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インドネシア

作成年月日:2013年1月
インドネシア共和国

海外情報プラス

インドネシア国情報2012年1月

海外駐在員の安全について(その1)

1.はじめに

大手プラントメーカー日揮のアルジェプロジェクトで、日本人駐在員の10名の尊い命が、奪われた報道に接し、ここらから哀悼の意を表すと共に、治安状況には格段の差があるとはいえ、イスラム色の強い当地に駐在する者として、この機会に、「海外駐在員の安全について」考察したい。

当地ジャカルタでも、5年周期といわれている洪水(前回は、2007年)が、 1年遅れで、被害をもたらしつつある。

都心のタムリン通り沿いのUOBビル(UOB= United Overseas bank ,シンガポールに本拠がある大手銀行)地下3階の駐車場が、地上まで冠水する被害があり、数名の犠牲者が出た。

筆者は、被害翌日、同ビルの所有者のシナルマスグループ(インドネシアの大手財閥)に関連する日本人から、連絡を受け、現場に赴く機会を得た。

現場は、軍隊、警察、消防、潜水レスキュー隊、テレビ局当の報道関係者等が、駆けつけていて、騒然とした状況で、その悲惨な自体に言葉を失った。

個人的にも、1月末で、インドネシアの居住許可の期限(5年に一度は海外に出国することが義務付けられている)が切れ、一時海外(私の場合は、シンガポール)のインドネシア大使館で、手続きを行う必要があった。

ところが、一月下旬の大洪水の影響で、ジャカルタの都心にある、出入国管理センターのコンピューターに不具合が出て、2週間たっても未だ復旧していない。

1月末に出国することは、義務付けられているので、とりあえず、日帰りでシンガポールへ出国したが、1ヶ月のビザで、再入国し、2月中にまた、同じ手続きを繰り返さねばない、という被害にあった。

当地では、この種のビザの手続きの混乱にあっている外国人が相当数いると思われる。シンガポールの空港で、私と同じ立場の韓国系の人もおられた。

日揮の事件、UOBの事件と直接洪水により、ビザの手続きの混乱にあったこともあり、「海外駐在員の安全について」あらためて考察したいという思いが深まった。

2. アジェンダ

アジェンダは以下の通りである。
(1) 今回のインドネシアの洪水の被害は、人災か?
(2) 日常生活の安全について
(a) 職場の安全
(b) 日常生活の安全
@ 運転手
A お手伝いさん
B 最近の日系人殺害事件について
(3) インドネシア駐在の安全について
(a) テロと宗教対立
(b) 鳥インフルエンザ
(c) 地震と津波
(d) これからの政治の不安定要素
(4)最後に

(1)今回のインドネシアの洪水の被害は人災か?

現場で、話すことができたUOBビルのオーナー(シナルマスグループの親族)は、「今回の洪水の被害を人災だ。」と私に話した。

「堤防が十分高くなく、想定外の大雨で水が、大量に一気に流入したことが原因だ。」と。

確かに想定外の大雨が続いていたが、中心街で、唯一UOBビルのみが犠牲者を出す被害が出たことについて、それを人災、即ち、ビルの管理には、問題は無く、ジャカルタ市当局に責任があるという風に彼の発言を私は、解釈をしたが、そのように彼が、“人災だ。”と片付けてしまうのには、少し違うのではないかと感じた。

(2)日常生活の安全について

(a)職場の安全

一般に工場では、安全第一を標語に掲げ、5Sも仕事の効率を図ることはもとより、職場の安全のためとの職場教育が浸透しつつある。

しかし、現実には、禁煙区域で、吸殻が落ちていたり、工場内で帽子を着用しない等の事例が、日系の工場といえども散見される。

職場教育の場で、安全第一の理由を丁寧に何度も訴えることが、肝要である。

「制度があるから、する。または、やらされている。」という意識ではなく、自分の身体と健康を守り、火災などの事故を未然に防ぎ、工場の財産を守るという、広い見識をインドネシア従業員と共有することが、大切である。

 

今月は、ここまでで、来月は、深く日常生活の安全、インドネシアでの駐在員の安全に
ついて、掘り下げていきたい。

筆者が、尊敬するA氏(ジャカルタ駐在が長く当地の警備会社のオーナーでもある)を
昨年末にご挨拶に伺ったとき、彼は、「筆者が、10年もインドネシアにいて、大きな事故にもあわず、無事に過ごせたことに感謝しなければならない」と。 

日揮や洪水の事件に接し、この大先輩の言葉も噛み締めながら、インドネシアにおける、海外駐在員の安全について次回も考えを深めて生きたいと思う。

以 上