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タイ

作成年月日:2012年11月

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タイ国情報2012年10月

−OVTA主催の人事労務セミナー開催−

特集

  10月は青木理事長を迎えて、タイでも人事労務セミナーを開催した。
その内容を紹介するとともに、その前後に、日系企業の人材育成、労務管理に関しても取材をする機会があったので、報告をする。

1.日系企業向けセミナー報告;課題「労働力不足にどう対処するのか」

1)OVTAはタイのチョンブリ・ラヨン日本人会と共催、日本の厚生労働省、タイの労働省、バンコク日本人商工会議所後援を受けて10/26に日系企業向け人事・労務セミナーを開催した。

2)参加者は、129名(別紙、名簿添付)

3)セミナーの構成(別紙)

4)労働者不足の原因

労働省雇用局調査部のMr.Boonlertの資料によると、現在の労働市場は、供給不足と需要拡大で、失業率が0.6%とほぼ完全雇用の状態である。

その背景には、国民総人口6727万人の中で、15歳以上の生産年齢人口が5400万人、家内労働や就学生を除く生産年齢として3892万人がいるが、労働力不足の根本要因が高齢化社会になったことである。言い換えると、高齢者になり、労働市場から撤退する人数が多く、若年労働者の参入が年間52万人程度で少ないことが原因である。その中で、特に顕著な労働力不足は、労働省の調査からは製造業の労働者、一般労働者の不足が1番、大きい。

5)対策 : 対策としては、労働者の市場への参加比率を上げることと、労働生産性を上げることが重要である。

基調講演では、労働生産性の引き上げについて、職業能力開発局のMr.Nakorn局長から、企業の社員教育に政府としても訓練費用の100%免税控除、教育機材の輸入関税免除などの恩典を与えていることを説明された。

後半の、パネル討議形式の質疑応答では、青木OVTA理事長から、労働力不足は産業が発展する過程では必ず発生する現象であると説明。職業訓練の実施、外国人の導入の仕組みづくり、地域社会の行事に応じた勤務時間の柔軟対応、ラジオ体操、安全週間の設置など従業員の健康増進に努めて欠勤率を向上させるなど、日本の事例なども紹介された。

会場から、タイ政府投資委員会BOIの恩典付与企業が労働力不足に対応するには、外国人労働が導入できないか、との質問があった。

Mr.Nakorn局長からは、ミャンマー人やカンボジア人を採用すると、タイ人とのトラブルが起こる事例や、健康診断など外国人採用に伴うチェックが煩雑で、タイ人の雇用を推奨された。

6)感想、反省点 : 政府関係者を迎えてのセミナーは、OVTAならではのセミナーの内容になるが、今回は年度改定時期(タイでは10月開始、翌年度の9月末までの年度)の影響で、最後まで講師が決まらなかった。このため、参加者が共催のチョンブリ・ラヨン日本人会を中心として、地域的にも限定した企業の参加になった。

次回開催の場合は、他の地域との連携をすることを考えたい。

2.海外に派遣される幹部の選定と育成について

1)今回取材できたのは、金属関係の業界大手のM社のと自動車部品業界のT社を訪問。

2)自動車用の金属製部品製造業M社 1995年創業(17年目)従業員2142名。内、業務委託先社員1189名。勤務体制は2Shift制で、1週間5.5日勤務。

@ 課題 : 製品は、自動車の重要保安部品となるため、品質要求と価格の要求が厳しい。現在の生産は、国内向け1/2、輸出向け1/2で、これ以上の拡大が厳しい。その制約条件としては労働者不足がある。

A 海外進出は、タイ、インドネシア、中国とあるが、従来から技能実習生の採用を進めてきた。幹部職については、大卒以上を採用するが、退職に伴う従業員の引き留めはやらない。特に、現場の責任者クラスの研修、育成が重要だと考えている。特に、海外では現地企業と競争する関係で、品質コストとも、現地人のワーカーが対応できないと競争力の強化にならない。

B 長期的には、社長や経理を除き、日本人が3-4名の派遣で、現地のオペレーションができないか、と研究をしている。将来の幹部は、内部昇格か、外部から招聘するか、考える必要がある。当初、タイの地場企業との合弁だったが、今では日本の資本100%となった。

C 労働問題としては、2010年に工業団地内にある他の組合の応援を受けて、労働組合が結成された。まだまだ幼稚で、他の組合からの応援を受けているようだ。

3)自動車用内装部品製造業T社。 グループ会社がタイ国内で3社ある。新しい会社が100名程度の調達を主体とする会社であるが、他の2社は2173名、1488名の従業員を抱えるメーカーである。

@ グループ全体で、3778名の従業員を抱え、うち日本人だけで35名もいる。現地製造会社の課題は、生産の合理化、原価改善、生産能力の向上などが大きな課題となる。

A 幹部研修 上記の目的の達成するため、海外出向者で現地のNo.1やNo2になる人材育成のため年2回、赴任前の研修を行っている。

B 内容は、トップとしての役割、行動の理解、経営管理、工場管理の知識習得、地域、海外事業体ごとの事業課題と対応するためのベクトルあわせが主体となっている。研修期間は、2週間。

C これ以外にも、海外赴任者向けの研修、若手育成研修も実施している。内容は、人事、安産管理、現地事情説明、マネジャーの役割理解など、現地化を進めるうえで、マネジメントスキルの取得が狙いとなっている。期間は、3日間の短期研修と、出向前の社長との懇談会が行われる。

D 若手育成研修は、入社4-9年の20台のうちに海外経験をさせるという。また、ただし、若手育成のためで、新卒の現地配属はなく、現地の出向後は派遣元に戻る制度である。期間は1年。ただし、現地のニーズにより、2年目もある。内容は、現場での実地研修と語学研修を含む。タイの場合は、現地語での日常会話ができるレベル以上を目指す。

E 研修期間中のレポート提出。帰任前の報告などから、本人のキャリア育成を考えられている。

4)感想 : M社、T社とも、日本の大手企業であるため、育成に予算が取れるが、多くの中小企業はこのような派遣前の研修が実施できていない。このような企業内の研修とともに、外部でも海外要員向けの研修を実施する団体もあり、OVTAとしてどのような研修が実施されているか、PR活動が重要だと思われる。

3.タイ人の創造性を生かしてエネルギー節約を

1)タイ人向けの研修の多くは、日本能率協会や各種団体が戦後培ってきた教育手法を元にしている事例が多い。

2)今回紹介するのは、東工大卒、日系企業に勤務してから、タイ日経済技術振興協会(TPA)の事務総長を務めた上で、独立して講演、指導活動をされているMr.Cheovetである。

3)これまでTPAの研修では、日本の講師を招いて、タイ語の通訳をつけて指導、教育するため、細かなタイ人の気持ちを汲んだ内容にはなり難かった。

4)Reverse seminar,Reverse educationという言葉がある。

5)日本から学んだ教育手法を自らのものとして、タイ国内で実践の活動をされている。手法は,VEであるが、ご本人は今までの経験、知識に加えて、タイ人の創造性を引き出して教育をする、といわれる。

6)成果は、エネルギーコストが確実に引き下がることである。

7)小集団活動、OC活動など、細かな成果の積み重ねであるが、VEを使ったエネルギー節約をされている基本が、日本から学んだ手法であるところである。

8)日系企業が海外で、様々な企業活動をされるが、教育指導も現地化がすすんでいる事例である。

以 上