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作成年月日:2015年11月

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インド情報 2015年10月

第3回インド・アフリカサミット
インドの実行力に注文

10月26日、ニューデリーで第3回インド・アフリカサミットが開かれた。

アフリカから54カ国が参加した。

第1回は2008年ニューデリーで開かれたが、参加国は14カ国であった。 リビア、エジプトなど大国は不参加。第2回は2011年、エチオピアのアジスアベバで開かれた。参加国は14カ国であった。

サミットは3年毎に開かれることになっており、当初2014年12月にニューデリーで開かれる予定であったが、インド側の事情で2015年10月に延期された。首相就任日の浅いモディ氏は、まずは先進諸国の外遊を優先して、現実的なつながりの弱い、経済的メリットの薄いアフリカを後回しにした、との批判が当時アフリカ諸国から出た。しかし、モディ氏の評価が国際的に高まるにつけ、アフリカ諸国のインドに対する期待感も強くなったようで、今回は54ヵ国という予想以上のアフリカ諸国が参加した。首相側近から、モディ政権の外交勝利という声が聴かれるが、サミットではインドのプロジェクト実行力に対する辛口の注文がアフリカ諸国首脳から多く出た。

100億ドルの新規融資

モディ首相は、サミットの目玉として、アフリカ諸国向けに100億ドルの新規融資枠を発表した。歓迎すべき動きであるが、インドは2008年のサミットで78億ドルの特別融資枠を約束したが、いまだ30億ドル近い資金が使われていない。

少なくとも6人のアフリカ諸国首脳は、正面切ってインドのやり方について注文を出した。ザンビアのムカベ大統領は、インド支援に欠けているのは、「モニター」と「評価」のシステムが確立していないことを指摘した。ムカベ大統領は、1983年にインディラ・ガンディー首相が主宰した有名なNAM(非同盟国)サミットに出席している。

ズマ・アフリカ連合委員長は、サミットの成功は「文書に書かれたものの実行次第」とコメントした。スワジランドのマスワティ皇帝は、「効果的で、能率的な監理メカニズム」の確立をインド側に要望した。

ガボンのオンディムバ大統領は、「プロジェクトにはフォローアップの厳格なメカニズム」が必要と述べた。

アフリカ連合と共同モニター・メカニズム

これらコメントに対し、モディ首相は、「インドは思うように事が運ばなかった時期があったこと、そして約束事を迅速に実行しなかったことは認める」とした上で、アフリカ連合と共同でモニター・メカニズムを発足させることを発表した。

テロ対策面での期待は大きい

プロジェクト、経済面では、実行面でクレッションマークを呈したアフリカ首脳もテロ対策、治安維持の面で、インドに対する期待度は大きいようだ。

国連の平和維持活動は全世界16カ所で行われているが、その内、アフリカは 9カ所。各国ともテロ対策、治安維持で頭を痛めていることが分る。

治安維持に関するインドとアフリカの関係は英領時代から深いものであり、独立後もネルー首相がエジプトと戦闘機エンジンの共同開発を提案したことがある。アフリカ諸国も欧米大国に頼らずに、インドとの関係を強化することで、 治安維持、軍事面での第3の選択肢を持ちたいようだ。しかし、この面でも、 今までのインドの動きは緩慢であったようで、今後アフリカ諸国の期待に応えられるか分らない。

次回のサミットは2020年

有識者は、アフリカ首脳の発言は、アフリカ進出を急速化させている中国の動きを歓迎しながらも警戒感を持っているとして、歴史的には古い関係を持っているインドに経済面でも、軍事面でも中国とのバランスの抑えを期待したものだと分析している。

次のサミットは2020年が予定されているが、それまでに、実行力の点でインドはアフリカ側を満足させる成果を示さなければ、100億ドルの援助発表も 逆効果になると警告している。(了)

医療費 会社負担が増加
給料支払いの4分の一

グローバル調査会社タワース・ワトソンの調査によると、インド雇用者の55%は支払給料の4分の一に相当する医療費を負担しているとのこと。他のアジア太平洋諸国の平均負担は38%。このことはインド雇用者が労働者の健康に留意している表れとしている。調査では42%のインド雇用者は従業員の健康維持が福利厚生の最大の目的としているが、アジア太平洋諸国では26%となっている。 調査担当者は「会社の医療費負担はすでに大きなものになっているが、更に増加する傾向にある。雇用者にとってはチャレンジである。単に健康維持プログラムを増やすだけでなく、効率的、効果的な対応が必要となってきている。」と述べている。

インド雇用者は包括的、柔軟に対応

回答者の19%は単に医療費関連のコスト削減を図ることに重点を置くとしているが、78%は医療費以外の福利厚生費用の増加にも神経を尖らせている。 調査担当者は「インド雇用者は福利厚生を従業員の更なる労働意欲を引き出すツールとして有効であることを理解している。費用増加抑制は避けて通れないが、多くのインド雇用者は包括的、柔軟に対応している。長期的に見た場合、生産性向上につながる。」とコメントしている。

更に報告によると、44%のインド雇用者は医療費負担を従業員の家族にまで拡大している。アジア太平洋諸国では21%となっている。インド雇用者の22%は近々の導入を考慮中とのこと。

最大の健康リスクはストレス

インド従業員が直面している最大の健康リスクはストレスとしているが、36%の雇用者しかストレス解消プログラムを用意していない。しかし、30%の 雇用者は近々、プログラムを導入するとのこと。従業員の慢性疾患もインドでは増加の傾向にあるが、13%の雇用者しか対応プログラムを用意していない。  報告は、予防医学の徹底がインド雇用者に課せられた宿題と結論付けている。(了)

2%以下のインド有力上場企業もある
女性従業員割合

46社調査 有力日刊経済紙、エコノミック・タイムス紙の調査によると、ナショナル証券取引所上場46社を対象にした調査では、企業の女性従業員の占める割合は平均18%であるが、有力10社をピック・アップした場合、その割合は2%に満たないことが分った。インド総人口の女性の占める割合は48%。如何にインドの女性の社会進出が遅れているかが分る。

例を挙げると、オート三輪車メーカー大手のバジャジ・オートの場合、総数 9千人プラスの従業員の内、女性従業員は67人。0.7%に満たない。港湾運営会社のアダニ・ポートの場合、1千257人の従業員の内、女性従業員は12人に。1%弱。二輪車最大手メーカーで、最近までホンダと合弁を組んでいたヒーロー・モーターは7千人プラスの従業員の内、女性従業員は88人。1.2%を占めるに過ぎない。

46社の総従業員数は38万2,614人。その内女性従業員の割合は18%。しかし、金融やIT関連企業を除いた場合の平均は7%に落ちる。

公営企業の場合は民間企業と比較して少し%は上がる。同じ石油関連企業を比べた場合、公営のONGC社は6.6%。民間のリライアンス・インダスタリ―社は6.6%となっている。

女性の社会進出遅れの要因は?

有識者は女性の社会進出遅れの要因として次の2点を挙げている。

一つは、いまだ大家族制が大半を占めているインドの家庭では、女性の家事仕事の要求が大きいこと。二つは、インド企業は伝統的に男性に価値観を持っており、それが未だ是正されていないこと。

パンジャブ・ナショナル銀行の女性CEOは、「企業は女性に就職の機会を与えているが、女性自身、また家族が外で働くことの抵抗感を持っている。企業はもっと努力して女性従業員を増やす必要がある。女性が働き易い環境整備をアッピールする努力が必要。」と述べている。

文化革命が必要

エコノミック・タイムス紙は社論として、「女性労働力を活用しない限りインドの発展は無い。今年度のIMF調査によれば、インドは女性労働力を男性と同レベルにまで引き上げることが出来れば、GDPは27%上昇する。女性の労働力が必要なことは論を待たないが、留保制度(女性枠を作ること)には賛成できない。企業はメリットと実績を考慮して女性を雇用すべきだ。しかし、最も必要なのは国民全員のマインドセットの変革だ。」と述べている。

有識者は、「インドには学校から職場までの文化革命が必要。特に企業、財界リーダーの意識変革は重要だ。経済団体で女性労働力活用に関する共同綱領を作成するのも一案ではないか。」と提案している。 (了)