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インドネシア

作成年月日:2015年11月
インドネシア共和国

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インドネシア国情報2015年10月

今月のテーマ

就労許可A」


2015年6月29日に施行された外国人の就労許可の規定について、現時点でも各日系企業で混乱が発生しており、様々な機関(日本政府、法律団体)が日系企業向けにセミナーやパネルディスカッションを行うなどで情報の提供を行っています。

本規定を公布した労働省側でも混乱が続く中、果たしてこの規定の強制力がどこまであるのかが問題となっています。 この度は、その続編として現状をお伝えします。

先ず、前回のおさらいとして、本規程の特徴をここに記します。

@ 外国人1人につき、インドネシア人従業員を最低10人雇用しなければならなくなった。

A 非居住の取締役、およびコミサリス(監査役)も就労許可を取得しなければならなくなった。

B 会議を目的とした場合は、就労許可を取得しなければならなくなった。

C 就労許可の取得要件にあった「大学卒業資格」は取り消され、「適した学歴を有していること」へ変わった。すなわち、大卒者という限定的な表現がなくなったことで、学歴の範囲は広がった。

D インドネシア語の能力は求められなくなった。

上記5つの規定の内、争点となっているのが@・A・Bとされています。

現状はどうなのでしょうか?

 

@ 外国人1人、インドネシア人従業員10人を雇用する「1対10のルール」について

取締役、コミサリス、役員(駐在員事務所所長含む)を除く外国人就労者1名に対し、10人以上のインドネシア人従業員を直接雇用(正社員/契約社員/日雇い社員)しなければならないという規定について、労働省は以下の通り口頭による見解を示しています。

「当該規定は現時点で強制力を持たず、指導は行わないものとする」

よって、この規定を根拠に労働局は指導を行わないと受け止められますが、施行されている以上は将来、指導を行ってくることが想定されるため、外国人の数に比例したインドネシア人従業員の雇用の努力義務はあると認識することが正しい理解と考えます。

そして、駐在員事務所所長は「役員」であるという認識のため、この1対10の原則から対象外となります。ただし、所長代理(Assistant Chief Representative)は役員でないことから、規制の対象となります。

A 非居住の取締役、およびコミサリスの就労許可取得について

会社定款に記載される「取締役」、「コミサリス」に外国人が就任している場合、就労許可IMTAを取得しなければならない当規定は“強制力”があると認識してください。そして、労働省も「今後、この規定の順守を求め指導を行っていく」と回答していることから、早期の対処が必要となっています。

対処法としては以下が考えられており、既に実施をする日系企業が増えてきています。

なお、非居住の取締役、コミサリスが就労許可IMTAのみを取得するのに際し、滞在許可KITASや納税者番号NPWPを必ず取得する必要がないことも労働省は見解を出しています。

その根拠として、「滞在をしていないから滞在許可KITASは不要」であり、「滞在許可がなければ納税者番号NPWPは取得できない、よって納税義務もない」という理解からきます。

方法@

非居住の取締役、コミサリスに対し、就労許可IMTAを取得させる。

(当規定に則して、就労許可IMTAのみを取得)

方法A

非居住の取締役、コミサリスを定款から除名し、居住しているマネジャーを、取締役またはコミサリスに就任させる。

(外国人居住者が就任することでこの規定の問題から解放されます)

方法B

非居住の取締役、コミサリスを定款から除名し、弁護士などインドネシア人の信用のおける者に名義上で就任させる。

(インドネシア人が就任することでこの規定の問題から解放されます)

B 会議を目的とした場合の就労許可取得について

本来、到着ビザ(Visa on Arrival=VOA)で「会議を目的とした入国」が可能でありましたが、本規程により、就労許可を取得することが義務付けられました。

しかし、現在も到着ビザは有効であることから、わざわざ数か月の手続きを経て就労許可を取得するよりも、到着ビザを有効活用し、インドネシアへ会議に来られる企業担当者は多いようです。

ただし、非居住の取締役やコミサリス(就労許可取得が義務付けられた外国人)においては、労働局による監視の目は厳しくなることが考えられるため、就労許可を有していない場合の到着ビザ使用において、空港のイミグレ職員より質問を受けた場合は「インドネシア法人での会議」とは答えず、「ホテルで友人と会う」など、会社業務でない旨、お答えいただく必要があります。

総じてこの度の規程は、ただ単に「外国人数を減らしたい」というものではなく、外国人数に見合ったインドネシア人の雇用義務を与え、インドネシア人への就業機会の促進を求めた政府の外資企業に対するメッセージであると考えます。

なお、以上の内容は、本書面を作成した2015年10月時点の情報となります。インドネシアの法令は朝令暮改がよくありますので、最新の情報を入手して判断することをお勧めします。

(了)