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インドネシア

作成年月日:2012年5月
インドネシア共和国

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インドネシア国情報2012年4月

1.最近のインドネシア労働事情/トピックス(1月〜3月)

(1)首都圏における最低賃金大幅アップ(1月)

 ブカシ県の最賃アップ(25%〜30%)に伴う暴動が発生し、1月末に労働大臣と経済担当調整大臣が仲裁に入って解決した。それに連動して首都圏各地の最賃の見直しや産業別最賃の大幅アップが為された。 「労働者/労働組合が最賃の大幅上昇を求めてデモ/道路封鎖を繰り返した」と日本経済新聞の記事などで報道されているが、実態は少々異なる。

 組合活動家から金をもらったプレマン(未組織暴力団)が日系工業団地の各工場を襲撃し、労働者たちを強制的に外へ出した。(プレマンについては、組合関係者の証言者あり)即ち、労働者たちが自主的にデモを行ったわけではない。また、プレマン数百人に支給された金は、少なくとも数百万円と推定されるが、そのような資金は組合上部組織(中央執行部)にはない。背後に、組合を通じて暴動を演出した資金提供者がいる。 最賃を支給していないローカル企業は襲撃されていないし、問題にされていない。

 即ち、暴動を扇動した者たちは組合活動家の仮面をかぶっているだけで、労働者の代表ではない。工場を襲撃し門扉や窓ガラスを破壊したプレマン(未組織暴力団)や組合活動家は、ほとんど逮捕されていない。昨年11月末にブカシ県の最賃に関する州知事令が公布されたときに、今回の騒動は予想されたにも拘わらず、12月の段階で政府は何もしなかった。金属労協のトップであるイクバルは某日系企業経営者に、「州知事の再選を支援することを約束して、最賃アップの決定書にサインをさせた。」と告白している。

(2)金属労協(FSPMI)のオルグ活発化(2月以降)

 ブカシ地区において、毎週、数社ずつ金属労協傘下の組合が設立されている。 上記の最賃騒動の際に、労働組合が組織されていない企業の労働者の多くが金属労協の組合活動家に説得され、2月以降、次々に金属労協傘下の組合が設立されている。  注:インドネシアにおける金属労協は、その支部の99%を日系企業に置き、およそ日系製造業の四分の一を占めています。そのため、彼らの動きが日系企業における労働運動のモデルとなっている。

(3)燃料値上げ問題(3月)

  この問題においても、労働組合連盟KSPSIなど複数の労働組合連合組織が国会などにデモを仕掛けた他、全国各地で反対運動(デモ)が起こり、値上げは先送りとなってしまった。政府が首都圏の大幅な最賃アップを認めたことと燃料値上げ問題は通底していると見ることがでる。政府が何故最賃問題に対して積極的に動かなかったのか、何故、治安維持の為に警察を動かさなかったのかと言えば、「最賃を大幅に上げておけば、労組の燃料値上げへの反対活動を押さえられるだろう」と考えていたのだと推測される。

2.4月の注意すべき問題

1)金属労協の支部が設立されてしまった企業からの相談が連続した。

 最賃騒ぎの後、ブカシの日系企業で組合がなかった企業に、次々と金属労協の支部が設立され、毎週のように相談があった。(中には、上部組織に加入していなかった組合が金属労協に加入させられたといったところもある。)皆一様に、社内に大きな労使問題は存在せず、今まで大きな紛争事件もなかったところである。

2)金属労協は、各社がメーデーを休日にし、労働者をJKTでのデモに参加させるように圧力をかけた。

  多くの企業が振替休日を拒否した模様だが、5月1日のメーデー当日、一部の工業団地では道路封鎖が行われ、通勤バスが襲撃されて、強制的にJKTへ走らされるという事件が起きた。

3)米国の金属労協JKT支部の人間が、カラワンの工業団地KIICの日系企業を訪問した。

  JKTには、米国金属労協の駐在員事務所があり、2007年位からその影響が強く見られるようになっていたが、工場訪問という形で表に出てきたのは初めてである。また、労働協約策定作業の遅れに業を煮やした組合がストライキ騒ぎを起こしている。

4)金属労協から分派した新しい組合連合体SPKによる紛争が発生した。

  SPKというのは、まだホームページも開設されてなく、実態がよく分からない。1月のブカシの最賃騒動の際に初めて名前が出てきた組合連合組織である。カラワン労働局からの情報によれば、昨年末ごろ金属労協から独立してできた連合体だということだが、会社に対する要求の通し方は、下記のように金属労協と同じである。
*どういう問題においても、会社側が拒否する法外な要求を出してくる。
*自分たちの要求を労使協議ではなく、実力行使(残業拒否やストライキ)で通そうとする。

以 上