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インドネシア

作成年月日:2019年2月
インドネシア共和国

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インドネシア国情報2019年1月

今月のテーマ

「プラスチックごみに対する取り組み」


今、インドネシアでは急速にプラスチックごみに対する取り組みが進んでいます。インドネシアでは、これまで住民のごみに対する意識が薄く、道路や川などのごみ捨て場でないところにごみを廃棄する様子がよく見られました。ごみの分別や回収、リサイクルはおろか、ごみ処理を行う施設も十分に整っておらず、今もなお、川や路地の隅にごみが溢れているのが実態です。インドネシアの経済成長とともにプラスチックの使用量が増加すると、近年は、ごみが深刻な社会問題となってきました。そんな中、インドネシアが中国に次いで世界で2番目にプラスチックごみを廃棄している国と公表されると、インドネシア政府は喫緊の課題としてごみ問題を取り扱うようになり、2025年までに海洋でのプラスチックごみを70%削減するという目標をかかげました。

 

また、川や海で廃棄したごみが海洋に影響を与えていることがメディアで取り上げられたことによって、国民の意識も変わり始めています。2018年11月には南スラウェシで全長9.5メートルのマッコウクジラの屍骸が浜に打ち上げられ、その体内からペットボトル、インスタントラーメンのパッケージ袋、サンダル、レジ袋など、約6キロものプラスチックごみが発見されるという出来事がありました。また、同様にプラスチックが体に絡まったウミガメの屍骸が見つかったり、バリ島のビーチに大量のごみが流れ着いている様子が報道されました。これを受けて、マクドナルドではプラスチック製のストローの配布を止めたり、政府施設内での使い捨てペットボトルやタッパーなどのプラスチック製品の使用を禁止する動きが起こり始めました。

 

ごみのなかでもプラスチックは自然に分解されないものが多いため環境への負荷が大きく、気候変動、環境汚染、人体への影響も懸念されています。プラスチックは自然分解されるまでに数百年から数千年もかかるだけでなく、生産、消費、廃棄のプロセスにおいて炭素を大量に排出するため温暖化を進めてしまうほか、廃棄されたプラスチックが配水管や水路の詰まりをまねき、洪水を起こしたり、周辺の生息動物が食べてしまうとエコシステムの破壊につながります。また、プラスチックを焼却することで大気汚染や呼吸障害などの原因にもなっています。

 

そこで、2018年末ごろからいくつかの地方政府がプラスチックでできた使い捨てレジ袋の使用禁止し、環境に優しい代替品を利用するよう条例で定め始めたのです。現在までに使い捨てレジ袋の使用を制限する条例を定めたのは、バンジャルマシン、デンパサール、バンドゥン、ボゴールの4都市。ジャカルタ特別州も昨年末から条例制定に向けた検討を進めています。これまでにもプラスチックごみの削減を目的にレジ袋の有料化を実施した都市もありましたが、目に見えた成果が得られず、レジ袋の使用禁止ということで今回さらに踏み切ったかたちです。レジ袋の使用禁止は、まずは小売店や市場などの提供者を対象に適用され、段階的に一般消費者にも適用される計画です。条例の発布後6ヶ月は周知のための期間として使用者には注意が行われますが、その後は500万ルピアから2,500万ルピア程度の罰金を科すことも検討されています。

 

ジャカルタでは2013年にポイ捨て禁止条例が制定されましたが、住民に対して十分な周知徹底ができておらず、現在は、カーフリーデーに特定の場所で取締りを行っている程度です。そのため、レジ袋の使用禁止についての条例を発布しても、プラスチック製のレジ袋に代わるものが十分に準備できていない状態では、提供者と一般消費者を困難に陥れてしまうため、小売店、市場、学校などに対してレジ袋の使用を止めるよう呼びかけていくなど慎重に検討を進めています。

 

一方で、プラスチック工業協会は、そもそも、ごみが不適切な場所に廃棄されることが問題なのであって、レジ袋の使用を禁止して十分な効果が得られるのかは再度調査する必要があるとし、むしろ、ごみの管理を改善する必要があると主張しています。プラスチック製品に対する規制は同産業に対する締め付けによる衰退に直結し、中小零細企業の倒産も招きかねないためです。レジ袋の使用を禁止するのではなく、シンガポールや香港などのような先進国で実施されているごみ処理システムを参考に、ごみ処理性能を向上させる動きをとっている地方政府もあります。

 

プラスチックごみに対する動きが急速に進むなか、十分に議論されていないためにレジ袋の使用禁止のような一部の施策が目立ってしまいますが、条例の制定や反発する動きのなかで確実に環境に対する意識は芽生え始めています。2025年の政府目標を達成するためには、住民の意識が変わり、より包括的な施策の実行が不可欠です。レジ袋の使用禁止をきっかけに、インドネシアの環境に対する意識が今、変わろうとしています。

 

以 上