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タイ

作成年月日:2014年5月

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タイ国情報2014年4月

2015.12.31にアセアンの共同市場が形成されることから、一部、熟練労働者の移動も議論をされている。日本からは、タイだけではなくアセアンを共通の市場と考えた場合の参考になる人事・労務関連の情報を提供する。そのため今月もタイを中心に周辺国との関係を取り上げ報告をする。

1.タイとカンボジアのIT教育の違い

2.ラオスのIT化を支援するタイ企業の役割

3.アジアの生産拠点拡大とタイの役割

4.医療機器販売における現地パートナーと日本側の役割

タイ及び周辺国

(タイ及び周辺国)

1. タイとカンボジアのIT教育の違い

タイでのIT教育の中心は、小・中学校のタブレット無償配布が象徴的である。2011年に発足したYingluck政権によって、基礎教育の初歩からITを活用する方針が定められた。

前の政権では、地方の小・中学校にPCを配布したがInternetの接続が無く、また教師自身もIT教育の基礎がなされていなかった。しかし、Yingluck政権が発足した2011年にはタイでの携帯電話、IT普及が一層進んだことから、学校教育の初歩からITを活用することになった。タイも少子化の影響で、小学校の生徒数が減少し、小規模の学校の統廃合が問題になっている。教育省は、統合の方針をだしたが、現場の教師、父兄からは批判がある。

教育予算の6〜7割が教師の給与であり、統合をしても削減できない。それを補うのが父兄の負担・寄付金であるが、教育予算の配分をより効率的に考えるべきだという批判もある。

一方、カンボジアでは義務教育の普及がポルポト政権後の内乱もあって、フンセン首相が統治してからようやく治安も安定し、再開したといえる。このため、IT教育は首都プノンペン中心に専門学校・大学から上でないと経験する機会が無い。

産業界に労働者を供給する学校制度そのものの実態を踏まえて、企業の社内教育が求められているところである。たとえば、プノンペン工業団地にあるM社では、カンボジア人のために読み書きを教えるコースも備えているほどである。IT教育以前の、基礎学力がなされていないワーカーがいる。また、大学でIT教育を受けても実際に活用する職場が少ないのも問題になっている。

ある日系のCAD事業をする会社では、タイでの人材不足を補うため、次の拠点はカンボジアだと調査を始めたところである。

リサイクル業の工場

(写真は、カンボジア国内のPC広告)

 

2.ラオスのIT化を支援するタイ企業の役割

ラオスの国営企業の現状を取材していると、効率化を求める動きに出会った。

これは取材したラオス国立商工会議所の事務局長の説明によると、「公社の幹部に官庁のOBがすわると、改善・改革ができない。朝8時に来て4時に帰る幹部には、公社の改革などできるわけはない。」そのため、政府首脳と商工会議所幹部が協議をして「公社の効率化」を高める法案を4月の国会で審議されることになった。

また、その延長としてラオスの郵政公社が業務効率化を目的に2012年10月からIT化を進めている。そのITベンダーがタイ企業であり大きな投資をかけている。しかし、郵政公社のスタッフの理解が乏しいことから、現実に現場の改善までは時間がかかっている。その現場のスタッフを指導するのもタイ企業のスタッフが担当をしている。これ以外の民間企業でも指導するスタッフにはタイ人が多い。

つまり、ラオスの業務効率化を考える際に、国内の人材不足を補うのは言語の共通性が高い、タイ人の力が必要な場合が多いのである。

IT業界だけではなく、縫製業界、カメラ業界でも、タイの工場から孫工場としてラオスに進出した場合、現場の指導者がタイ人を活用している事例は多いのである。

その意味からも、日系企業がタイから周辺国に進出できるかどうかは、タイ人の育成によることも大きい。

リサイクル業の工場

(写真は、ラオスのビエンチャン中央郵便局)

 

3. アジアの生産拠点拡大とタイの役割

今回は、N電機のベトナム進出の決断をされたA社長に、進出後8年を経過して、ようやく軌道に乗っていると報告を受けた。当初は、ベトナムに日本語を理解する現地の社長を置いて、機械設備の初歩から組み立てを教えてきた。

タイ企業として、コスト競争力をつけるためには、今ではベトナム工場の果たす役割は大きい。

食品加工業のY社では、アセアンの最大の消費地でもあるインドネシアに新しく工場を建設する動きがある。それを指導するのが、在タイ18年のS社長である。

タイの工場立ち上げから軌道に乗せた経験を買われて、インドネシアの工場立ち上げを指導している。その場合でも、タイでの経験が随所に生かされている。

このように、海外進出の方針を決めて指導をするのは日本人の場合が多いが、現場の指導ではいずれもタイ人である。

カンボジアに最近進出した縫製工場のT社でも同様である。カンボジア人のカンボジア人による経営と生産を目指しているが、当面は日本人がタイ人のマネジャーと一緒にカンボジア人を指導している。もちろん、カンボジア人のマネジャーも現場指導をするが、生産性向上などの直接指導をするのは、タイ人である。

このようにアジアの生産拠点拡大には、かつては日本から指導者が来ていたが、今ではタイのスタッフが周辺国を指導しているのである。

タイの人口構成の変化

(写真は、タイ人が指導をするカンボジアの縫製工場)

 

4.医療機器販売における現地パートナーと日本側の役割

日系のO医療器具メーカーのOBで、現在も医療関連の器具を販売するC社のA部長に今までの経験と失敗をお聞きした。

方針を決めて、収益管理をするのが日本人幹部であって、現場の販売やメンテナンス、フォローアップをするのが現地人という。これは、O社のアセアン各国の拠点を立ち上げた際の基本方針であった、らしい。

現在のC社も同じ方針で運営をしている。すでに現地化が進み、現地法人の責任者が現地人の場合も多い。

しかし、以前いたO社では、当初は現地人の責任者がいたが、その後、本社とのコミュニケーションの齟齬があって、いずれも日本人が責任者の席にある。そのため、当初、幹部要員として採用された優秀な人物はやめて、独立していることが多いらしい。

特に、製造ではなく販売会社においては、たとえ現地語ができたとしても現地の文化、風習を知る現地人の活用を無くしては、現地化が難しいのではないか、との意見があった。製造現場でも、アセアン域内をにらんだ市場開拓をする場合、すべてを日本人が担当する時代ではない。いずれも、現地のスタッフが育つように日本人が支援する立場になってきつつある。

カンボジアの休みで首都らバスで田舎に帰省する人々

(写真は日系企業の多いベトナムの工業団地)

 

以 上