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タイ

作成年月日:2013年3月

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タイ国情報2013年2月

特集

今月の特集は@タイの地方経済の実態、Aタイの日系企業の景気見通し、B外資系、日系、独立系の人材紹介会社から見た人材紹介ビジネスの実態を紹介します。

1.地方の縫製工場に労働者が復帰するのか

2013年1月から地方の最低賃金が300THBに引き上げられて、地方の経済はどのような状況か、現地視察をしてきた。

まず、タイの東北部のブリラム県(サッカーで有名なチームがあるが、これはオーナーの地域活性化の一つ)には農業と観光以外は主だった産業がない。県の工業局を訪ねると、最低賃金が引き上げられたからと言って、労働者が都会から戻るのではない。地元に産業が興り、人を全国から呼び寄せるほどでないと集まらない、とのこと。

日系のHair Wigメーカーが、系列と傍系の工場が数か所ある。

地元経済界の代表である商工会議所の副会頭にも尋ねたが、日本の地方の商工会と同じ。一つの事業をされていると、関連のビジネス、不動産業など様々な事業に展開が広がる。サッカーチームのオーナーは、次のビジネスとしてモータースポーツを考えて、地方でモータースポーツを考えているらしいという情報を耳にした。

続いて、チャイヤプン県を訪ねた。県の工業局では、地元に2003年に増設された縫製工場が受注難から、第1工場を閉鎖し、第2工場だけが稼働をしている、との情報を伺い、実際に閉鎖した工場を訪問。

1000名規模の工場が、閉鎖された後を見ると、警備のスタッフだけが滞在していた。労働省が、地方の最低賃金を上げることで、地方の活性化が図られるともくろんだが、必ずしもそうではない。
現地で労働集約型産業の工場長に聞くと、地方ですら手間のかかる仕事を嫌がる若手が多く、将来が不安である、との話が合った。タイの地方ですら、3Kを嫌がる若手が増えているらしい。

従って、先月はBOIの新しい投資政策5か年計画を紹介したが、熟練度の低い、厳しい労働は、周辺国の移民労働者がないかぎり地方でも集めるのが難しい、と思われる。特に、建築業界、水産加工業界などミャンマー人がいなくなれば成立しない業界だと思われる。

2.タイの景気は引き続き良いのか―JCC景気討論会2013.2.11

第1に自動車産業と、電気電子部品産業では、2012年の景気動向が大きく異なった。特に2011年に洪水のため、減産を余儀なくされた自動車業界であるが、2012年は240万台を突破して、生産台数、輸出台数、国内販売台数など各数値が歴代最高という。たまたま、トヨタ自動車もタイでの操業50周年を迎えて、様々なイベントが開催された。政府が、初めて車を購入する国民に所領税10万バーツの減税を行ったことから、対象となったピックアップトラックと1500CC以下の乗用車が大きく売り上げを伸ばした。労働者のボーナスについては、T自動車では年間10か月分が支給されたとの情報もあって、他の業界との格差が相当広がった。

第2に、電気電子部品業界では、2011年の洪水被災地のアユタヤに近いところに立地する企業が多かった関係で、被災しても、2013年2月現在、まだ復旧できていない企業もあった。日系企業でも、PANASONIC,SONY,SHARPなど日本国内の業績不振で海外の工場の稼働率は低位水準だと見られる(外注先への注文の現象)。

第3に農業関連食品業界では、米価の引き上げによって、農家は所得が増えている。食品関連製品製造業は不況期にも減産は少ないが、原料価格の上昇を価格転嫁できないことに悩みがある。そのため、新製品の開発が重要である。

結論をいうと、タイの景気はバーツ高で、輸出に関しては影響がみられる可能性があるが、国内経済が活性化しているため、当面は好調が続くというのがパネリストの見方であった。もちろん公共交通網、洪水治水対策など大型公共工事が続く限り、タイ国内の経済の下支えになっているのである。

(参考) 2012年下期タイ国日系企業景気動向調査

今回の調査対象期間である2012年上期から2013年上期において、業況感は2012年上期に2011年のタイ洪水の影響から急速に回復した。2012年下期及び2013年上期は、改善幅は縮小するものの、業況は引き続き上向く見通しとなった。(表1−1)

 

3. 外資系、日系の人材紹介会社から見た経営管理の見方

新卒者、既卒者の採用状況を外資系、日系の人材紹介会社に尋ねた。

(1)日系のリクルート会社

バンコクから遠距離の日系企業がタイ人スタッフを募集すると、地方ではバンコクと比べ条件が不利なため、やや高めの条件を提示して採用をしているとの説明がある。たとえば、チョンブリ県のイースタンシーボードに進出している日系関連企業では、宿舎も用意をしたうえでタイ人スタッフを採用している。

タイ人スタッフに取材すると、会社の家賃補助で、ローカルの住宅を買い上げてスタッフと共同で生活をしている、という事例もあった。

(2)欧米系のリクルート会社

たまたま、面談した会社は地場のリクルート会社であったが、欧米系のリクルート会社の傘下に入って事業を継続しているため、中身はタイのリクルート会社と同じである。

顧客開拓にそれほど積極的ではなく、本社も一定の利益を上げている限り、経営内容にはタッチしない。たまたま、日系企業担当の営業スタッフが、日本の関連会社から出向しているため取材をすると、欧米系としては顧客である欧米系の企業から問い合わせがあった場合に対応するため、タイ国内でも人材紹介サービスができる体制を作っている、とのことであった。したがって、日系企業に特化しての市場開拓は少ない。

(3)現地で独立された日系リクルート会社 

すでに、当地で独立して20年以上経営をする企業にも取材をすると、長年、日系企業からの信頼を得ているため、新規の参入にもあまり影響がない、とのことでる。むしろ、従来の顧客を大事にフォローアップすることで、口コミで顧客の輪が広がっている。

タイの経済見通しを聞くと、確かに顧客の日系企業は周辺国への進出の動きがあるが、ミャンマー、カンボジアでも人材面では苦労をされている、との説明であった。

(4)欧米系のリクルート会社

スタッフ系よりも大手になればなるほど現場のワーカークラスの人材派遣も行っている。米国系のマンパワーやPCSという英国の人材派遣会社は、清掃・保安など大手ビル・工場などに数十万人規模の労働者を派遣しており、日系企業の人材ビジネスの少ない分野がある。これらは、日本国内でも各種規制があって、海外での経験・ノウハウが乏しいことから、計画した事業分野に入らないのであろう。 現地にいると、人材供給などの分野でもまだまだビジネスチャンスがあると思われる。

 

以 上