各国・地域情報

インド

作成年月日:2016年1月

海外情報プラス

インド情報 2016年12月

安倍・モディ首脳会談
日印関係、具体化進む

安倍首相はインドを訪れ、モディ首相と12日、ニューデリーで、日印首脳会談を行った。

安倍首相の訪印は第一次安倍政権に初めて、そして2014年1月、インド共和国記念パレ ードに主賓として招待されたものに続き3回目。前2回とも、相手首脳は前政権のマンモハン・シン首相であった。

今回の訪印では、安倍首相はモディ氏の選挙区、UP州のバラナシにその第一歩を印し た。インドの有識者は、これは習近平中国主席が2014年9月の訪印第一歩をモディ氏の故 郷グジャラート州アーメダバードから始めたことを意識したもので、日印両首脳の親密を アッピールし、中国をけん制したものと論評している。

両首脳の個人的友好関係を評価

一方、モディ首相はグジャラート州首相時代に日本を数度訪れ、安倍首相にも会っているが、首相就任後14年8月末に訪日し、首脳会談を行っている。最近ではトルコやマレーシア、パリで行われた国際会議の際にも両首脳は会談の機会を持っている。

インド・メディアは、モディ氏が首相に就任して1年半になるが、最も友好関係を深めたのは、対日本であるとして、両首脳の個人的な友好関係の深まりが日印両国にとって大きくプラスに働くとして、高く評価する論評を載せている。

経済・安全面での提携確認

首脳会談では、経済・安全保障の面で連携を確認した。主な合意点は、@原子力協定締結で原則合意、A高速鉄道建設に日本の新幹線方式導入、1兆4,600億円の円借款供与、B道路などインフラ整備に15年度4,600億円の円借款供与、C防衛関連備品・技術移転・情報保護協定締結、D訪日インド人向けビザ発給要件大幅緩和など。

注目すべきは訪日インド人向けビザの発給要件の大幅緩和である。日本は従来、インドに対しては、中国、アセアンに対しするよりも厳しい訪日ビザ発給要件を適用してきた。

今回の合意で、インド国民がより容易に訪日出来ることで、草の根レベルでの両国の交流が拡大することが望まれる。あらゆる分野での交流拡大が、原子力、高速鉄道、道路、防衛などハードな面での日本のインド経済進出を後押しするものと言えよう。

新幹線が日印ビジネスの突破口

インド進出の日系企業は、2014年、1,200社を超え、5年前の倍増となったが、中国進出企業3万社と比較すると大きく見劣りする。インド人口は12億人。中国と拮抗する大きさであり、人口イコール市場とするならば、現時点で10倍の進出日系企業が存在していてもおかしくは無い。日系企業の進出が遅れていることに付き、いろいろな原因・理由が指摘されているが、今回の合意によって日系企業のインド進出が本格化することを期待する向きは多い。特にインドが日本の新幹線方式を採用したことは、受注が有力視されていたインドネシアで、土壇場で中国に攫われてしまった日本勢にとっては“救い”であったと言えよう。インド政府中枢部では、鉄道のような国の中枢基幹産業に、いくらコスト的に有利な条件であっても、国境問題を抱えている中国の参入を認める訳にはいかないとの暗黙の理解が当初からあったと指摘する有識者はいる。日本のハード、ソフト両面の技術的な優秀さが各分野でインド人の高い評価を得ていたことが、今回の印政府決定の最大の要因であったことは間違いない。一般大衆が日印両国の関係を目に見える形で理解できる新幹線プロジェクトの早急な実現が望まれる。

(了)

モディ首相、予告なしパキスタン訪問
米国メディア歓迎

インドのモディ首相は25日、パキスタンを予告なしで訪問し、同国のシャリフ首相と会談した。インド首相のパキスタン訪問は2004年4月のバジパイ首相の訪パ以来、12年振り。当時の会談相手はムシャラフ首相であった。

モディ氏が、ロシア、アフガニスタン訪問を終え、到着したのは、ムシャラフ首相の自宅があるラホール空港。25日はシャリフ氏の66歳の誕生日で、シャリフ氏が空港に出迎え、自宅に向かい誕生日を祝った。

パキスタンの外務省報道官は両氏の会談後、「両国間の友好的関係を築くため、対話のプロセスを加速させることで合意した。」と述べた。

一方、モディ首相はツイッターで、「シャリフ家の自宅で暖かい夕べを過ごした。誕生日を祝福したい。空港まで出迎えていただき感動した。」と述べた。

カシミール問題は両国の怨念

両国は1947年、英国から独立した際、イスラム教徒が多いパキスタンがヒンドウ教のインドから分離した形で独立した。パキスタン領に居住していたヒンドゥ教徒はインドへ、インドのイスラム教徒はパキスタンへと、財産を放棄させられて強制的に移住させられた。 それはセパレーション(分離)と呼ばれ、その際、数百万人が殺害されたと言われる。その時の悲惨な経験を忘れない老人は今でも多い。特に北インドのカシミール、パンジャブ地方では両国側にその怨念が残っており、47年、65年、71年と3回戦火を交えている。 その後、一時的に関係改善の兆しが見えたが、2008年のパキスタン過激派によるインド・ムンバイの同時テロで、再び両国関係は冷却化してしまった。

両国関係の改善が見えてきた

14年、モディ首相の就任式にシャリフ首相が招待され出席したことで、両国関係の改善の兆しが見えてきた。元ビジネスマンのシャリフ首相とモディ首相は馬が合うようで、15年7月、ロシア中部のウファで開かれた国際会議の機会を利用して会談した。シャリフ氏は16年のSAAC首脳会議にモディ氏を招待。両首相は11月末、フランスで開かれた国連気候変動会議(COP21)の際にも会った。12月上旬には両国の安全保障顧問が会談。

その直後にインドのスワラジ外相がパキスタンを訪れシャリフ氏と会談し、両国の関係改善に向けた対話が進んでいた。そして今回のモディ氏の予告なしのシャリフ氏訪問。

核保有両国の緊張は南アジアの安定にとって大きなリスクとされてきた。首脳同士の交流により、両国の関係改善につながれば、この地域の安全保障に大きな前進となる。

米国のウォール・ストリート・ジャーナル紙は、「皆に取って最大の驚き」として、モディ氏の行動を「核保有隣国の関係改善プロセスに大きな影響を与えるだろう。」として歓迎する論評を載せている。

中国の利下げを擁護する発言

インド準備銀は今年に入って、政策金利の引き下げを4回も行っている。 最近では9月29日、予想を上回る0.5%の引き下げを行い、現在は6.75%。 これは2011年4月以来の最低となっている。 中国は8月、4%近い利下げを行った。その煽りを受け、インドルピーの大幅売りを呼んだが、ラジャン総裁は、「北京が競争力のある金利に調整したことは間違いとは言えない。中国の動きは通貨戦争を引き起こすものだ、とする批判は間違いだ。」と、中国を擁護する発言をしている。

人民元の主要通貨歓迎

IMFは30日、中国の人民元を来秋から主要通貨に採用することを決定した。 ラジャン総裁はこれを予測して、「IMFや世銀などの世界金機関の新興市場に対する注目度は大幅に増加している。この動きは正しく、世界機関のガバナンスを変える時だ。」とコメントしていた。(了)

乗用車 デリー市内乗り入れを制限
偶数・奇数番号で 1月1日から

インドの首都ニューデリーで、1月1日より市内を走行する乗用車を半減させて、大気汚染を減らす試みが始まった。ケジリワル・デリー首都圏州首相は、12月24日、「奇数・偶数政策(odd - even policy)を発表した。曜日により市内乗り入れ可能な乗用車の番号を奇数と偶数に分けて空気汚染を半減させる試み。デリー首都圏州政府は、「まずは1月15日までの試験導入だが、成果と社会的不利益の両面を検証して継続するか否かを決めたい」と述べている。日曜日以外の午前8時〜午後8時に適用される。

世論調査、「うまくいくとは思えない。」

ニューデリーの大気汚染は中国よりも深刻と言われる。12月下旬、PM2.5が1立方メートル当たり500マイクログラムを記録した日もあった。日本の基準値の14倍にあたる。 庶民の味方を標榜して15年2月、政権を勝ち取ったAAP(庶民党)州政府としては、何らかの大気汚染政策を取らざるを得なくなり、急ごしらえで作ったのが、奇数・偶数政策。 だが、市民の受け止め方は複雑だ。まだ、地下鉄やバスなどの公共交通網の整備は行き届いておらず、市民の主な足は自動車、オートバイなどの道路交通に頼っているのが現状だ。 世論調査では、6割が「政策は試してみるべきだ。」としながらも、7割が「政策がうまくいくとは思えない。」と回答している。

数値は下がったが、市民から疑問の声

デリー州政府は1月7日、奇数・偶数政策実施1週間の結果を公表した。市内18か所で採取されたデータによると、「PM2.5は12月平均の400〜450であったが、1月7日の平均は300以下になっていた。勿論許容量の40からすれば、まだ高いのは事実だ。しかし、1月の気候は通常大気汚染度が高い時期なので、この数字は政策実施により汚染度を25%減らしたと言える」と、ライ交通相は述べている。

大気汚染の最大の原因になっている二輪車については、「庶民の足」という理由で対象外になっており、また女性が運転する車も対象から外している。市民の中からは、「不便になっただけで、空気がきれいになったと実感できない」との批判の声が出始めている。

(了)