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インドネシア

作成年月日:2013年10月
インドネシア共和国

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インドネシア国情報2013年9月

「インドネシアの医療事情(患者の視点から)」について


1)はじめに

筆者は、13年程前、日本の総合病院(ベッド数約200床)で、経理課長を2年間ほど勤めた経験はあるが、医療行為従事者ではないので、当地での個人的な経験を中心にして、インドネシアの医療事情について考察したい。

いわば、患者の視点からの医療事情の考察である。

 

2)出産と母子手帳

@自然分娩と帝王切開

  筆者は、当地で息子3人の出産に立ち会った。幸いにも3人とも無事自然分娩であったが、帝王切開での出産も少なくない。驚くことに、帝王切開は手術なので、保険で全額対応できるという事情もあるようである。

A3日から4日で退院

米国でもそうだあったが、(筆者は、米国でも20年ほど前に息子の出産に立会ったことがある。)出産後3〜4日で、特段の事情がない限り、退院する事が多い。

米国では、産婦人科医に対する医療訴訟が特に多いので、病院側では、早く退院させるという事情があったようだが(1990年代初頭の経験である)、当地は、病床の数の不足が主因だと思われる。

B出産直前まで勤務

日本では考えられないことだが、妊婦は出産直前まで勤務するケースが多い。インドネシアの女性は、体力に恵まれているのだろうか?

彼女たちに聞いてみると、出産後、ゆっくりと休息したいことと、赤ちゃんの世話を授乳も含めてしっかりとしたいとのことであった。

殆どの場合、2ヶ月後、職場復帰する。


C母子手帳

日本から紹介、支援された、母子手帳(正確には、母子健康手帳)は、インドネシ全土に普及し, 現在では、全妊婦の約6割に配布と推計されている。(ジャカルタジャパン倶楽部発行、インドネシアハンドブック2012年版25ページより) 

子供の予防注射の記録も、記入するようになっているが、我家では、三男はチフスの予防接種を失念し、4歳の時罹患して4日間入院治療することになってしまった。

 

3)救急医療

@喘息発作

筆者は、かつて喘息の持病があり、日本では何度か発作をおこして、病院に駆け付けたことがあった。 当地は気温の変動が少なく、過去7年程、喘息の発作は治まっていたが、今年、激務と不摂生で、突然喘息発作がおこり、近くの病院に駆け込んだ。すると、すぐに酸素注入がされ、発作は治まり、事なきを得た。その手配の機敏さは、日本の病院と遜色なかったので、感心した次第である。

A乳児の高熱 

4年ほど前のことであるが、2歳になる二男が、深夜、急に高熱を出し、呼吸が荒くなった時、近くの総合病院の救急治療室に駆け込んだことがある。

この時も、病院の対応は、日頃のインドネシア人とは思えないほど、(少し失礼な言い方になってしまい、恐縮ではあるが、)素早かったことに、大変感謝した。

日本で最近問題になっている、救急患者の盥回しというような事は、当地で、あまり、耳にしない。

4)薬

@強い薬

こちらの薬は、オランダ占領時代の影響があるのだろうか、非常によく効く。

2003年頃、まだ駐在して間もない時、ご多分にもれず、腹痛で下痢になった。職場の総務担当インドネシア人から、取り敢えずこれを飲んだら治まると地元市販の薬を渡され飲んだが、翌朝直ちに便秘になって困惑した経験がる。

当地の一般の薬は、西洋からの伝統で、体格の良い西洋人を基準に、調剤されているのであろう。


A病院での処方薬

病院の処方薬も、筆者の経験だけかもしれないが、日本のように不必要に薬をだす事は、無いように思われる。 例えば、これは善悪あるかもしれないが、当地は、風邪ひいた時に、風邪薬と共に胃腸が荒れるからと、胃腸薬が一緒にでる事は無い。

 

5)町の薬局

@簡単な診療行為

筆者が住んでいる近所に、中国系インドネシア人が経営する薬局がある。そこでは薬局のご主人が聴診器をもって、簡単な診療もしている。我家でも、軽い風邪をひいた息子たちは、お世話になっている。これは、病院の絶対数が少ないのと、いつも総合病院にお世話になる経済的余裕のある人が少ないからであろう。


A三男のチフス

母子手帳のところでも書いたが、三男は、微熱が続きこの薬局のご主人に診察を依頼したが、一週間たっても、熱が下がらない。どうもおかしいと総合病院で、検査をしたところ、チフスと診断され即入院。この町の薬局には、検査機能がないのである。この経験は、我家にとって良い教訓となった。


B融通の効く処方薬

喘息のステロイド系吸入薬をジャカルタの日本人を対象とする病院で処方された事がある。日本でもこの種の吸入薬は、一般の薬局では入手できない。

ところが、これは個人的に大変驚いたことであるが、この近所の町の薬局で、この吸入薬を入手できた。 病院では、医師の診察前置主義が建前なので、薬と共に診察代がかさみ1万円前後の費用となるが、これが、千五百円程でまかなえるのは、驚いた。

筆者は、喘息とは二十年以上付き合っているので、喘息専門でない医師より、この病状について大方の事は承知しているので、一般的な診察は必ずしも必要としない。この日本の病院では、考えられない、融通の効く処方には、感心した。

 

6)歯医者

@手先の器用さ

筆者は、こちらの歯医者に少し難しいブリッジの治療をしてもらったことがある。いつも、一時帰国した時、高校の同級生の歯医者にお世話になっていたのであるが、タイミングが合わず、当地で緊急治療をせざるを得なくなった。その時、日本へ留学経験があり、日本語も流暢なインドネシア人の先生に、処置して頂いた。同級生の歯科医が後で見て「見事だ!」と評価してくれた処置だった。

それ程、一般的にインドネシア人は、手先が器用なのである。その器用さは、工場の細かな細工で実感していたことであるが、再認識した次第である。


A若い女性の矯正

最近、若い女性の歯の矯正が、流行っている。若い女性だけではなく、Stengah Tua (インドネシア語で中年女性という意味)でも、流行のきざしがある。

筆者は、当地の衛生状況を鑑みれば、歯に金属をはめ込むには、一抹の危惧を感じるが、美しさを求める(歯並びの綺麗さを求める)乙女心は、止めることができないのであろうか? 少し、心配である。

7)最後に

今回は、個人的な経験に基づいた、記述であるので、医学的な見地から見れば、これは、おかしいのではないかと批判を受ける可能性があるのは、十分承知している。

その点は、ご容赦して頂いて、現状の体験だとご理解いただければ、幸甚である。

                                      以 上