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インドネシア

作成年月日:2013年8月
インドネシア共和国

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インドネシア国情報2013年7月

ジャカルタ近郊の道路、交通事情

 今回は、ジャカルタ近郊の道路、交通事情について考察したい。
(アジェンダ)
1)はじめに
2)日本車の人気は抜群
3)二輪車に至っては、99%が日本製
4)インドネシア人の余り歩かないという習慣
5)高速道路事情
6)警察の取締り
7)免許制度
8)自動車教習所は少ない
9)路上駐車も少ない
10)最後に

(1)はじめに

ジャカルタ中心街は慢性的な渋滞が続いている。政府、ジャカルタ市も道路整備の努力を続けているが、経済成長に伴う乗用車、トラック、二輪車の増加のスピードが、それを上回っているのが現状である。

今回は、インドネシアでの特殊事情を素描して、ジャカルタ近郊の道路、交通事情について、考察してみたい。

(2)日本車の人気は抜群

1)日本製自動車(四輪)の人気は抜群である。2011年頃から、日系自動車メーカー各社は、相次いで、新工場、工場増設を行っている。日本製自動車のシェアは、全体の92%を超えており、自動車の販売も急激に上昇している。

2)過去10年の自動車販売台数を見ても、2003年が、35万台であったのが、去年(2012年)は、110万台を超え、この上昇傾向は続いている。

3)昨年より、日系各社は、新車、新型モデルを次々と発表、導入しており、高速道路では、最近新車の多さに、目をみはらせられる。最近日本から2年ぶりに、ジャカルタに来た出張者が、新車、新モデルのオンパレードに、大変驚いていた。


(3)二輪車に至っては、99%が日本製

1)交通インフラが未整備のインドネシアにおいて、二輪者は、通勤、通学、商用など、日常の足として必要不可欠のものとなっている。特に、交通渋滞の激しいジャカルタ近郊では、毎朝、通勤、通学に時間がかかるマイカー、バスなどを敬遠して、二輪車を使用する人も多い。

2)四輪と同様に、過去10年の二輪車販売台数をみると、2003年が、280万台であったが、去年は700万台を越えている。今年、ローンの頭金規制で、販売が伸び悩むと言われているが、底堅い需要は変わらないようである。


(4)インドネシア人の余り歩かないという習慣

1)インドネシア人は、一般的に余り歩くのが好きではない。熱帯という気候のせいもあるのか、歩行速度も概して遅い。工場内でも、ゆっくりと歩く人が多く、急ぐ時以外、小走りはしない。

2)横断歩道も余り整備されておらず、また、歩行者専用道路も少ない。

3)すぐ近くでも、バイクタクシーや、アンコット(乗り合いバス)を使用する人が多い。アンコットにバス停は無く、運転手に「ここで降ります。」と言って降りる。日本人には、始めは慣れないとなかなかこの方法を適用できない。

4)この歩かない習慣も、ジャカルタ近郊の渋滞の一因となっているのではないかと考えられる。


(5)高速道路事情

1)日本と違い、二輪車は、高速道路を通行できない。最高制限速度は、設けられているが、暴走族や猛スピードで走る車は少なく、殆どの車は、せいぜいスピードを出しても、時速120km以下で走っている。プロの運転手が多いせいかもしれないので、マイカーを運転する人が増えてくれば、これから日本のように、制限速度を厳しく警察がチェックする可能性はある。

2)近年の経済成長で、トラック、バスの台数も増えて、低速車線は、いつもこれらの車であふれている。ジャカルタ中心街の高速道路は、トラックの交通規制が、2011年頃から導入された。これは、午後10時から午前5時までしか通行できなくなった。これが、逆にジャカルタ近郊の高速道路の渋滞を招いている。

3)料金所にETS(インドネシアでは、OTS=Otomatis Traffic System)が、近年導入されたが、使用する人は未だ少数派で、かえって料金所の渋滞を冗長している。

4)道路の拡張、料金所の増設は行われているが、乗用車、トラック、バスの通行量の増加に追いついていないのが、現状と言える。

5)レストエリアの近代化には、ここ数年、顕著な進展がある。筆者は、当地で11年目を迎えるが、赴任当時に比べれば、その近代化に「隔世の感」がある。
主要レストエリアに、5年前ほどから、KFC(ケンタッキーフライドチキン)マクドナルド、スターバックコーヒー等近代的なファーストフッド店が、次々と新規開店した。  今年は、地場のコンビニエンスストアーに取って代わって、ローソンが、すごい勢いで、出店をし、日本風、"おにぎり" や "おでん"を売り始めた。 


(6)警察の取締り

1)警察の取締りは、高速道路では、免許不携帯、免許期限切れ、車検証切れ、側道通行違反等が中心である。イスラム教では、基本的に飲酒は禁止されているので、飲酒運転は稀で、飲酒運転の呼気検査は行われていない。制限速度違反も取締りの対象となっていない。

2)一般道では、二輪車の検問がよく行われている。免許不携帯、免許期限切れ、ヘルメットの不使用が中心である。二輪車のヘルメットは、近年田舎道でも、殆どの人が使用しており、その色彩は、ファッショナブルでもある。

3)建前は、警察官は違反切符を切るとのことであるが、彼らのモラルは相対的に低く、その場で違反者から現金を徴収し、自分のポケットに入れると言うことが多い。

4)2年ほど前、筆者は、同乗の運転手が側道通行違反で警察官に捕まったとき、「今、現金が無い」と言うと、近くのATMまで付いてきて、150,000ルピア(約1,500円)支払わされた。その時ATMコーナーで支払おうとしたら、ATMの裏側に廻れ、と言われたのには、大変驚いた。まさに、これは彼らの裏金だったのである。


(7)免許制度

1)当地の運転免許制度は、インドネシア人は、5年に1度、外国人は、1年に1度更新する必要がある。

2)インドネシア人は、無免許や免許切れで、運転している人も少なからずいる。筆者の勤務先でも、車通勤しているのに、「警察官のいない所しか走らない等」と言い訳をして、免許は更新しない人が、複数いた。

3)日本では、考えられないことであるが、「免許をお金で買う」という裏の制度が横行している。筆者の知人も、警察官を夫に持つ友人のコネをつかい、無試験で、運転免許証を取得した。(通常、150,000ルピア=約1500円の所、お礼も含めて500,000ルピア=約5,00円支払った。)

4)日本と同じく、5年間で、違反をしていると路上試験や講習会と言う制度があり、これを逃れるため、裏金で免許証を取得するインドネシア人も少なくない。

5)休日に、知合いを通じ近所の運転手を頼んだところ、側道通行違反で警察の検問に引っかかった。驚いた事に、その運転手の免許証は期限切れで、罰金が加算された。これ以降、運転手の免許証は、必ず確認することにした。


(8)自動車教習所は少ない

1)ジャカルタ近郊では、自動車教習所は殆ど見かけない。実践的な教習は、行われないため、縦列駐車が、できない人も多い。

2)私設の、教習所と言う施設を持たないでプライベートで、運転を教えている人達がいる。それを利用している練習者が、一般道を走るのを見かける事が、最近多くなった。主に、若い女性や主婦層が練習をしているようである。

3)当地では、マニアル車が、主流で、オートマティック車は、少数派である。教習所で十分練習を、していないせいであろうか、渋滞の中で、坂道発進に失敗し、エンストをしている車を見かけることがある。


(9)路上駐車も少ない。

1)ジャカルタ中心部では、殆ど無断路上駐車は、見かけない。それぞれのビル、ショッピングセンターに十分な駐車場が整備されていること、車の盗難の危険が高い事等が、要因であろう。 

2)駐車場には、守衛さんがいるところが多い。彼らがいないところでは、一般の青年(中年の人もいる)が、小遣い稼ぎで駐車の手伝いをしている。当地では、まっすぐに駐車しないと認められないことが多い。


(10)最後に

1)インドネシアにある高速道路の長さの2倍以上の長さで、インドネシア全土にある車を並べることができると報道されたほど、道路は足らない状況である。

2)現在、渋滞を緩和すべく、ジャカルタ中心部に地下鉄建設がいよいよ具体化し、長い間の懸案事項であったモノレール建設も、具体的検討に入ってきた。

3)今後のジャカルタ近郊のインフラ整備とそのスピード化に大いに期待したい。

以 上