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作成年月日:2019年7月
インドネシア共和国

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インドネシア国情報2019年6月

今月のテーマ

「ショッピングモールの試み」


直近10年ほどの間にインドネシアにはショッピングモールが次々と建設され、2018年までにジャカルタで80店舗以上、インドネシア全体では700店舗以上ものショッピングモールができています。プラザ・インドネシア、プラザ・スナヤン、セントラルパーク・モール、リッポーモール、イオンモールなど、至るところに大規模なショッピングモールが並びますが、これだけショッピングモールが建設されても、まだショッピングモール建設の計画はしばらく先まであるようです。深刻な渋滞やオンラインショップの影響もあって、消費者はより手軽で効率的な買い物を好む傾向が強くなっており、最近では小売業の業績は低迷していると言われているなか、ショッピングモールはどのように戦っているのでしょうか。

 

ジャカルタでは、販売施設に関する条例があり、ショッピングセンターでは全体の建物のうち、少なくとも20%は中小零細事業者のために割り当てないといけないという決まりがあります。伝統的市場で事業を行っていた中小零細事業者を守るための優遇策ではありますが、ジャカルタではショッピングモールの事業環境はますます厳しくなってきています。インドネシア・ショッピングセンター協会は、ショッピングモールの今後の発展のために条例について交渉しているそうですが、ショッピングモールに入居するテナントをいかに調整するかが重要なため、条例が変わらないままだと、いずれジャカルタのショッピングモールは衰退してしまいかねません。一方、ジャワ島外ではショッピングモール市場は好調で、まだ堅実に成長が続くと見られています。その一因には、ジャワ島ほど厳しい条例がないことがあげられます。ショッピングモールは、投資を回収するまでに12年近くかかると言われていることから、魅力的なテナントを増やすのは喫緊の課題なのです。

 

小売業の低迷や条例による規制などもあり、ジャカルタではショッピングモールを単体で建設したのでは経営が難しく、顧客を収集する目的でマンション併設型やホテル併設型などの複合施設としてデザインされるケースが増えています。また、ジャカルタ首都圏にはショッピングモールが集中していますが、ショッピングモールの競争は顧客を集めるために必要な要素です。シンガポールのオーチャードロードエリアなど、ショッピング施設が多く集積していると顧客が常に集まり、賑わいを欠かしません。ジャカルタでは、東ジャカルタにあるクラパガディンエリアのモール・アルタ・ガディン、クラパ・ガディン・モール、モール・オブ・インドネシアや、中央ジャカルタのプラザ・インドネシア、グランド・インドネシア、EXモール、タムリン・シティも同様です。これらはワンストップショッピングエリアとして、それぞれのショッピングモールによってランクや取扱商品の差別化をはかることによって社会のライフスタイルを満たすことが求められています。

 

そのほか、ショッピングモールやテナントが行う戦略にセールというものがあります。通常、セールはショッピングモールやテナントごとに1年に4回、第一四半期のイムレック(中国正月)のセール、第二四半期のラマダン・レバラン(イスラム教大祭)セール、第三四半期のインドネシア独立記念日セール、第四四半期のクリスマス・新年セールが行われ、セール期間の売上だけで年間売上の30%に達します。セールは売上を伸ばすだけでなく、新商品や新サービスの認知度を上げたり、販売促進の効果も大きく、もっとも効果的な戦略と言われています。

 

今年は、インドネシア・ショッピングセンター協会、インドネシア小売経営者協会、インドネシア・ホテル飲食店協会は、「インドネシア・グレート・セール」と題し、全国で一斉にセール・フェスティバルを開催します。インドネシア全国から実に321のショッピングモールとそれに入居する45,000のテナントが参加し、今年8月14日から25日まで11日間にわたり行われます。このようにセールが全国規模で開催されるのは、「インドネシア・グレート・セール」がはじめてで、去年のイベントよりも顧客数と売上高の20%アップを目標にしています。セール期間中は、5%から最大70%の値引きを行われますが、このようなセールのプロモーションを複数のショッピングモールで同時に行うことで、それぞれのテナントが個別に行うよりも強い集客力が生まれます。

 

このセールは、インドネシアの74年目にあたる独立記念日のためのオンライン商戦と同時期に重なりますが、ショッピングモールには、ただ買い物をして、食事をするだけでなく、実際に訪れることによって得られる体験があるため、オンラインに代えられない魅力を持っているのは確かです。オンライン市場が拡大していくなか、閉店を余儀なくされるテナントもありますが、消費者は常に新しい店舗をもとめているため、消費者の幅広いライフスタイルを実現するため、新しく魅力的なテナントに入れ替え、ショッピングモール全体を魅力的に見せる必要があるのはもちろん、さらにクリエイティブで斬新な戦略が求められています。


以 上

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