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インドネシア

作成年月日:2013年6月
インドネシア共和国

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インドネシア国情報2013年6月

インドネシアの教育事情

今回は、インドネシアの教育事情について考察したい。
(アジェンダ)
1)2学期制
2)早い始業時間
3)数種類の制服
4)熱心な英語教育
5)高校では第2外国語も選択−日本語も人気
6)大学の理工系の教科書は英語
7)レベルの高いインターナショナルスクール
8)ゆとり教育ではない
9)宗教は必須科目
10)音楽、体育教育について
11)日本教育産業の進出−公文を例として
12)最後に

1)2学期制

@ インドネシアの新学期は7月から始まる2学期制である。
新学期の開始は、7月中旬の月曜日。(今年2013年は、7月15日)

A 1学期は、7月から12月、2学期は、翌年の1月から6月となる。
6月中旬から7月中旬まで学年末休み。この時期、ジャカルタ中心部の道路は、すく一方、行楽地は込み合うことが多い。

 

2)早い始業時間

@ 朝は早く朝礼は、6時半から、遅くとも7時ごろには、始まる。
1時限目は、7時15分開始という学校が多い。公立では、生徒数が多く、 校舎の増設が間に合わず、朝組み、昼組みの2部制をとっているところもある。

A 就業時間は以下のとおり
小学校低学年;午前11時ごろまで
小学校高学年、中学、高校:午後2時から3時ごろまで

 

3) 数種類の制服

@ 制服は私立、公立を問わず義務付けられている。
外見を重んじる文化であろうか、白と色柄のブラウス、体操服、学校指定 のバティックと多彩である。

A 曜日によって学校が制服を指定する。
例えば、国旗掲揚式のある月曜日は、ネクタイ、帽子着用のフル装備、木曜日は色柄のブラウス、金曜日はバティックというような具合である。

 

4) 熱心な英語教育

@ 政府は英語教育に力を入れており、英語の授業は小学校1年生から始まる。
幼稚園でも英語の簡単な授業を取り入れているところが多い。

A かつてアメリカのオバマ大統領が幼少時代をジャカルタで過ごしたのであるが、
彼が通ったジャカルタ中心部にある、メンテン第一小学校では、現在木曜日を「Engilish Day」として、授業はすべて英語で行われている。

B 高校の教科書では、左ページがインドネシア語、右ページが英語とバイリンガルとなっている。「グローバル化」は、日本より進んでいると言える。

 

5) 高校では第2外国語も選択−日本語も人気

@ 高校では、第2外国語(日本語、ドイツ語、中国語、オランダ語などから選択)
の授業も準備されている。

A 日本語も、高校生の第2外国語選択科目として指定されている。これは、インドネシアが、東南アジアで日本語学習者数第1位を占めている事に大きく貢献している。(※1)

B 2006年の国際交流基金調査(日本語教師・生徒数)
                 

  高校まで 大学以上 学校教育以外 合計
学校・機関 846 115 123 1,084
教師数(人) 1,311 793 547 2,651
生徒数(人)  244,304 17,777  10,638 272,719

※1 国際交流基金が、2006年に世界で実施した調査によると、インドネシアにおける日本語学習者数は、272,719人。世界第4位で、東南アジアでは第一位である。

 

6)  大学の理工系の教科書は英語

@大学の理工系の教科書は、基本的に英語を使用するところが多いようである。
インドネシア人は、会話は余り得意ではないが、大卒のReading,Writing,Hearingのレベルは、一般の日本人よりも高い。筆者は現場で彼らの語彙の豊かさに驚くことがある。

A インドネシア人は、一般的に日本の駐在員は皆英語が使えるものと最初は 認識していることが多いが、彼らの期待を我々は裏切ることもある。

 

7) レベルの高いインターナショナルスクール

@ 当地では、日本人学校は中学まで。最近の経済の活況で、若い駐在員も増えてジャカルタ日本人学校(JJS)も生徒数が急増している。

A JJSのレベルは、日本の一般公立高校よりも高いといわれている。
しかし、当地のインターナショナルスクール(高校、例えばジャカルタインターナショナルスクール=JIS)は、英語のレベルが大変高いので、日本人学校の中学部を卒業した生徒がJISに進学しそのカリキュラム(※2)をこなすことは、相当困難である。

※2 JISでシェークスピアのマクベス(英語でも中世英語が混じる)を読破して
その感想文を提出する課題が出て、JISに通学しているご子息の父親から、この課題で、週末辞書を片手に親子共々奮闘したという逸話を伺ったことがある。

 

8)ゆとり教育ではない。

@ 日本よりも詰め込み教育で、人数が多いこともあり、競争も激しい。驚くことに、小学生の進級試験でも、稀ではあるが落第することがある。小学生から、地元の大学生のボランティアによる補習(インドネシア語−レス)も盛んに行われている。

A 小学校から、全国統一試験である卒業試験(Ujian National=UN)があり、合格点をとらないと卒業できない。実際試験に落ちて、小学生、中学生をやり直しする子供もいる。

 

9)宗教は必須科目

@ 当地では、宗教教育が大変重視されている。宗教の試験でも、赤点(60点以下)
であれば、進級できない可能性がある。

A 公立の学校では、イスラム教の教育が主体なので、例えば、キリスト教の子供は宗教の試験の為に、キリスト教系の学校へ転校を余儀なくされる場合もある。

10)音楽や体育の教育について

@ 音楽教育は、小学校では、ピアノがなく、インドネシア人で一般的に楽譜を読める人は少ない。

A 運動場が狭く、日本と比較して体育教育も充実していない。小さな運動場で先生方が工夫して体育の授業をこなしている。

11)日本の教育産業の進出−公文を例として

@ 93年に現地法人を設立して公文は、当地で今年20周年を迎え学習者数を順調に伸ばしている。(20013年3末で教室数600、学習者数は125,000人) 筆者の住んでいる所(ジャカルタの南に位置するボゴール)でも、小学生の間で、公文教室に通うのが1つのブームとなり、母親たちの評判も良い。

A カリキュラムは、数学と英語が中心である。毎日学習するので、学習の習慣が身に付き、子供の力に合わせたレベルを選べるところが、魅力のようである。(小学4年生でも、数学では、因数分解や2次方程式、英語では関係代名詞に挑戦している子供もいるとのことである。)

 

12)最後に

@ 筆者は、ここで述べた現在のインドネシアの教育事情を考察して、今後のインドネシアの若い世代の発展、成長に期待している。

A 施設が未だ十分でなく(音楽、運動場、図書館など)先生への賄賂の習慣、規律がゆるく、街で公然とタバコを吸う中学生を見かけることもある。

B しかし、一方で日本の道徳教育に近い、或いはより深いともいえる宗教教育は、最重要カリキュラムである。しっかりとした人間教育が、小学校から徹底されている。

C 詰め込み教育ともいえる進級試験、卒業試験の厳しさ。学生数の増加で競争も激しい。英語教育はグローバル化に備え、日本よりもずいぶんと充実している。

D 現在進行中の経済発展の中で、しっかりと学習した、小中学生が、10年後、20年後、インドネシアのけん引役となることを大いに期待したい。

 

以 上