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インドネシア

作成年月日:2012年7月
インドネシア共和国

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インドネシア国情報2012年6月

1.全体報告

(1)労働組合によるSweeping

 5月は大きな混乱もなく終わったので、6月も平和裡にと期待しが、労働組合(FSPMIとSPSI)が“アウトソーシング(派遣社員の使用)廃止”を要求して、ブカシ・カラワン地区の約30の工場をデモ隊で囲み、操業を止めるという暴挙を繰り返している。これは7月も継続中であり、今後も約100社へのSweepingが予定されていると言われている。 7月12日には、ジャカルタで3万5000人規模のデモが計画されており、FSPMI(金属労協)の支部がある工場には12日を休日にするようにという要請書が配布されている。また、12日当日には、ブカシ・カラワン地区の工業団地から高速道路への道路封鎖が計画されているという噂もある。

(2)KHL(適正生活水準=最低賃金の指標となる金額)の改定

 これは今年1月末のブカシ県の最低賃金見直しの際に労働大臣が約束したKHL(適正生活水準)の改定に関し、この6月にDepenas(Dewan Pengupahan Nasional:全国賃金審議会)から新KHLが提案されたが、KSPIなどの労働組合はこの基準値が低すぎることに異議を申し立てている。 7月12日に予定されている3万5000人規模のデモの目的には「違法なOS廃止」に加えて、この「KHL(適正生活水準)の改定案反対=安月給の拒否」も追加されている。
注:KHL(適正生活水準)とは、2005年に公布された大臣決定により定められたもので、独身男性(肉体労働者)が1日3000kcalの食事と取り健康で文化的な生活を実現するために必要な46品目の物価から算定される1か月の生活費である。
※参照:添付資料(大臣通達2005年第17号) 今回の改定案は50品目となっており、4品目が追加されている。
注:KSPI(Konfederasi Serikat Pekerja Indonesia) =インドネシア労働組合総連合;金属労連FSPMIが中心になって組織している連合体で、FSPMIの委員長であるイクバルが代表を務めている。

(3)ジャカルタ州知事選挙(7月11日水曜日)

 7月11日水曜日にジャカルタ州知事選挙が予定されており、6月中旬より選挙運動が開始された。5年に1回の州知事選挙だが、今の所、大きな混乱は見られない。インドネシアでは、通常、平日が選挙日に指定され、当日は休日とされる。しかし、企業活動を行うことは禁止されてはおらず、従業員たちは休日出勤手当を支給される。勿論、投票の為の遅刻や早退は無条件に認められる。
※参照:添付資料(内務大臣通達など)
注:KSPIのジャカルタにおけるデモは、当初第1週に予定されていたが、12日に延期されている。この11日の州知事選挙に配慮したものと思われる。

2.6月の金属労協(FSPMI)の動き

1)Sweepingの実態

 6月初旬より、金属労協FSPMIによってSweepingと称するデモ隊による工場襲撃がブカシ・カラワン地区で繰り返されているが、それに先立ち、金属労協中央執行部のオボン氏は下記のような声明を出している。 「数年前から、違法な派遣社員(OS)使用が改善されないことについて指摘してきたが、労働局は一向にその問題摘発ができないでいる。従って、我々労組が自ら経営者たちに、その問題を認識させ改善を迫るしかないのだ」  しかし、これが表の理由に過ぎないことは、6月の彼らの行動を見ると明らかである。何故なら、OS問題がない所、OS問題について改善を約束したところも襲撃されているからである。我々が入手したList Demonstrationを見ると、OS以外に、有期限契約社員問題、実習生問題、ボーナス問題、第2組合問題、産廃問題などそれぞれの企業における社内問題を取り上げていることが分かる。 各社において、違法問題があるかどうかは不明だが、仮にそうであったとしても、本来、各社の労使協議で解決が図られるべき問題であり、解決が付かない場合は、法的解決のプロセスに載せるべき問題である。(もし「当地の裁判が公平性に欠ける=賄賂がないと勝てないものだ」というのであれば、そのこと自体を汚職撲滅委員会に訴えるべきでしょう。) それも拘わらず、彼らは暴力的手段で(数千人で工場を囲んだ状況の中で)経営者側に大幅な譲歩や改善を約束させ、その場で表明書にサインを強制している。これは勿論、法的には無効なものだが、それを言わせないように数百人〜数千人のデモ隊を複数回に亘って送りこみ、工場を囲んで威嚇を続けている。
※多くの場合、警察はデモの現場に立ち会っているが、何もしないし、工場の警備や管理職が脅迫されていても、それを注意することもしません。

2)資金提供者

 今年の1月に最賃問題で道路封鎖が繰り返された時と同様に、今回もプレマン(チンピラやくざ)が動員されている。つまり、何者かは分からないが、組合に対して多額の資金援助を行う者がおり、動員が図られている。 その資金提供者は複数と見られ、それぞれの狙い/思惑は異なるようだが、結果として健全な労使関係を破壊し、法治国家(司法制度)を否定する行動を支援するものとなっている。

以 上