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インドネシア

作成年月日:2019年4月
インドネシア共和国

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インドネシア国情報2019年3月

今月のテーマ

念願のMRTがついに開通


先月3月24日に待望された大量高速鉄道(MRT)がついに開通し、ジョコウィ大統領が出席するなか、開業式が行われました。今回、MRT計画の第1フェーズとして開通したのは、南北線と呼ばれる北はグランドインドネシアや日本大使館のある中央ジャカルタのホテル・インドネシア前ロータリー駅から、南は南ジャカルタのルバックブルス駅までの距離にして15.7キロの区間です。そのうち約10キロが地上区間、約6キロが地下区間となっており、ジャカルタの中心に新たな鉄道網が敷かれたのと同時に、インドネシアではじめての地下鉄が誕生しました。これら区間に全13駅があり、渋滞に関わらず30分ほどで移動できるようになりました。

 

MRT南北線の駅一覧

ホテル・インドネシア(HI)前ロータリー駅

ドゥクアタス・BNI駅

スティアブディ・アストラ駅

ブンドゥンガンヒリル駅

イストラ・マンディリ駅

スナヤン駅

アセアン駅

ブロックM駅

ブロックA駅

ハジナウィ駅

チプテラヤ駅

ファトマワティ駅

ルバックブルス駅(車両基地)

 

実は、MRTは今から30年以上も前の1986年から開発の計画がありました。ところが、1997年のアジア通貨危機の際に計画が凍結されて以来、しばらく頓挫していたのです。その間、ジャカルタは経済成長にともなって車やバイクを保有する人の数が増え続け、渋滞の深刻さは増し、渋滞がジャカルタの代名詞と言われるまでになってしまいました。2005年になって、当時のユドヨノ大統領がMRTは国家プロジェクトであると宣言すると、再びMRTプロジェクトは動き出しました。それから日本政府による円借款契約が締結されたことで本格的に基本設計が始まり、ようやくジョコウィ大統領がジャカルタ特別州知事だった2013年に起工式が行われました。建設が開始された当初は、土地収用問題でいきなり困難に直面し、予定されていた2019年の完成は難しいだろうと言われましたが、結果として工期を短縮し見事に開業に間に合わせました。実に30年以上の期間を経て、ついにジャカルタに念願のMRTが完成したのです。

 

3月ごろから一般市民を対象にした無料の試乗が開始され、特に週末はインドネシアで初めての地下鉄を体験しようと多くの人が押し寄せました。SNSでは多くの緊張や興奮の様子が投稿されましたが、同時に改札や駅構内の施設など一部の準備が整っていない、MRTの設備は最新だが利用者のマナーが悪く、車内に座り込んでいる人がいる、至るところにごみが落ちているなどという声も聞かれました。ですが、その後も準備が進み、快適に利用され始めているようです。4月からは正式に乗車料金も決定し、料金を支払っての一般利用も開始されました。乗車料金は距離に応じて3,000ルピア〜14,000ルピア(日本円で25円〜110円程度)と設定されました。既存のバスであるトランスジャカルタの一律3,500ルピアと比較すると高い料金設定のため、移動手段として優位性の理解を促進し、利用者を定着させるため、4月中は料金を半額にして運行しています。また、しばらくは朝5時30分に始発がルバックブルスを出発し、終電は22時30分、その間8台の電車が10分刻みで運行していますが、将来的には16台まで増やし、5分刻みに運行させ、始発の5時から終電の24時までと運行時間を延長する計画です。

 

MRT駅には、エレベータやエスカレータが備え付けられており、駅構内にはトイレの他にも礼拝室や授乳室があり、コンビニエンスストアやカフェも次々にオープンしています。4月上旬現在、まだ券売機は利用できませんが、窓口でシングルトリップ(1回乗車券)を購入するほか、高速道路などで利用できる各銀行が発行している電子決済カードでも乗車することが可能です。すべてのホームには、落下防止用のガードが施されており、乗降車がスムーズに行われるように整列用のラインも引かれています。出来たばかりということもあり、駅構内や電車内は先進国並みと言っても過言ではありません。

 

しかし、MRTはまだ第1区間が開通したばかりです。今後、運行本数が増え、駅構内が充実していくだけでなく、2020年には第2区間として南北線の7.8キロの北部延伸建設、その後には東西線として約32キロの建設が計画されています。ユスフ・カラ副大統領は、これからの10年間で200キロのMRT網を整備したいと話しており、今回の第1区間の開通を弾みに、さらに勢いをつけてインドネシアが成長していく様相を見せており、人々の期待が高まっているのを強く感じます。

 

以 上