各国・地域情報

タイ

作成年月日:2012年9月

海外情報プラス

タイ国情報2012年8月
−インターンシップと労働者不足への対応−

特 集

6月-7月の海外出張が続いたことから、8月はバンコクを中心にタイに滞在しておりました。バンコクから見た周辺国の動きを来訪者との面談を踏まえて報告をします。
第1は、東北の弘前大学の国際センター長が弊社にお見えになって、学生のタイでの研修について相談を受けました。その関係で、電機業界のインターンシップ受け入れについて取材もしましたのでご報告をします。

第2は、バンコク日本人商工会議所、チョンブリ・ラヨン日本人会とのやり取りおよび労働省との面談がありました。4月の最低賃金の上昇と、タイ企業が如何に賃金上昇を乗り越えたか。タイの労働市場、特にAEC2015年を見据えてタイが労働者不足になると見込んで労働者流入政策を進めている一端を紹介します。同時に、日系の機械メーカーの販売会社を取材して、タイの日系企業の省力化、機械化に関しての課題を紹介します。

第3は、洪水後もタイへの企業進出の問い合わせがあることです。山陰のある県関係者がタイ訪問されるなど、各地から海外との提携を探られています。特に、最初は日本語での情報を求まられることから、タイ政府投資委員会の日本語の情報等、日本からタイ関連の情報を入手される手法について紹介します。

1.電機業界のインターンシップ(新卒者採用の一環)

1)概要 : 弘前大学を始めとして東北3大学が日本人学生をアジアの大学や企業にインターンシップとして送り込みたいが、可能性があるかどうか、相談があった。
日系企業の現地化とも関係して、どれだけインターンシップ生を日系企業が受け入れているのか、この機会に取材をすることにした。

2)T電機グループ : 既に10数年前から、大学生の製造業離れもあってアジアの学生を日本人と同じ基準で採用をしている。そのため、既に国籍に関係なくインターンシップを受け入れるように考えている。ただし、時期や受け入れ企業の体制も合って、具体的には日本の本社で相談をして決めている。タイ人であれば、タイの現地法人が判断するが、日本人の場合は、手間がかかることと、既に関係の深い長岡工科大学などもあって、受け入れは日本での対応次第。

3)H電機グループ : 既にアジアの優秀な学生を囲い込む目的で、各種フォーラム、奨学金を用意している。今回の弘前大学の申し入れは、できれば日本での対応をお願いしたい。アジアの学生は、シンガポールを始め各国で既に受け入れを開始しており、現地の教育機関とは良い関係を結んでいる。タイには、泰日工科大学など新しく日本語が出来る工業大学があって、奨学金などの支援を始めている。 Hグループ各社個別の対応ではなく、グループとして方針を決めている。

4)M電機グループ : 人事に関しては各社の独自性を重視している。グループ各社は、パートナーとの関係もあって、人材採用は個別に対応しているのが現状である。タイ人であれば、各社ともインターンを受け入れているが、日本人のインターンは、体制を整備中。

5)日本から来訪された別の重電は、海外の学生を受け入れるまでいたっていない。
  現地に出ると、現地人の採用を中心に考えるのが当然で、インターンシップとして学生時代から素質、能力など見極める人材が居ない。この点が、ある意味で課題となる。人事、総務マターは現地の管理者が中心となる。

6)中堅の電機メーカーの幹部に取材すると、既にタイの大学からインターンシップを受け入れているが、日本からの学生は受け入れの対応が難しい、とのこと。このように現地化が進む電機業界では、日本人のインターンシップではなく、現地に根付いた学卒者の選別、採用の一環として活用をしている。

2.タイは労働者不足かー日本企業の事例とその対策

1)タイ労働省の動き

@事務次官 (中央賃金委員会、会長でもある関係で、最低賃金がバンコク都内を始め集権県で2012.4から300THBになったが、影響がどうか、注意してきた。一部の適用が遅れた企業はあるが、大半は4月から最低賃金を300THBに引き上げた。2013.1から、地方都市も300THBに上げることは確定。この点は、今の政権党の公約でもあり、約束を反故に出来ない。

A一部の企業では、300THBにひきあげるように争議もあったが、今の時点では落ち着いている。特に、自動車業界は、生産は拡大しており、労働者確保の観点からも,300THB以上で募集している。

2)ラヨン地区の日系企業

チョンブリ・ラヨン日本人会の幹事会社は、大半が自動車関連企業に関係するため、昨年の洪水以後復興需要、新車発売の好調なマツダ、三菱に関係するところが多い。そのため、自動車部品会社では不足する労働者をカンボジア、ミャンマーなどの外国人労働者を派遣する下請け企業に任さないと対応できない。

3)プラチンブリの工業団地

@自動車のプレス部品を加工するS社を訪問。主要な顧客からは、同社の技術を高く評価されているため工場の設備はフル稼働である。工場の拡張を行っても受注を断るほどである。労働者確保に関しては、同団地内で労働条件を一番高くしているため、定着異性が高く、また、優秀なワーカーが勤務してくれている。これは、幹部とのコミュニケーションをタイ語でほぼできることと、企業の業績が上がれば収益に応じて成果配分をする、オープンな経営姿勢があるからだろう。

A元日系の工場で、地場の会社に買収されたK社も取材をした。グループ内でのビジネスを優先して、R&Dなどの投資は少ない。地方のため、新規学卒者の採用は難しい、というのが現状。従業員が1500名も越えると、従業員の送迎にもバスを利用しており、夕方の退社時間と重なったこともあり、工場の広さと従業員の多さに圧倒された。

Bアユタヤ地区にあるH自動車がプラチンブリに進出する,というニュースもあった。このためプラチンブリ県の工業団地、数箇所を訪問したが、既に県内の中心部にH社が入るアユタヤにあるR工業団地が開発される予定であった。同じ県内には、倒産したPark Land工業団地を買収して経営するH工業団地もあり、東部地区にさまざまな業種の産業が代替工場を設置する動きがある。それだけに、東部地区に進出する工場は管理者から、ワーカーレベルまでの労働者確保の準備をされている。2013年1月からの最低賃金300THB引き上げももちろん想定で、A社では、機械化を進めたラインを東部に置いて、従来の熟練を要する部門はバンコクの近くに置くという。


4)機械メーカーから見たオートメーション化

ロボットなど工場の機械化を進めYメーカーのタイ販売会社を取材して、日系企業のオートメーション化がどの程度進んでいるか、取材をした。同社を始め日系のロボットメーカーは洪水の復興需要とともに人件費の高騰と、品質の安定のため相当数のロボットがタイに導入されている。今後とも最低賃金上昇は各社とも承知しており、高い技術力を維持するには、熟練した従業員を育成することも重要だが、同時に、設備や機械も日本同様に進める必要があるとの認識がある。
(参考)バンコク週報9/7号 http://www.bangkokshuho.com/article_detail.php?id=529


3. 日本からタイの情報を入手される手法

8/22から山陰のある県の産業振興財団 より数回、タイおよび周辺国に関する情報収集について、質問を受けた。JETROなど、経済産業省の関連団体以外にも、各国政府の投資促進部門が日本にある大使館に情報提供の部局があることから積極的に活用するように助言をした。

以下タイの日系企業を中心に日本語で情報収集の出来るサイトを紹介する。
 @) タイ政府 投資委員会 www.boi.go.th
 A) 日本アセアンセンター http://www.asean.or.jp/ja
 B) 在京タイ大使館 www.th.emb-japan.go.jp/jp/news/mz/mz_71.htm
 C) バンコク日本人商工会議所 www.jcc.ort.th
 D) チョンブリラヨン日本人会 www.crja.org
 E) 生活ビジネス電話帳 ハロータイランド www.hellothai.com
 F) バンコクスマートページ http://www.smartpagebk.com/
 G) タイの労働市場、労務管理 http://www.ovta.or.jp/info/index.html
 H) バンコク週報 www.bangkokshuho.com/

以 上