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作成年月日:2015年4月

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インド情報 2015年3月

ねじれ国会 重要法案成立に赤信号
モディ政権の真価問われる

モディ政権は、与党BJPが絶対多数を占める下院で、土地収用改正法案を野党連合の反対を押し切って通過させた。法案は上院に廻されたが、修正無くして上院を通すことは難しそうだ。上院では野党が結束すれば優勢。 モディ政権の真価が問われる。

前週に下院を通過させたモディ政権の看板法案の一つである、鉱物資源(開発)改正法案の上院承認にも影響があるとみられる。両法案とも上院の特別委員会で再審議されることになりそうだ。

土地収用改正法案は、野党からの反対のみならず、与党連合構成党の中からも異議が出ていたが、政権ポストを約束することで、採決欠席という政治的解決で治めたようだ。

上院での野党の主張は、下院で常任委員会での審議を経ずして上程された土地収用法案は、上院では特別委員会で賓議されるべきというもので、これにモディ政権は反対を押し通すことは難しいと、有識者は見ている。

鉱物資源(開発)法案の特別委員会審議に廻される決定は、上院本会議で6時間にわたる与野党の応酬の結果、決定された。モディ政権にとって一歩後退と言えよう。

現国会の会期は5月8日までであるが、会期延長を図るか、野党の要求を呑んで修正に応じるか、上院での強行採決を図るか、モディ政権は難しい対応に迫られている。

判断を誤ると、外交では順風漫歩にみえるモディ政権も内政で躓きかねない危険性を孕んでいる。

政権10か月、綻びが見え出した モディ政権は10か月になるが、小型効率・実行内閣を標榜して、前コングレス政権との違いをアッピールし、変革を期待する有権者の支持を得て、下院選挙後のマハラシュトラ、ハリヤナ、グジュラート州など、人口の大きい、経済的に影響力の強い州の選挙でも勝利を続けた。

しかし、首都デリー州では思いがけない大敗を喫した。デリー州の場合、AAP(庶民党)の大躍進があった結果、その煽りを受けて大敗したという見方もあるが、インドの良識とも言える中産階級が影響力を持つデリーで負けたことは、モディ首相個人への評価は変わらないが、BJP、また支持母体であるヒンドゥ教右派の人民義勇団(RSS)に対する警戒感、またそれを抑えきれないモディ首相への不満の表れと見る向きがある。

新聞報道によれば、モディ首相は本国会終了後、内閣改造を行うとのこと。土地収用法案の下院通過に協力してくれた与党構成党に見返りとして、閣僚ポストを与えると報じられている。政治的妥協の産物として、閣僚ポストをばらまく従来型の内閣になって行くのではないかと、早や失望感を表明する評論家も出てきている。

ハリヤナ州で牛肉の販売禁止

在留邦人や外国人にショッキングなニュースも流れている。BJPが政権を取ったハリヤナ州で、牛肉の販売が全面的に禁止された。ヒンドゥ教徒は牛肉を食べることはタブーとされているが、日本人はじめ外国人が一番多く居住しているグルガオン(ハリヤナ州)で販売が禁止されると、外国企業の進出に水を浴びせる結果になりかねない。食は駐在外国人にとって最大関心事である。 すでにグルガオンの有名韓国料理店が営業停止を受けた。

モディ政権は外国企業の誘致を最優先政策に挙げているが、モディ首相の指導力に疑問を呈する声が外国人間で出てきている。これら一連の動きを見ていると、紅茶売りから首相にまでなったモディ氏に対する身内のヒンドゥ体制派の反撃が始まって来たのかもしれない。

しかし、日米欧中の支援を受けて、千軍万馬のモディ首相にはこの難関を乗り越えていくことが期待される。(了)

インドの乗用車販売 2014年度
主要メーカー 2桁成長

インドの乗用車販売は、2年間のスランプを脱して、2014年4月〜15年3月期、全体で約5%の販売増を記録した。インドには14社の乗用車メーカーがあり255万台を生産した。マルチ・スズキ、現代、ホンダ、トヨタ、日産の主要メーカー5社はそれぞれ2桁成長を記録した。マルチ・スズキは117万台で前年度対比11%、現代は42万台で11%、ホンダは18万9千台で41%、トヨタは14万1千台で10%、日産は4万7千台で24%の増加を記録した。

中でもホンダのCity sedan、現代のi120、マルチのCiazの健闘が目立つ。 一方、インドメーカーは不調で、マヒンドラ&マヒンドラは20万1千台で8%、タタ・モーターは13万4千台で、3%減少であった。欧米勢も不調で、フォードが7万5千台で11%、GMが5万1千台で36%、フォルクスワーゲンが4万5千台で14%、ルノーは4万3千台で24%の減少であった。

2015年度は6〜8%増加予測 インド自動車工業会では2015年4月〜16年3月期の乗用車販売の増加を 6〜8%と予測している。道路、鉄道などインフラ整備への政府予算の増加で、購買者心理を刺激し、また最近発表された金利低下もプラスに働くと分析している。 オートバイ販売は6〜7%、スクーターは20%成長を予測している。(了)

地方農村の経済不調
トラクター、二輪車販売不振

トラクター、二輪車、小型車販売から見る地方農村の経済状況は不調のようだ。農産物価格の下落、低賃金、不順な降雨が購買力を鈍らせた。

二輪車販売は2015年2月、77万4,122台で、8.22%減。これは28か月間で最低であり、5か月連続で減少を記録した。トラクター販売も2014年4月〜15年1月期、48万8,227台で、前年度対比10%減。特に過去3か月の落ち込みは30%減と大きかった。これはカリフ収穫の不調と季節はずれの降雨によるものだった。

小型車販売も2014年4月〜15年2月期、49万2,556台と約8%減であった。 不調なモンスーン、農村における低賃金、農村振興基金の枯渇などを、いずれの経済評論家も不振の要因として挙げている。

インド地場最大の二輪メーカー、ヒーロ・モーターは、「この現象はインド全域の問題でなく、地域的なものだ。ビハール、メディア・プラデシュや砂糖キビ生産地のウッタル・プラデシュ、マハラシュトラ州では減少傾向であるが、西ベンガル、オリッサ、カルナータカ、ウッタルカンド州では2桁販売増を記録している。4月の結婚シーズンに市場は回復する」と述べている。

小型自動車販売網拡充

一方、マルチ・スズキ、現代自動車は地方農村の販売拠点を拡充している。 マルチはこの1年間で9万3,400村をカバーする販売網を12万5,000村に増やした。2014年4月〜2015年2月期、マルチは地方農村での販売を26%伸ばし、36万6,000台を記録した。マルチの地方農村の販売は全体の約34%を占める。「この落ち込みは一時的なもので、長期的に見た場合、地方農村の成長は確実だ。インフラ関連の職が増大し、農業依存度が下がる。現金収入の増加で物品、サービス関連のビジネスが拡大するだろう。」と楽観視している。

現代自動車も、2015年1月〜3月期、地方農村の販売店を283か所から320か所に37か所増やした。セールス・スタッフも一年前の400人から664人に増員した。この攻勢が効果を奏して、ネガティブな経済状況下にも拘わらず、2015年1月〜3月期、地方農村で2万4,600台販売し、18%の成長を示した。 現在、地方農村の販売全体に占める割合は21.3%である。

地方農村の賃金伸び率最低

労働省が最近発表した統計によると、地方農村の平均賃金は2014年11月の場合、266.26ルピーで年率3.8%の成長であったが、これは2005年7月以来、最低の成長率であると述べている。特に建設、製造業分野の不振による職の減少が顕著であるとしている。ほとんどの農産物の価格下落、政権交代による職の保証制度運用の非効率化も賃金低下に拍車をかけたようだ。インフラ関連の職が増大しない限り、賃金の伸びは期待できないようだ。(了)