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作成年月日:2019年12月
インドネシア共和国

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インドネシア国情報2019年11月

今月のテーマ

「インドネシアのキャッシュレス決済事情」


インドネシアでは今、急速にキャッシュレス化の波が押し寄せてきています。ショッピングモールを歩けば、店舗の入り口には様々なキャッシュレス決済に対応していることを示すボードがずらりと並んでいます。このような光景を目にするようになったのもここ最近の話。国土が広大で地方によっては銀行やATMまでのアクセスが悪かったり、所得水準が低いため与信が受けられないインドネシアでは、これまで銀行口座の保有率やクレジットカードの所有率が低く、現金への依存率がとても高い国でした。今回はそんなインドネシアの最近のキャッシュレス決済事情についてお話したいと思います。

 

まず、インドネシアで利用されているキャッシュレス決済方法には以下のようなものがあります。


・クレジットカード、デビットカード
・電子マネーカード
・QRコード決済(電子ウォレット)

 

クレジットカード、デビットカード

人口2億6,000万人に対して、2019年1月時点でのクレジットカードの発行枚数は1,700万枚程度。昨年と比較しても発行枚数はやや減少しており、クレジットカードの利用者は全体の4%程度にとどまっているというデータもあります。デビットカードの利用者は、クレジットカードよりも多いですが、10%程度と決して高くありません。そもそも、15歳以上の銀行口座の保有率が40%に達していないのです。地方によっては銀行やATMまでのアクセスが良くないこと、所得が低いために与信を受けられないことが現金に対する依存度が非常に高くしていると考えられますが、決済を受け入れる店舗にとっても、各カード会社の処理端末を配置していないと使用できないため、導入のハードルが高いことも一つの要因となっています。

ただ、高額な買い物であったり、分割払いを行う場合にはクレジットカードが必要になります。また、オンライン決済やスマホ決済も便利になってきているほか、家電購入時の分割金利がゼロになったり、クレジットカード会社と提携するレストランでディスカウントを受けられるなど、普及率は前述のようにとどまっていますが、利用金額は増加傾向にあります。

 

電子マネーカード

電子マネーカードは、現在インドネシアの銀行4行から発行されています。インドネシアの電子マネーカードは、銀行口座を開設しなくても利用できるプリペイド式となっており、駅構内やコンビニで身分証の提示なしで購入することができます。銀行、ATM、コンビニなどで手軽に入金することができますが、上限額が100万ルピア(約7,800円)までに制限されているため、バス・通勤電車などの交通機関の運賃や、駐車場・高速道路の利用料金など小額の取引に利用されています。当初は、高速道路の決済手段に電子マネーカードが導入されたことにより短期間のうちに普及しました。現在、電子マネーカードの名前と発行銀行は次のとおり。


・「e-money」Bank Mandiri
・「Flazz」BCA
・「TapCash」BNI
・「BRIZZI」BRI

 

QRコード決済(電子ウォレット)

インドネシアでは、スマートフォンの普及率が高く、2016年にはスマートフォンの所持率が100%を超えました。国民1人につき1台以上を所持している計算になります。そのため、スマートフォンの普及率は、銀行口座、デビットカード、クレジットカードの普及率を大きく上回っていること、QRコードの読み取り機が比較的安価で店舗に導入できることから、レストランだけでなく屋台でも導入している店舗が増えており、今後もっとも普及が進むキャッシュレス決済の手段として注目を集めています。入金できる金額の上限額は200万ルピア(約1万5,500円)と比較的小額ですが、飲食物、Eコマース、通信料などと利用の範囲は広がっています。各社がQRコード決済の普及を推し進めるため、ディスカウント争いを繰り広げています。

 

・Go−Pay

Go−Payは、配車アプリのGo−Jekが提供するQR決済サービスで、QRコード決済の火付け役。当初は、バイクの配車アプリとしてスタートしたGo−Jekは、その利便性から瞬く間に利用者を増やし、自動車の配車サービス、食品配達、クリーニング、マッサージと横展開しました。Go−Jekが提供するサービスの大部分で独占的にGo−Payが利用できるのが強みです。

 

・OVO

インドネシア財閥企業であるリッポーグループが開始したサービス。Go-Jekに対抗するために、配車アプリのGrabやEコマースのTokopediaと提携して急拡大をしています。リッポーグループとの繋がりにより、いち早くショッピングモールのテナントやデパートチェーンのMatahariなどで展開されました。

 

・LinkAja

インドネシア最大の通信事業者であるTelkomが持っていたT-Cashに、マンディリ銀行、BNI銀行、BRI銀行などの国営銀行のサービスが統合されて誕生しました。各社が提供している電子マネーカード「e-money」、「TapCash」、「BRIZZI」は、将来的にLinkAjaにまとめられる計画になっています。

 

紹介したQRコード決済以外にも、「Dana」、「Shopee Pay」など、新たなサービスが次々に誕生し、群雄割拠の時代となっています。各社は、キャッシュレス決済の浸透と自社サービスへの囲い込みのために、競い合うようにディスカウント戦略を展開し、ユーザーはもっともディスカウントの大きいサービスを利用するため複数のサービスをスマートフォンに入れて持ち歩いています。利便性の高さから、インドネシアではQRコード決済がますます普及していくものと見られます。

 

以 上

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