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タイ

作成年月日:2012年10月

海外情報プラス

タイ国情報2012年9月

−地方都市からタイ進出する場合の情報収集−

特集

  9月に神奈川県、大阪府、長野県、鹿児島県からタイに進出する企業の相談が続いたことから、今月は日本の地方都市からタイに進出する企業の事例について主に報告します。
第1は、大阪の上場企業が大阪府知事一行とともにミャンマー、タイを訪問して、現地進出の調査にお見えになりました。この一行から、自社製品がある場合の、海外進出の課題についてご報告をします。 第2は、長野県のプレステイック成型業者が、主要な取引業者の要請で、タイに進出をきめました。同社は、従来の取引を取りやめるか、選択を迫られ、主要な得意先を切ることが出来ないと判断しました。 親会社に同行して進出する場合の課題について、紹介します。もちろん、積極的な進出もありますので、準備状況の違いなど、比較するために紹介します。
第3は、昨年10月の洪水からようやく1年目を迎えようとしています。ある会社を訪問して当時の経験がどのように生かされているのか、洪水経験された企業の立ち直りの状況を報告します。
最後に、タイで働く場合、タイ政府が要求するVIZA更新、労働許可更新の一端を紹介します。

1. 自社製品、ブランドがある企業の海外進出

1)概要 : 創業1938年、機械工具製造業、国内2工場、営業拠点8箇所、資金的な問題は当面ない。

2)課題 : 国内の市場は同社のブランド製品で相当の市場を占拠してきたが、海外市場はOEMにて生産、販売をしてきた。このため、自社が独自で市場を開拓する経験が少ない。また、海外市場を狙っての営業、および海外で生産をするための人材が不足している。海外で、自社ブランドを如何に定着させるかが課題である。

3)対策 : そのため、社長、常務、役員が率先して、海外の市場を調査して、具体的な海外戦略を今から打ち立てる段階である。初期は、自社ブランドの浸透から、現地生産、または現地の委託生産拠点を探すことになる。JETROや行政の協力を得て市場情報を集めるとともに、社内での戦略チームを構成する段階となった。得意の技術が生かせる分野もあり、今後に期待したいところである。

2. 得意先の要請で進出する中小企業U社と自らの判断で進出するT社

1)U社の概要 : 創業 1960年。従業員80名。プラステイック製品加工

2)課題 : 従来の主要な顧客がタイに進出することになった。このため、工場内の一部に、成型部隊の一部として参加すれば、進出に伴うリスクも少なく、安定した受注が取れるのではないか、とのお誘いがあった。しかし、国内では、確かに売り上げの大きな部分を占めているが、利益面では、相当厳しい取引先でもある。タイの工場の一角に製造ラインとして入ることは確かに売り上げが安定するが、業務を100%管理され、同社以外の受注は出来ない。

3)対策 : そのため、顧客が進出する工場の周辺で、自社工場を借り上げて、製品として納入することによって、1社だけではなく、複数の顧客を開拓する可能性がでてくる。ただし、海外での製造経験が無いため、JETROや既存の進出企業、銀行などの協力を得て、独自の基盤構築を考えている。最初の、タイ人の採用から、外部の助言が求めたいところである。

4)T社の概要 : 創業1985年 従業員62名、精密プレス金型製造業

5)進出の動機 : 現在の売り上げは、国内50%海外50%であり、主にアジアに顧客が展開をしていることから、かねてより海外の拠点を作りたいと、準備をしてきたそのため、顧客めぐりをする都度、適当な工場進出候補地を探してきたところたまたま同社の現在の本社工場に似た工場用地が見つかったため、進出を決定。

6)当然、タイの得意先からの要請もあり、金型製造とともに、一部はプレス加工も現地で行う予定はある。現在、工場建設中であるが、昨年の洪水で休止した工場の幹部を採用するなど、着々と準備を進めている。

7)顧客の開拓とともに、人材確保が重要だとして、幹部のタイ人とともに大学などとの関係作りを行っている。

3. 洪水を経験した中小企業K社の復旧の原状紹介

1)概要 : アユタヤ県のROJANA工業団地の1社。自動車用部品製造業。

2)昨年の洪水の影響 : 2011.10.9にROJANA工業団地が浸水し、代替生産の検討が始まった。サハラタナ工業団地が2週間前に浸水した事から、防御のため工場の周辺にも土嚢を積んだが、浸水が始まると1日で工場が浸水し生産を止めた。同工場はタイ国内の大手自動車会社だけではなく日本向けにも生産している。復旧には「最低でも2―3カ月かかる」見通しから、一部、日本の工場向けはタイでしか生産していない部品があり、日本で代替生産する金型を手配した。また、洪水で工場が稼動できない時期には、国内の工場に応援部隊としてタイ人を送り込んだ。

3)被害と復旧 : 1階の機械設備は全損。鋳物工程の部品は一部取替えで対応できるが、溶解炉は、どのような傷があって、いつ故障が起こるかもしれない、との事から、取替えを行った。全体で70%が取替えをしたことになる。復旧というよりも、製造業安全だといえる状況までおこしたので、再スタートと考えている。

4)昨年の経験が生きている分野 : 工業団地自体が、洪水対策用のよう壁を作っているが、自社でも土嚢は準備をしている。また、昨年行ったように、日本、中国などのグループ内での代替生産ができる。

5)アセアン経済共同体AEC2015にむけて : タイは産業の集積が高いため、自動車業界全体はなくなることは無いが、ミャンマー、ラオス、カンボジアが発展すれば、周辺国に自動車部品が移転する恐れがある。そのため、人材開発には絶えず努める必要がある、と考えている。

4. タイで働くためのヴィザVisa、労働許可の課題

1)タイで外国人がビジネスをするには、3つの規制がかかる。
A.外国人事業法(タイの国内産業を保護する目的もある)
B.外国人の滞在許可(ヴィザ)
C.外国人の労働許可、である。

2)タイは外国企業の投資歓迎と海外から見られるが、実際に当地で仕事をすると手続き面で、面倒なことも多い。たとえば、タイ政府投資委員会BOIの恩典企業であれば、ヴィザ、労働許可は申請すれば3年の長期も取得できる。そのほかの企業の場合は、毎年その地方を管轄する移民局にてヴィザ更新、労働局にて労働許可の更新をする。

3)必要な書類は、パスポート、会社の謄本、株主名簿、決算書、付加価値税、法人税、個人所得税、社会保険料の納付が当然だが、過去3ヶ月にさかのぼって、領収書通り正しく納付されているか、納付した役所に再度、証明をもらうことになる。すべてのコピー面では、代表者のサインがいるため、50-70ページ分はサインをすることになる。

4)課題、問題 : タイに来る出張者、長期滞在者のすべてがヴィザ、労働許可を持っているのか、というとそうではない。たとえば、会議のため、日本から出張する場合は、厳密に言うと、労働をしていることになる。つまり、労働許可が必要である。昨年の災害の復旧で、日本から相当の社員が応援に来た。こられも、必要な手続きをしたかどうか。短期の緊急の場合は(15日以内)は、労働省に届けるだけでよい、とされているが、これすら知らない会社が多い。何か、事件が起こった場合、また現地の企業、現地の労働者とトラブルが起こると、労働許可を所持せず労働をしているのが原因だとして警察に訴えられると、警察としては本人を拘束しての事情聴取、あるいは、罰金を支払って、国外退去も起こりうる。

5)現地の要望 : 不法就労はもちろん取りしまりが必要だが、日本人駐在員の手続きの簡素化が、求められている。また、洪水の応援者のように、被災した工場では手続きもできない状態で、このような手続きをまずしてからでは、応援すらできない。

以 上