事業を引き継いだ。リスクで引き継いで自らの責任で拡張をしたい、という意欲があった。

そこにはリスクを恐れず、やってみようという青年の夢があるのである。リスクがあるから止めるのではなく、リスクがあるからやってみる、という青年を応援したいものである。国内の未就労の青年が問題になっているが、海外に目を向けると、新しいビジネスチャンスもある。

、新規開業の規制の少ないカンボジア

(写真、新規開業の規制の少ないカンボジア)

5. タイから見たミャンマー人、現地で見たミャンマー人

10月にミャンマーのヤンゴン郊外にできた日系のP縫製工場を訪問した。Y工場長は日本やタイでも工場を運営した経験もあり、タイ人やミャンマー人をと一緒に働いた経験がある。

タイの工場長時代に生産性に応じて報酬を支払うという制度を導入した。少数のミャンマー人も工場に働いていたが、タイ人だけに適用される制度だとして、当初はミャンマー人は関心が無かった。しかし、工場長は、タイ人だけではなくミャンマー人も同じ制度に乗って、働きに応じて報酬を支払うと説明をした。最初の数か月はタイ人の生産性がミャンマー人を上回っていたが、数か月後にはミャンマー人の生産性がタイ人のそれよりも上回ることが多くなった。オーナーはタイの次の進出先として、ラオスやカンボジアを検討していたが、この実績を見て、ミャンマー進出もまな板の上に乗った。現地進出が検討課題になった。顧客の応援もあって、2014年にミャンマー工場が完成。

しかし、機械の償却と品質の向上を上げる過程でもあり、従業員は70名程度と目が届く範囲にある。労働者の募集状況はタイよりも強い。しかし、労働生産性については、始まったばかりで、タイの工場と比較して下回っているが、条件が異なるので一概に下だとは言えない。なぜなら、タイでは立ちミシンを利用して,機械生産性の割合が高い。

いずれ、同様の条件が整えば、タイを超える可能性もある。

ミャンマーのヤンゴン郊外にある縫製工場

(写真は、ミャンマーのヤンゴン郊外にある縫製工場)

 

以 上