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作成年月日:2015年12月

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インド情報 2015年11月

BJP大敗  ビハール州選挙
モディ政権の前途に暗雲か

10月から11月上旬にかけて、5回に分けて行われた北インドのビハール州議会選挙が11月6日開票された。 結果は中央で政権を担っているインド人民党(BJP)の大敗であった。総議席数243の内、州与党連合が178獲得。NDA連立は58(BJP53)しか獲得できなかった。2010年選挙の91議席から大きく後退してしまった。

モディ・マジックは効かなかった

ビハール州は総人口8千300万人、インドで三番目に人口の多い州。最貧困州の一つとして知られている。18〜40歳の人口は56%。30歳以下は1千800万人。今回初めて選挙に参加した有権者数は241万人という若い州。

今回、ビハール州の選挙が他州の選挙より世間の注目を浴びたのは、首都デリーに近い州として、多くのビハール人がデリーに出稼ぎに来ていることで、 彼らが自分達と同じ庶民出身のモディ首相を身近に感じ、故郷のビハールにも改革の波を期待していたことで、モディ・マジックが地方でも通用するのか、であった。

結果は無残なものであった。有識者は敗因を分析して、いろいろ解説しているが、インドの地方政治はカースト、民族、票買収、いろいろあって結論を出すのは難しいようだ。 BJPの地方選の大敗は今年2月のデリー首都圏選で、70議席の内、わずか3議席しか獲得出来なかったことに続くものであった。

ねじれ国会解消は一頓挫

ビハールの選挙結果が注目されていたもう一つの理由は、モディ首相が就任当時から直面しているインドの「ねじれ国会」の問題であった。インドは各州を代表する「上院」と、国民の直接投票で議員が選ばれる「下院」との二院制を取っている。BJPは下院で単独過半数を占めるものの、上院では少数派。 モディ政権は州議会選で勝利することで、上院での議席を増やす方針と伝えられていたが、ビハール州選大敗で一頓挫してしまった。

モディ推進の二大経済改革

モディ政権は10月、発足後500日を迎えた。政権は二つの経済改革を行おうとしている。一つは企業の取引活発化を推進する統一物品税(GST)改革、二つ目は工場用地などの取得を容易にする土地関連法改革である。 先国会でも関連2法案の国会通過を図ったが、少数派の上院では会議派の抵抗に会い、失敗に終わってしまった。それに今回のビハール大敗が加わった。 市場では選挙結果が出た後、売り注文が膨らみ、11月末時点でも海外勢の売りが主導している。しかし、モディ政権に対する期待感は経済界、投資家の間で依然として根強い。モディ政権はデリーの敗退後も、辛抱強く経済改革を優先する政策を取ってきたが、ビハール大敗後も方針を変更することは無いと見ている。

モディ首相の直近の動き

モディ首相の直近の動きを見ていると、先国会の問題、ビハール州選大敗にもめげず、今冬季国会に向け、対野党、会議派対策に新しいアプローチ始めたようだ。今まで敵対関係にあったと言っても良い会議派党首のソニア・ガンディー、マンモハン・シン前首相を27日、首相就任後初めて、プライベートな形でお茶に誘った。

ソニア・ガンディーの方も、息子のラフル・ガンディーを後継者にしなければならず、モディ氏を味方に付けた方が得策と考え、招待に応じたと解説する評論家もいる。どのような落としどころで、冬期国会で懸案の2大経済案件を成立させるか。海千山千の政治家、モディ氏の真骨頂がこれから試されるようだ。(了)

 

中国の景気減退 インドに対する影響
中銀総裁と政府の見解相違

ラジャン・インド準備銀行(中央銀行)総裁は、訪問先の香港で21日のサウス・チァイナ・モーニング紙のインタービューで、「中国の経済減速の痛手はインドの痛手でもある。」と語った。 これは、ジェイトレー財務相が10月、コロンビア大学の集会で、「中国の経済減速によって、インドは“衝撃を受けない”。インドは中国の製造・流通・チェーンの一環を担っていないからだ。インドは中国の減速分を補うことが出来る。」と講演したこととは相反する見解であり、金融経済界で話題を呼んでいる。

中国の経済減速は全世界の関心事

ラジャン総裁は、「中国の経済減速は全世界の関心事である。中国の各国からの輸入減少は、引いては各国のインドからの輸入も減少することを意味する。しかし、インドは穀物や石油の輸入国であるので、これらを安く輸入出来るメリットはあるだろう。それゆえインドに対する衝撃は思ったより深刻で無いかもしれない。それにしても、中国の経済減速の衝撃は世界的に影響をもたらすものであり、インドも世界経済に組み込まれているので、軽く見るべきではない。」と語った。

中国を凌駕する経済成長率を

ラジャン総裁は更に、「モディ首相は近隣諸国との友好関係を促進する明確な道を作った。重点は従来関係の深い西欧から東洋に移している。アジアインフラ投資銀行や中国のシルク・ロード戦略を通して、インドは中国の、或いは中国が推進するプロジェクトに参画する機会が大きくなっている。インドは中国の製造業やインフラ整備、農村開発、多額の外資導入などの成功例を参考にして、自国の実情に合った独自の経済発展モデルを作って中国を凌駕する経済成長を達成すべきだ。」と述べた。

中国の利下げを擁護する発言

インド準備銀は今年に入って、政策金利の引き下げを4回も行っている。 最近では9月29日、予想を上回る0.5%の引き下げを行い、現在は6.75%。 これは2011年4月以来の最低となっている。 中国は8月、4%近い利下げを行った。その煽りを受け、インドルピーの大幅売りを呼んだが、ラジャン総裁は、「北京が競争力のある金利に調整したことは間違いとは言えない。中国の動きは通貨戦争を引き起こすものだ、とする批判は間違いだ。」と、中国を擁護する発言をしている。

人民元の主要通貨歓迎

IMFは30日、中国の人民元を来秋から主要通貨に採用することを決定した。 ラジャン総裁はこれを予測して、「IMFや世銀などの世界金機関の新興市場に対する注目度は大幅に増加している。この動きは正しく、世界機関のガバナンスを変える時だ。」とコメントしていた。(了)

 

中小都市が大都市を凌駕
新卒者就職率

オンライン雇用情報のウィーボックス社の調査によれば、「中小都市の新卒者の就職率は大都市を上回る。」とのこと。調査は29州、7中央直轄州の52万人を対象に行われた。回答者は18〜21才が37%、22〜25才が31.6%、26〜29才が21.9%を占めた。回答者が最も多かったのはウッタル・プラデシュ州で、次いで、タミール・ナドゥ、ラジャスタン、ハリヤナ、アンドラ・プラデシュ、ケララ、グジャラート、デリー、カルナータカ、ビハールの順になっている。 ラクノウ、パトナ、デラドンのような中小都市の就職率は約50%。大都市平均の約30%を超えている。  女性の就職率は中小都市の場合、2014年の36%から2015年は40%に増えた。大都市は32%から36%に増えた。女性の就職率が高いのは、アンドラ・プラデシュ、タミール・ナドゥ州の順で、アンドラ・プラデシュの場合、男性も1位を占めている。

インド雇用者は包括的、柔軟に対応

回答者の19%は単に医療費関連のコスト削減を図ることに重点を置くとしているが、78%は医療費以外の福利厚生費用の増加にも神経を尖らせている。 調査担当者は「インド雇用者は福利厚生を従業員の更なる労働意欲を引き出すツールとして有効であることを理解している。費用増加抑制は避けて通れないが、多くのインド雇用者は包括的、柔軟に対応している。長期的に見た場合、生産性向上につながる。」とコメントしている。

更に報告によると、44%のインド雇用者は医療費負担を従業員の家族にまで拡大している。アジア太平洋諸国では21%となっている。インド雇用者の22%は近々の導入を考慮中とのこと。

技術系が高い就職率

雇用者側の需要も前年対比14%伸びている。 技術系の就職率は伸びているが、文系、商系、ITI系の大卒の就職が振るわない。ウィーボックスのCEOは、「雇用者は特に中小都市の技術系タレント発掘に力を入れ始めている。中小都市の教育機関も雇用者が求めている学生の技術レベルの開示に努めている。」と述べている。

雇用者が求めているもの

調査では、雇用者に対し、新卒者に最も求めているもの一つを聞いている。 回答によれば、「得意分野の技術レベル」が第一位で、次いで「誠実さ」と「人柄」を挙げている。 英語とコンピューター技術の習得も採用条件の中に入っている。 英語教育が行き渡っている州はウッタル・プラデシュ、アンドラ・プラデシュ、ラジャスタン、ハリヤナ、デリー、グジャラート、タミール・ナドゥの順になっている。 コンピューター教育に関してはウッタル・プラデシュ、アンドラ・プラデシュ、ハリヤナ、ケララ、デリーの順。 これらを見ても、地方州が新卒者雇用に貢献していることが分る。(了)