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インドネシア

作成年月日:2018年8月
インドネシア共和国

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インドネシア国情報2018年7月

今月のテーマ

「インダストリー4.0に向けた動き」


ここ最近、インドネシアでは「インダストリー4.0」という言葉が注目を浴びています。インダストリー4.0とは、製造業のデジタル化、コンピュータ化を目指すドイツの国家プロジェクトとして2011年に誕生した言葉で、工場内のすべての機器類にセンサーを取り付け、生産工程や流通工程をインターネットで一括管理しようというものです。インターネットの即時性を活かし、集められた情報を人間が指示することなく機械が瞬時に判断できるようになるため、生産コストや流通コストを削減させ、生産性を大幅に高めることが期待されています。

インダストリー4.0は、第4次産業革命とも呼ばれます。これまで、第1次産業革命から第3次産業革命へと社会構造の変化とともに人々の生活も大きく変化してきました。1700年代後半から1800年代前半にかけて、イギリスで石炭を動力とする蒸気機関が発明された第1次産業革命では、これまでの手作業から蒸気機関による機械化が進み作業効率が大幅に向上しました。次に1800年代後半には、アメリカとドイツを中心に電気エネルギーによる第2次産業革命が起こり、エンジンを動かすエネルギーが石油に変わり、電力の普及により大量生産が可能になりました。さらに1900年代後半には第3次産業革命が起こり、コンピューターが工場に導入されると人間の指示で生産の自動化が実現されました。そして、さらなる技術革新としてドイツ、アメリカ、日本など世界各国で現在進められているのが、インダストリー4.0なのです。

インドネシアでインダストリー4.0が注目されるようになったのは、2018年4月にジャカルタで開催されたインドネシア産業サミットがきっかけで、ジョコ・ウィドド大統領も出席するなか、アイルランガ工業相が「Making Indonesia 4.0」というインダストリー4.0に向けた2030年までのロードマップを発表しました。インドネシアは2000年以降、サービス業が支える経済に移ってきており、これまで製造業がGDPに貢献する割合は2001年の26%から2016年には20%まで縮小し続けていましたが、インダストリー4.0をインドネシアの製造業を再活性化するチャンスとして捉え、2030年に世界の10大経済国になるというビジョンを実現するための促進剤にしたい考えです。GDPで見ると、インドネシアは2000年は27位でしたが、国内の強い消費と投資に後押しされて2016年には16位まで着実に成長を果たしています。Making Indonesia 4.0では、人工知能(AI)、モノのインターネット(IoT)、ウェアラブルズ(装着型機器)、高度ロボット工学、3Dプリンターなどの高度技術を産業に活用することにより、世界の10大経済国に加わることのほかに、2030年までに達成したい指標として、労働コストに対する生産性を2倍に引き上げること、GDPに対する純輸出の割合を10%まで引き上げること、GDPの2%を研究、開発、設計、イノベーションのための活動に割り当てることを掲げています。

Making Indonesia 4.0には、5つの優先産業と10の国家優先戦略も策定されています。はじめに注力する優先産業として、食品・飲料、繊維・衣料、自動車、化学、エレクトロニクスが指定されました。いずれも海外での需要が高く、国際競争力を持つ生産拠点があるため輸出に貢献ができ、製造分野でのGDPに対する貢献が大きい産業です。これらの産業の2017年のGDPに対する割合は12.67%で、非石油産業分野の70.86%を占めています。また、インダストリー4.0の実現に向けて推し進める10の国家戦略は以下のようにまとめられています。

 

インダストリー4.0の実現に向けて推し進める10の国家優先戦略

1. 原料料の流れ改善

原材料や高価値部品の国内製造能力を強化し、輸入に頼る状態を改善する

2. 工業地帯の再設計

地理学、交通、インフラの側面から土地を最大限活用できるよう包括的かつ産業横断的な工業地帯のロードマップを作成する

3. 持続可能性への適応

クリーンテクノロジー、EV、バイオ化学、再生可能エネルギーなどの分野に規制緩和、優遇税制、補助金を設け、持続可能な環境に優しい技術の投資を誘致する

4. 中小企業の育成

Eコマース、技術支援、技術革新のための指導により中小企業サポートする

5. デジタルインフラの構築

クラウド、データセンター、セキュリティマネジメント、ブロードバンドなどの投資促進により国際基準のデジタルインフラを構築する

6. 外国投資の誘致

有力製造業を誘致により技術を補填し、国内企業への技海術移転を推進する

7. 人材の質の向上

インダストリー4.0に向けた教育カリキュラムの作成、製造業や外国政府と協力し職業訓練所の品質向上、国際的な人材移動プログラムの改善により速やかな人材の質の向上を実現する

8. イノベーションエコシステムの構築

イノベーションセンター基本計画を構築し、知的財産の保護、産学連携に対するインセンティブなどの規定を整備する

9. 技術投資に対するインセンティブ

補助金や減税、インダストリー4.0の技術適用を約束した企業への輸入関税免税など技術導入に対するインセンティブ計画の再構築をする

10. 規定と政策の調和

製造業の競争力をサポートするために政策を定める省庁と地方政府との連携を強化する


インドネシア政府がまとめるMaking Indonesia 4.0が成功すれば、製造業がGDPに21〜26%の貢献をし、2018年から2030年までGDP成長率を1〜2%伸ばし、年間で6〜7%の成長が期待されています。それ以外にもGDPに対する純輸出の割合も5〜10%まで引き上げ、輸出の拡大により、生産性の向上や雇用の場の創出も実現されます。実現に向けては課題も多いですが、インドネシアの国家プロジェクトとして、Making Indonesia 4.0が確実に実行されるために、これから主要計画や行動計画の策定が始まろうとしています。

 

以 上