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インドネシア

作成年月日:2016年8月
インドネシア共和国

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インドネシア国情報2016年7月

今月のテーマ

ジャカルタの交通について1」


ジャカルタでは日本とは比較にならないほどの渋滞が発生します。ひどい時には1Km進むのに2時間かかることもあります。

ジャカルタの幹線道路は、日中どこもかしこも激しい渋滞となっています。市民が豊かになり自家用車をもつ家庭が増え、また、市内にはおびただしい数のバイクが走っています。このバイクライダー達の交通モラルは残念ながら非常に低く、信号は守らない、左右どこからでも割り込み運転、バス専用レーンへの侵入などは日常茶飯事です。

また、雨が降るとバイクライダー達は雨避けのため橋の下など屋根のある場所に避難して、雨合羽の準備をしたり、雨の様子をみたりするため、バイクと運転手が多数溜まりスムーズな交通の妨げとなります。

渋滞を引き起こしている原因はいくつか考えられますが、最大の理由としては広い幹線道路に必要な交差点、立体交差点が十分に作られていないことがあげられます。

例えば、広い道路の反対側にあるビルに行くのに車で行こうとすると、方向を変える場所がないため3〜5キロ以上先まで走らなければいけない場合が多くみられます。右左折する車とUターンしたい車が数少ない立体交差点などに集中するため、常にその手前で渋滞が発生します。

特に、スディルマン(Sdirman)通りとガトットスブロト(Gatot Subroto)通りが交差する「スマンギ(Semangi)立体交差」はその最たるもので、在住邦人の間から「あの立体交差には近寄りたくない、あの先に行きたくない」という声もよく聞かれます。

一方、ジャカルタの主要道路には、中央分離帯にUターン用の抜け道が設けられている箇所がたくさんあります。この抜け道の後ろにつく車が渋滞を引き起こします。

このように、市街地で起こっている渋滞は、単純に「車・バイクが多い」という問題だけでなく、そもそも、「道路のレイアウトが悪い」という要因が複合的に加わり、状況を悪化させているのです。

「そんなに渋滞がひどいなら徒歩で移動したらいいのでは?」という意見もあるかもしれませんがジャカルタの道路は、都市計画に基づいて作られたごく少ない幹線道路を除き、歩道がまるで整備されていません。仮に歩道がある場所でさえも、バイク置き場や駐車場、さらには裸体が集まるスペースなどに転用されている。また、スリや物乞いの存在などもあり、歩行者が安全に歩ける道路とは言い難いものになっています。

3in 1 と偶奇ナンバー制度

◆ 3in1制度

ジャカルタの渋滞を少しでも緩和させようと導入されたのが「3in1」という制度です。

車の乗車人数に関する規定で、1台の車にドライバーを含めて3人以上が乗車していなければ規制区域内に入れない、という制度です。1992年に朝のみで採用され2003年より朝夕に拡大されました。

午前7時〜10時、午後4時半〜7時までの間、規制区域(スディルマン通り、タムリン通り、シシンガマガラジャ通り、ガトットスブロト通り、メダン・ムルデカ・バラット通りの5か所)を走行する自家用車に対し3人以上の乗員を義務づけていました。 3人に満たない状態で規制区域内を走っていると、警察に呼び止められ罰金を支払うことになります。

しかし、規制区域前で人数合わせとしてチップと引き替えに自動車に乗り込む「ジョッキー」と呼ばれるヒッチハイカーのような人が路肩で車を呼び、乗り込む姿が多く見られていました。このジョッキーを乗せることにより、このルールを守れることになります。ジョッキーは20,000ルピア(約200円)で拾うことが出来ます。

赤ちゃんや幼い子供を連れた、子連れジョッキー(2人同乗できるという意で)も多数見受けられ、他人の子供に睡眠薬を飲ませて乗車し二人分の金額を稼ごうとするなど子供を巻き込んだ犯罪例もでてきたり、社会的な問題として取り上げられたりもしました。

さらに、ジョッキーを乗せるため道端で駐車する車も多く、結果渋滞をひどくしている、などの指摘を受け2016年4月、一週間「3in1」を試験的に中止。渋滞は普段と変わらず、翌月「3in1」制度は正式に廃止となりました。

 

◆ 偶奇ナンバー制度

特別州は3in1制度の正式な廃止を受け、渋滞に対する抜本的な対策となるシンガポールに習った電子道路課金制度(ERP)の検討しています。しかし、本格導入にはまだ時間がかかることから代替案として四輪車と二輪車のナンバープレート末尾の数字の奇数と偶数かにより二分し、首都中心部の大通りへの乗り入れ規制を行う「偶奇ナンバー制度」が2016年8月より新たに導入されることになりました。

規制は午前7時〜10時までと午後4時〜8時までに限り実施予定。(ここは3in1と同じ)奇数の日には奇数番号、偶数の日には偶数番号の車とバイクのみが通行を許される。対象路線は「3in1」規制区域のほか、トランスジャカルタのバス専用レーンがある大通りへの導入も検討されている。ナンバープレートか車体前部に偶数・奇数を区別する緑と赤のステッカーを貼って識別をする予定。

この制度は中国・北京で2008年に試験導入されました。北京市では各事業所で「時差出退勤」も同時に実施され、効果が認められたことから本格実施になっている。 インドのデリー、フランスのパリでも同様の制度を実施している。しかし、交通の専門家からは偶数・奇数で交通規制を実施する制度は、市民の混乱を招きうまく機能しないのではないかとの懸念の声も出ている。

また、「3in1」で出現したジョッキーのように、抜け穴としてプレートの掛け替えが横行することが考えられます。プレート露天商の男性によると、プレート製造は1枚につき5万〜8万ルピアと安価で2時間ほどで完成すると。余分に作ってプレートを融通しあうことや、番号を偽ってプレートを作ることで偶数と奇数の両方のプレートを持つ運転手がでることが十分予測さるといえます。

まだまだ問題点が山積みなジャカルタの交通事情ですが、試行錯誤を繰り返し少しでも渋滞緩和につながることを市民の皆が思っていることでしょう。

今後の発展に期待したいと思います。

 

以 上