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作成年月日:2015年5月

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インド情報 2015年4月

モディ首相、仏独カナダ歴訪
成果は原発と戦闘機のみ

モディ首相は9日からのフランス、ドイツ、カナダ3カ国9日間の歴訪の旅を終え、17日帰国した。首相は出発前の記者会見で、外遊の最大目的は経済であり、政権の看板政策である「メイク・イン・インディア」(製造業振興)の加速化を図るため、3カ国の有力企業のインド投資拡大や進出誘致に重点を置くことを強調していたが、外遊を終えた成果を見る限りは、及第点であるが満点とは言い難いという見方が有力だ。最大の成果は、過去数年来持ち越されていた原子力発電所向けのウラン調達や戦闘機購入をまとめ上げたことだ。最初の訪問国フランスでは、ダソー社の戦闘機「ラファール」を36機購入することに合意。仏の原子力大手アレバから最新鋭原子炉(EPR)建設の技術協力を取り付けた。

ドイツでは、ハノーバーの産業見本市にメンケル首相と参加し、企業経営者との会合で対インド投資を呼びかけたが、具体的な成果はなかった。 カナダでは、資源大手のカメコから濃縮ウランを5年間で3,200トン調達する契約に合意した。戦闘機、原発案件とも数年前に基本的合意に達していたが、条件が折り合わず先送りされていた。

モディ首相の成果は、先送りされていた案件を最終合意に持ち込んだことで、前コングレス政権と違い、売り物の実行力を外交面でも見せたと、高く評価する向きは多い。 

今後5年間で官民合わせ対印投融資3.5兆円という約束を取り付けた訪日、また在米インド人社会の大歓迎を受けた訪米の成果と比較すると、3カ国から具体的な対印投融資の約束を引き出せなかったことで、物足りないものを感じる向きが多い。しかし訪問3カ国首脳との信頼関係構築には成功しており、具体的成果がなかったドイツとは、首相府内に日本企業専用の「ジャパン・デスク」と同様な「ドイツ・デスク」を設けることを公表し、少なくとも外遊の成果を目に見えるものにしている。

バンドン会議には不参加

3カ国歴訪直後22日からインドネシアで開かれたアジア・アフリカ首脳会議「バンドン会議」にモディ首相はインド国会開会を口実にして参加を見送った。バンドン首脳会議は1955年、民族自決などを訴えて、反欧米のスタンスで、当時のインドネシアのスカルノ大統領、中国の周恩来首相と共にインドのネール首相が中心となって開催されたものであった。このような歴史を持つバンドン会議にインド首相が不参加ということは、通常考えられないことであった。 「不参加」は、内外にモディ政権は従来のコングレス政権とは違い、外交政策の重点をイデオロギーよりも、より多くの投融資誘致が見込める欧米諸国との関係強化に移す、という現実的な選択を示したと見ることが出来そうだ。 

また強大化する中国のプレゼンスにも警戒心を持ちながらも、アジア・アフリカ政策では中国と競うことなく、まずは自国インドの経済活性化を最優先するとして、あえて参加を見送ったと見るべきであろう。参加すれば、経済力の弱い国々から経済援助の要請が出て来た場合、断る訳にはいかなかっただろう。

    現実派政治家、モディ首相の真骨頂と見ても良いのではないか。

(了)

国家公務員の賃上げ 8月に勧告
第7次賃金委員会

インド人の就職先で最も人気があるのは国家公務員。総数360万人。インドはまだ欧米に比較して、民間企業が成熟しておらず、上場企業大手といえども、同族経営のところが多い。最大手と言われるタタ、リライアンス、ビルラ財閥も同族企業。同族企業の弊害は誰にも分ることで、実力のある人材は同族のしがらみが無い国家公務員になることを目指す。しかし国家公務員になるためには競争率が世界一ともいえる難しい国家試験を通らなければならない。

国家公務員の頂点に立つのはIndian Administrative Service(IAS)と呼ばれる行政職公務員、6,270人。IASに並列する形で、警察官僚のIndian Police Service(IPS), 4,720人。税務官僚のIndian Revenue Service(IRS)、5,541人。 少し格落ちする形で鉄道省のRailway Service(RS)、16,000人。鉄道は日本と違い、民営化されておらず、予算も国会の承認が必要であり、次年度の国家予算編成時には鉄道予算がその口火を切る。

国家公務員の給与改定は10年毎に行われる。まず賃金委員会が組織され、 1年半かけて賃金引き上げの勧告を政府に出す。第1次賃金委員会は1946年5月に組織され、第1次勧告は1947年5月に出された。その時最高給を得たのは鉄道委員会会長で3,250ルピーであった。それ以後1959年、73年、87年、97年、2008年と勧告が出て、第7次賃金委員会が昨年2月に組織され、勧告は今年8月に出される。勧告に基づいた賃上げは2,016円、1月1日から実施される。国家公務員の賃上げが決まれば、州公務員、公営企業従業員の給与もこれに準じ賃上げとなるが、上げ幅はそれぞれのお家事情で異なる。  

現在の給与ベースはIASの場合、初任給が2万1,000ルピー。これに物価手当が100%付いて、実質賃金は4万200ルピー(8万4,000円)。最高給は各省の次官レベルであるが、基本給が8万ルピー(16万円)で、物価手当がプラスされて実質賃金は16万ルピー(32万円)となっている。これに官舎、運転手付き自動車などが支給されている。 第7次賃金委員会はすでに経済・物価調査、各公務員組合の聞き取り調査を終え、勧告作成の最終段階に入っているとのこと。 一部のメディアでは、第7次勧告では基本給が現在の3倍に引き上げられると予測している。各省次官の場合、基本給が24万ルピー(48万円)になり、これに物価手当、その他がプラスされることになる。 財政赤字の中、大幅な引き上げ勧告が出た場合のモディ政権の出方が注目される。また賃上げ幅は民間企業の給与ベースにも大きな影響を及ぼすとして、企業も無関心ではいられない。

(了)

国家公務員の賃上げ 8月に勧告
第7次賃金委員会

経済団体NASSCOMの調査報告によれば、多くのインド企業が、パンジャブ、 メディア・プラデシュ、ウッタル・プラデシュ、西ベンガル、ケララ、北東州など産業的に二次的と見られていた州の州都での活動を拡大し始めている。  その理由として、コストの節約を挙げている。デリー、グルガオン、チェンナイ、バンガロール、ムンバイなど大都市と比較すると、同じレベルの人材でもこれら州都では基本給が30−40%安く雇用出来るメリットを挙げている。 特にIT関連、ネット通販、バックオフィス・サービス業種等の進出が著しい。 製造業分野にも拡がっている。 定着率が良いこともメリットの一つ。リクルート、トレーニングなどのコストが削減できるとしている。 大都市の交通渋滞も理由の一つ。大都市と二次都市を結ぶ道路、通信網などのインフラ整備が進み始めたことも、二次都市の存在感をアッピールしている。

(了)