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インド

作成年月日:2016年10月

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インド情報 2016年9月

●非農業の未熟練、最低賃金が246ルピー(約400円)から350ルピー(530円)に引き上げ

インド政府は、裨農業の未熟練労働者の最低賃金を1日当たり246 ルピー(約379 円)から350ルピーに引き上げを発表した。鉄鋼や建設などに従事する1,000万人以上が対象となる。政府は、今回の賃上げを実施することで、中央労働組合(CTU)が9月2日に決行するストライキを阻止したいとの意図がある。 また、中央政府の職員には、滞っていた過去2年分の賞与を支払う意向も示した。これによる政府の追加支出は年200 億ルピーに達する見通しだだが、労組は予定通りストを決行した。

●個人資産、インドは世界2 位の「格差」国家

インドは世界で2番目に個人資産保有の格差が大きい国であることを調査会社ニュー・ワールド・ウェルスが指摘した。この調査は国の個人資産全体に占める純資産100 万米ドル以上(約1億円)の富裕層の保有比率を基準にしている。格差が最大なのはロシアの62%でインドは第二の54%。インドの個人資産の総額は5兆6,000 億米ドルで世界7位だが、平均的なインド人は極めて貧しい。 報告書によると、世界で最も格差が小さいのは日本で、富裕層が保有する個人資産の比率は22%にすぎなかった。

●8 月の失業率、9 . 8 4 % に上昇

インド・ムンバイ証券取引所(BSE)は、国内の8月の失業率は9.84%(都市部の失業率は11.24%。農村部は9.18%)で、本年1月以降で最高水準となったと発表。BSEのアシシュクマル・チョーハン社長兼最高経営責任者(CEO)は、都市部での失業率の上昇について、「(工場などの)設備稼働率と投資活動の低迷」の2点を主因に挙げた。一方、農村部での失業率の上昇は「農村経済の失速」を示唆している可能性がある。「雨期に伴う6月以降の種まきなどで、農村部の余剰労働力はおおむね吸収されたはずだが、一部で起きた洪水が日雇い労働者などに影響を与えた」という。

●労組1 0 団体のスト、1 . 8 億人が参加

インドの中央労働組合(CTU)10 団体は、9月2日、予定通りにストライキを実施した。2年連続の大規模な全国ストで、昨年より3,000 万人多い1億8,000 万人が参加。最低賃金の引き上げや社会保障の充実を訴えた。 公営銀行の職員をはじめ、運輸や石炭、石油、自動車、保険、通信などの従業員が参加した。労働省の高官は「ほとんどの州で影響は少なかった」とコメント。全国的に銀行業界へは影響が少なかったとの見方もある。民間銀行が増えたことに加え、電子決済が増えているためだ。

●日系の自動車照明工場で火災

マルチ・スズキなど日系自動車会社に照明器を供給している小糸製作所の合弁会社(ルーカスTVSとの合弁)のハリヤナ州パワル工場で6日夜火災が発生した。バワル工場の敷地面積は14 エーカー(約5.7 ヘクタール)。ヘッドランプやテールランプなどの自動車用照明器を生産していた。年産能力は50万台。納入先はマルチ、ホンダカーズインディア(HCIL)、インディア・ヤマハ・モーター(IYM)に供給しているが、生産計画に影響が出る可能性がある

●社会貢献義務に知恵絞る、インドの日系企業

インドは、2013 年の会社法改正(CSR条項)で一定規模以上の会社に対し、直近3年間の平均純利益の2%以上を社会貢献に使うよう義務付けている。これは、世界的に珍しい試みであり、大企業は多額の資金の使い道を考える必要があり、日系企業も知恵を絞っている。 10 代後半の若者らが、溶接を教える講師の手先を熱心に見つめていた。首都ニューデリーの公立職業訓練校の自動車技術を学べるコースは、スズキ子会社でインド自動車最大手マルチ・スズキの協力で成り立っている。同社は、CSRの一環として機材を寄付、講師も社内から派遣している。マルチ・スズキの純利益は、15 年度で457 億ルピー(約700 億円)。2%でも14 億円規模。キヤノンはインド農村部での眼科診断や、子どもにカメラでの撮影を楽しんでもらう機会を提供。現地に工場を持つ日系企業の多くは、周辺の小学校の改修や、電気の普及などに協力している。 三菱電機は、9月10 日、インド北部ハリヤナ州グルガオンのろうあ学校に飲料水用の膜処理機や、生活ごみからメタンガスを抽出して校内のエネルギーとして再利用するための廃棄物処理機などを寄贈した。三菱電機は、昨年から同ろうあ学校で支援活動を続けている。昨年同様、三菱電機インドと三菱エレベーター・インド、三菱電機オートモーティブ・ インドが合同で支援した。

●来年の雇用見通し、8 割の企業が堅調と予測

人材紹介大手マイケル・ペイジ(英国を拠点)の調査で、2017 年の雇用活動についてインド企業の8割が堅調に推移するとみていることが分かった。 調査では、6割の企業が来年に人員を増強する計画があると回答。また、88%が向こう 1年間で最大15%の給与引き上げを実施する予定と答えている。ボーナスを支給する予定との回答も51%に達した。マイケル・ペイジの関係者は、「インドの豊富な資源と人材に熱い視線を送る海外企業からの発注が増加していることに加え、製造業やインフラ、再生可能エネルギー分野への海外投資が加速していることが、明るい雇用見通しにつながっている」との見方を示した。

●上位1 0 社のM B A 採用人数、今年は5 割増

インドのビジネススクールで経営学修士(MBA)を取得した学生を採用する動きが活発化している。上位10社の今年の採用人数は、前年比で約5割増の1,543 人に達した。 採用された学生の出身校は26 校で、前年の22 校から増加。特に、上位10 校の平均採用人数は59 人と、前年の47 人、一昨年の37 人から増加傾向にある。採用者が多かった上位10 社の内訳は、大手会計事務所デロイト・トウシュ・トーマツが282 人と最も採用人数が多く、初めて首位に浮上した。2位はITアウトソーシング企業の米コグニザント・テクノロジー・ソリューションズで245 人。以下は◇3位―ICICI銀行(業種は民間銀行)◇4位―インフォシス(同IT)と続く。

●元ランバクのサン従業員、2 6 日にスト予定

第一三共よりランバクシーを買収したインドの製薬大手サン・ファーマシューティカルの医薬情報担当者でランバクシー出身者の約500 人が、9月26 日に給与の未払いや不本意な転勤に抗議する目的で国内各地でストライキを計画している。サンは2014 年4月にランバクシーの買収を発表し、昨年に取引を完了。これに伴い、ランバクシーの元従業員4,000 人前後がサンに吸収されていた。ただサンの内部では、ランバクシーの元従業員に対する差別的な対応があるもようで、ここ最近はサンの経営陣に対する抗議活動が相次いでいる。

●日本語学校、ニューデリーに開設

日本電気(NEC)の全額出資子会社であるNECテクノロジーズ・インディア(NTI)は、6月19日、「NEC日本語アカデミー(NJLA)」をニューデリーに開設したと発表した。NJLAはNTIが2013年に創設したNTIアカデミーの一部。10年以上にわたって蓄積した社内の日本語教育法を活用して、インド人に日本語を教え、拡大する日印間のビジネス需要に対応するとともに、両国の経済成長を加速し、インドにおける技能開発にも貢献するのが目的だ、NJLAは日本語能力試験(JLPT)の受験対策や通訳と翻訳の技術、日本のビジネス慣行、日本企業で働くための準備などを学習する6種類のコースを提供し、日本人や、日本語に極めて堪能なインド人の教師が講義を担当。入学希望者の登録受付は10月3日に開始する予定だ。(16年9月19日、NTIのプレス・リリースから)

●工場労働者、10月2日にストを予定

バジャジ・オート 印二輪車・三輪車メーカーの大手のバジャジ・オートの労働者は、10月2日、マハラシュトラ州チャカン工場とアクルディ工場で賃金交渉の遅れに抗議するため24時間のハンガー・ストライキを行う予定と発表した。

●上場企業のセクハラ件数、昨年度は2 6 % 増

インドのナショナル証券取引所(NSE)の株価指数ニフティ(Nifty)を構成する50 社で社内のセクハラが増えている。2015/16 年度(2015 年4月〜16 年3月)に従業員から受けた報告件数は525 件で、前年度比26%増えた。企業は、2013 年に成立した法律により、セクハラ件数を報告する義務がある。件数が最も多かったのはITサービス大手ウィプロで111 件。以下、民間銀行大手ICICI銀(87 件)、ITインフォシス(62 件)、ITタタ・コンサルタンシー・サービシズ(TCS、34 件)と続いた。ゼロ件だったのは15 社で、前年度の19 社から減った。TCSなど複数企業は従業員への教育などを通じて改善を図っているという。

●児童労働に関するILO条約、インドは批准できる―労働相

バンダル・ダッタトレヤ労働・雇用担当国務相は、9月27日、国際労働機関(ILO)の児童労働に関する2条約に批准する用意があると述べた。 2つの条約は、「1973年の最低年齢条約(第138号)」と「1999年の最悪の形態の児童労働条約(第182号)」。第138号は、就業最低年齢を義務教育終了年齢と定めたもので、第182号はそれをさらに補足し、18歳未満による最悪の形態の児童労働禁止・撤廃に向けた措置を求めたもの。ニューデリーで開催中のBRICS労働・雇用相会議に出席した同相は、この日、「インドはILOの第138号条約と第182号条約を批准できる立場にあり、その手続きを始めている」と述べた。インドは、7月末に「児童労働(禁止および規制)法」の改正を施行。14歳未満の児童の雇用を禁止し、危険な労働への18歳未満の従事を禁じた。

●ホンダの解雇に抗議、首都で元工員がハンスト

ホンダ・モーターサイクル&スクーター・インディア(HMSI)のタプカラ工場(ラジャスタン州)に解雇された元従業員5人が9月19日からニューデリーでハンガーストライキをニューデリー中心部の公園ジャンタル・マンタルにて決行した。 同社の総務・広報担当を務めるハルバジャン・シン氏は、PTI通信に対し「そもそもタプカラ工場は全く減産しておらず、元従業員らの主張は事実誤認だ。実際は許容量以上で操業している上、彼らは2月の第1週目で解雇されており、そうした主張を行う提訴権すらない」と述べた。2月の労働争議でホンダは常勤工100人を解雇。47人を職務停止(うち25人は復帰)にしたとされる。元従業員らがマネサール工場労組の支持があるとしていることや未経験者に生産させているとの主張についても否定した上で、そうした行為はホンダの事業を毀損するものだと非難している。全インド労働組合会議(AITUC)の声明によると、労組を結成しようとしたタプカラ工場の常勤工102人と期間工2,000人超が、仕事から外されたと主張。5人の元工員が19日からハンストを決行しているほか、ハリヤナ州の一部の組合員も連帯を示すための座り込みを行っているという。

(了)