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インドネシア

作成年月日:2015年4月
インドネシア共和国

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インドネシア国情報2015年3月

今月のテーマ

外国人が人事に携われない


先ず、インドネシアの労働法では、「人事」に外国人が携わることが認められていません。(2003年労働法第13号) それは350年以上もの間、オランダや日本に統治され占領を受けた歴史からくるもので、“今後、そして将来も外国人に管理されるべきでない” という考えから、この法律が規定されたと言われています。この法律が、どのように会社経営に影響が出ているかについて解説します。

◇人事に関連する就労ビザ取得は不可◇

当然のことながら、外国人が就労ビザを取得するのに際して、「人事」という職種で許可を得ることはできませんし、関連する「総務」、「採用」といった職種での許可も得られていないのが実情です。

◇組織図◇

例として、日本人部長が配下の組織に「人事」のみを置く場合は違法となります。そのため「人事」だけでなく、「営業」、「経理」なども管理する組織に加えるなどし、”兼務する” という組織図を作らなければなりません。

◇雇用契約書◇

雇用契約書は “人事で取り扱う書類” とされますので、たとえ社長が日本人であっても「会社代表者」欄に日本人社長が署名することは認められません。署名が行えるのは、インドネシア国籍者のみとされています。そのため、会社に所属する人事、或いは人事がいない場合は、最も給与の高い、或いは最も年長者(役職の高い)のインドネシア人従業員に署名をさせる必要があります。なぜならば、雇用契約書には、それぞれ従業員の給与額、福利厚生に関する内容を記していますので、署名を行う従業員の選定は非常に重要と言えるからです。

もちろん例外として、会社を設立したばかりで、まだインドネシア人従業員がいない状況においては、日本人社長など外国人による署名は容認されますので、スターティングメンバーの雇用時には、日本人が署名をされることは許されています。

◇採用面接◇

本来、採用面接も人事の業務となりますので、たとえ日本人社長であっても面接官として対応することは認められません。

◇問題となった事例◇

ある50人規模の日系製造会社にて、40人の契約従業員すべての雇用契約書に、日本人社長が会社代表者として署名をしていました。そして労働局からの定期的監査を受けた際に、雇用契約書の提出を求められ、そこで問題が発覚し、その日をもってすべての契約社員が正社員となったという事例があります。正社員となれば安易に解雇もできませんし、そして退職金の権利が生じてしまうため、「知らなかった」では済まない大きな事態に発展してしまいました。

◇対応について◇

日本本社より、どうしても人事の専門家を赴任させたい場合には、就労ビザ取得上では他の職種名でビザを取得するなどし対応されているのが実情です。また一般的に多い事例としては、経理の専門家を「財務マネジャー/ゼネラルマネジャー」としてビザを取得させ、同じ管理部門という位置づけから、人事・総務業務を、記録を残さないよう管理監督されるという手法です。

また、雇用契約書では、インドネシア人従業員を雇用後、雇用契約書における署名権を、従業員に委任してください。その場合は、「委任状」を作成し、署名権を与える書類を記載し委任します。

そして雇用契約書にどうしても日本人による署名を残したい場合には、インドネシア人代表者による署名の下に “承認をした” と記した上で署名を残すことは可能です。

 

以上のように、インドネシアでは人事に関わるあらゆる業務で外国人の関与が禁じられています。そのため “記録に残る” 行為は避けて対応をする必要があります。

(了)