各国・地域情報

インドネシア

作成年月日:2015年10月
インドネシア共和国

海外情報プラス

インドネシア国情報2015年9月

今月のテーマ

就労許可」


2015年6月29日、労働移住大臣が新たな規定を施行させ、外資系企業を中心に大きな混乱を生じさせています。 今月は、「外国人利用手順に関する大臣規程2015年・第12号(以下、本規程)」について、分かりやすく解説します。

 

本規程の主な特徴

  1. 外国人1人につき、インドネシア人従業員を最低10人雇用しなければならなくなった。
  2. 非居住の取締役、およびコミサリス(監査役)も就労許可を取得しなければならなくなった。
  3. 会議を目的とした場合は、就労許可を取得しなければならなくなった。
  4. 就労許可の取得要件にあった「大学卒業資格」は取り消され、「適した学歴を有していること」へ変わった。すなわち、大卒者という限定的な表現がなくなったことで、就労許可が取得できる学歴の範囲は広がった。
  5. インドネシア語の能力は求められなくなった。

上記5つの規定は、従来の規定では謳われていなかった規定であり、本規程より新たに規定された事項となります。では以下より、1. 2. 3.で挙げられた規定の対処法を解説します。

1.外国人1人、インドネシア人従業員10人を雇用する「1対10のルール」について

取締役、コミサリス、役員(駐在員事務所所長含む)を除く外国人就労者1名に対し、10人以上のインドネシア人従業員を直接雇用(正社員/契約社員/日雇い社員)しなければならないという規定です。従業員数の多い会社では問題とならない規定ですが、商社、コンサルティング会社、駐在員事務所といった所帯の小さい会社では致命的な問題となります。対処法としては、役員未満(GM/Manager/Advisorなど)で就労する外国人を減らす、或いはインドネシア人従業員を増やす、或いは役員未満の外国人を取締役などに就任させることで回避すること、などが挙げられます。

2.非居住の取締役、およびコミサリスの就労許可取得について

日本の慣習として、本社役員や重役の名前をインドネシア法人の会社定款に「取締役」、「コミサリス」として入れていた会社では、本社の承認を得る必要がありますが、インドネシアの経営に直接の関わりが無ければ/薄ければ、株主総会にて解任し、会社定款から除名します。そこで、直接の経営実務に携わるインドネシア居住の取締役のみを定款に残すことです。その他、非居住であるがどうしても定款から除名ができない場合においては、就労許可のみ取得をさせ、この度の本規程に違法とならないよう対応することです。また、コミサリス(取締役の監視・監督が主たる職務)においては、役員未満の外国人をコミサリスに就任をさせることで回避ができますし、または非居住のコミサリスに就労許可を取得させる、あるいはインドネシア人に就任させる、などの対応が考えられます。

3. 会議を目的とした場合の就労許可取得について

本来、到着ビザ(Visa on Arrival=VOA)で「会議を目的とした入国」が可能でありましたが、本規程により、就労許可を取得することが義務付けられました。しかし、現在も到着ビザは有効であることから、わざわざ数か月の手続きを経て就労許可を取得するよりも、到着ビザを有効活用し、インドネシアへ会議に来られる企業担当者は多いようです。ただし、非居住の取締役やコミサリス(就労許可取得が義務付けられた外国人)においては、労働局による監視の目は厳しくなることが考えられるため、就労許可を有していない場合の到着ビザ使用において、空港のイミグレ職員より質問を受けた場合「インドネシア法人での会議」と答えてしまうと、会社の業務で入国したとみなされる可能性が高くなります。

本規程は、そもそもインドネシア政府が内資企業の成長を促そうという本来の考えに、「外国人の数をむやみに増やすのではなく、外国人および外資企業はインドネシア人の雇用を創出し、早期にインドネシア人従業員へ技術移転を行うべきである」という考えから、このような規定が策定されたと言われています。

ここ数年間、外国人や外資企業に対する規制の強化は続いており、今後も本規程が改定されることは考えられにくいため、外国人を継続雇用しなければならない企業は、常に外国人とインドネシア人従業員の比率を考えておかなければなりません。

(了)