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インドネシア

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作成年月日:2019年10月
インドネシア共和国

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インドネシア国情報2019年9月

今月のテーマ

「拡大するコーヒー市場」


コーヒーは世界中の人々に好んで飲まれており、1日に飲まれるコーヒーの量は20億杯とも言われています。最近ではスターバックスをはじめとするカフェや喫茶店が増えたこともあり、コーヒーを飲むことがライフスタイルとして幅広い層の人々に広く浸透し、ますますコーヒー人気が加速しているように感じます。このように世界中で飲まれているコーヒーですが、生産国は赤道付近のコーヒーベルトとよばれる地域に位置する国々に限られています。インドネシアもそのコーヒーベルトに位置する世界有数のコーヒーの生産国として知られていますが、これまで輸出中心だったインドネシアのコーヒー産業が、国内での消費の伸びを受け、今後ますます成長する産業として注目が高まっています。

 

世界のコーヒーの生産や貿易に関する協定を協議・実施している国際コーヒー機関(ICO)の2018年のデータによると、世界のコーヒーの生産国トップ3にブラジル、ベトナム、コロンビアが挙げられていますが、インドネシアは、それに次ぐ第4位となっています。インドネシアにおけるコーヒーの生産量は、1年間に60万トンに達し、実にその70%以上が海外に輸出されているのです。ですが、一方でインドネシアはコーヒーの消費量が多い国・地域でもEU、アメリカ、ブラジル、日本、ロシアに次いで上位に入っているのです。インドネシアのコーヒー消費量は30万トンを超えており、年々、増加し続けています。

 

インドネシア国内では、豊富にコーヒー豆が生産されているため、以前からコーヒーを飲む習慣はありました。しかし、高品質のコーヒー豆は海外に輸出されるため、国内で飲まれるコーヒーはそれほど品質の高いものではなかったのです。カフェや喫茶店のカウンターで専門知識をもってコーヒーを作るバリスタという職業も、独学でコーヒーを淹れるお店が多く、特別な知識やスキルのない一般的な給仕人が務めていたため、専門職として認識されず、知名度もあまりありませんでした。ところが、カフェや喫茶店が増えると、コーヒーに関するフェスティバル、セミナー、コンペティションも頻繁に開催され、コーヒービジネスの拡大とともに、バリスタの知名度と地位は高まっていき、近年ではバリスタを養成するためのスクールも増えています。正しい知識とスキルを身につけたバリスタにはカフェも高い給与を支払うため、一般的な労働者よりも高い給与を受け取っているバリスタも少なくありません。国内のバリスタの需要は高まったことにより、カフェ同士で優秀なバリスタの引き抜きさえ発生している状況です。

 

インドネシアは、赤道付近のコーヒーベルトをまたぎ、東西に5,110キロという広範な土地を有しています。標高、気候、火山など地域によって環境が異なるため、バリエーションに富んだコーヒー豆が生産されています。国内で生産されるコーヒーには、アラビカ種、ロブスタ種、リベリカ種の3種類がありますが、ロブスタ種は、インスタントコーヒーに使われ、国内のコーヒー市場の70%を占めています。より苦みの強いロブスタ種は、スマトラ島のランプン、バリ島、ジャワ島、ヌサ・トゥンガラ島で生産されています。一方、酸味の強いアラビカ種はカフェや喫茶店で飲まれることが多く、スマトラ島のガヨ、スラウェシ島のトラジャ、ニューギニア島のワメナ、バリ島、フローレス島、などで生産されています。もう一つのリベリカ種は、アフリカからの外来のコーヒーで、スマトラ島のリアウ、ベンクル、ジャンビでよく見かけられます。

 

地域によってコーヒーの味や香りに以下のような特徴があります。

ガヨ(スマトラ島):アロマが強く、酸味が弱いのが特徴。

リントン(スマトラ島):味の特徴が強く、複雑な味わいがある。

マンダリン(スマトラ島):酸味が弱く、香ばしく、後味として甘味が残る。

トラジャ(スラウェシ島):酸味は弱く、チョコや土のような香りがある。

キンタマーニ(バリ島):みかんのような爽やかな酸味があり、強く甘い香りがする。

 

コーヒー豆の形状や味から高評価を受けたものが国際基準を満たす最高品質のスペシャルコーヒーとよばれます。スペシャルコーヒーの割合は2016年に生産量全体の3%程度だったものが、2019年には7〜8%まで増加しました。国際競技にインドネシアのコーヒーが登場する機会が増えたことや、優秀なバリスタが増えたことなどがその要因として挙げられます。コーヒーの品質は上流から下流までのすべての生産過程に影響を受けるため、コーヒー豆を植えるところから、収穫、選別、保存、焙煎などの方法によって決まります。現在、アラビカ種のコーヒーは1キロあたり8〜15万ルピア、高いものでは20万ルピアを超えるものもあります。政府はさらにインドネシアのコーヒーを世界に普及させるために、国産コーヒー豆にインドネシア産のロゴを加えたり、インセンティブを与えることでインドネシアのコーヒーブランドの向上に注力しています。

 

以 上

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