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インドネシア

作成年月日:2015年2月
インドネシア共和国

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インドネシア国情報2015年1月

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2015年最低賃金


2014年11月から12月にかけて、インドネシアでは2015年の各地域(州・県・市)の最低賃金が決定されました。今回は、インドネシアの最低賃金の決定について解説してみましょう。

◇最低賃金決定の流れ◇

現在のところ、毎年1月1日からの新しく決定された最低賃金の施行が行われています。 原則として、遅くとも11月21日までに翌年の最低賃金額を各地域(州、県、市)で決定しなければなりません。また、1人当たりの適正生活水準値(KHL)を基に、三者間(政・労・使)が協議し、決定されます。

◇ジャカルタ首都圏の主要地域の最低賃金(ルピア)◇

以下、日系企業が集中するジャカルタ首都圏(単位:州・県)を抜粋し、2015年の最低賃金を見てみましょう。(最終更新:2014年12月24日/単位:インドネシアルピア)

  2013年 前年比 2014年 前年比 2015年 前年比
ジャカルタ特別州 2,200,000 44% 2,441,000 11% 2,700,000 11%
ブカシ県 2,002,000 34% 2,447,445 22% 2,925,000 20%
カラワン県 2,000,000 58% 2,447,450 22% 2,987,000 22%
プルワカルタ県 1,693,167 62% 2,100,000 24% 2,626,000 25%
タンゲラン県 2,200,000 44% 2,442,000 11% 2,710,000 11%
◇最低賃金決定の推移◇

各地域において、最低賃金の上昇率は最低10%台で上昇しています。 それに対し経営者団体も異論を唱えますが、その都度、大規模なゼネストを起こされるために、受入れざるを得ない状況が続いています。 これを受け政府は、毎年ではなく数年に1度の最低賃金の見直しを行うとして構想を発信しましたが、計画倒れとなる見込みは高いと思われます。

◇首都よりも周辺地域の最低賃金が高騰◇

ジャカルタ特別州は従来から製造業が少なく、ホワイトカラーを主体とした商社、金融、物流、サービス業といった業種が多いために、最低賃金の決定に異論を唱える層が少ないとされています。

一方、製造業が多く、最低賃金で就労するブルーカラー(主に製造に関わるオペレーター)人口の多いブカシ県、カラワン県、プルワカルタ県などでは、最低賃金がジャカルタ特別州を上回る傾向にあります。

◇企業側の対策◇

毎年の異常な最低賃金の上昇だけでなく、退職金の増加や賃金に絡む労働ストライキなどによる労務リスクの不安から、「人」の新規雇用は避け、「機械」による製造へと移管しようとする企業が増え続けています。そして、オートメーション化により不要となった人員は整理の対象となると考えられます。

以前は「安価な労働賃金」が魅力とされていたインドネシアでしたが、現在はいかに少ない人員で大量且つ高品質の生産を行うかが経営のポイントとなりつつあり、政府が目指す「正社員雇用の促進」とは逆行してしまっているようにも見受けられます。

2014年に発足した庶民派ジョコウィ新政権に大きな期待がかかりますが、外資企業の目論みと労働者の要求が乖離していく中、賃金の面において低所得者層への配慮や労働者の付加価値の向上など、多くの課題を抱えています。

これは日本同様、全ての国が発展する過程で辿る悩みかもしれませんが、他国と比較し人口動態が魅力的なインドネシアにおいては、国のリーダーが早期に方針を決め労使双方に安心感を与える必要性を感じます。