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作成年月日:2014年9月

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インド情報2014年8月

印日は補完関係 印に日本ブーム期待感
モディ首相来日 3.5兆円投融資

モディ首相は首相就任後最初の主要国訪問に日本を選んだ。グジャラート州首相時代に企業誘致で複数回来日しており、日本企業の“ものづくり”の強さを実感しており、インドの経済発展の起爆薬として日本に賭ける勝負に出たようだ。人口12億人、日本の9倍の国土という未開拓の巨大市場、人口の約半数が25歳以下という若年人口大国、教育やインフラ整備に多額の投資が必要であったインドにとって外資導入は重大課題であった。相対する日本は少子高齢化、若年労働力縮小、市場縮小という問題を抱えており、蓄積した資本と技術の行き先を海外に求めざるを得ない状況であり、モディ首相はインドと日本は補完関係にあるとして、最初の訪問国に日本を選んだのは正解であったと言えよう。同じような動きは2006年12月に第1次安倍内閣とマンモハン・シン国民会議派政権の間で合意されたことがあったが、日本の政権交代、シン政権の実行力の弱さで思ったような成果が上がらなかった。

モディ首相は5日間の滞在中、精力的に各界の指導者と会い、講演会を持ったが、どこでも強調したのは日本とインドの共通点は民主主義国家であり、法治国家であることであった。中国を意識した安倍政権援護の発言であったと言えよう。モディ首相の日本国民・企業に対するメッセージは明確で、インドは民主主義、若年労働力、巨大市場、中東、アフリカへの輸出拠点であり、インドと日本が組めば両国に大きなメリットをもたらし、世界的に大きな影響力を持つことが出来るというものであった。

安倍首相は東京の公式会談の前に京都でモディ首相を迎え、異例の歓迎ぶりを示した。インドのメディアは、両首相は相性が良く、実行派で、またモディ・安倍両政権とも長期安定政権になるとして、今後のインド・日本関係はより緊密になり、拡大していくだろうと好意的な見方をしている。安倍首相が今後5年間で3.5兆円の投融資を約束したことは利に敏いインド人の想像力超えたものであり、驚きをもって迎えられている。日本人は一旦口にした約束を守ることは知られているので、これも好意的な見方の裏付けになっているであろう。

インドに日本ブームが起きることが期待できそうだ。

日本タスクフォースに2名の日本人
今太閤のモディ首相

講演会、歓迎会と追っかけをして、モディ首相を身近に見、肉声を聞いた某日本経営者の感想は、「インドにも迫力があり、実行力がある新しい形のリーダーが生まれた」というものであった。前任の高齢学者肌のシン首相と比較して、少年時代ランニングシャツに短パン姿で、紅茶をやかんから一杯一杯コップに注いで売っていて、今や人口12億人の頂点に立ったモディ首相とは迫力の点で大違いであることは明白だ。

想起するのは太閤秀吉。 モディ首相が講演会で強調したのは、インドは日本企業が必要としている3Dを持っているということだった。 3Dとは、Democracy(民主主義)、 Demography(人口)、Demand(市場)。 「日本企業は海外でインド以外に目を向ける必要はない。インドは日本企業が必要として3Dを持っている。特に中小企業、零細企業に来て欲しい。レッドテープでなく、レッドカーペット敷いて歓迎する。インドは“ルックイースト”政策を取るが、日本は“ルックインド”政策を取るようだ。インドは日本の労働文化を学びたい。日本無しにインドは不完全だし、インド無しに日本も不完全だ。 日本はハードウエア、インドはソフトウエアを出し合って奇跡を起こそう。インドに来て運を試してください」と日本企業にラブコールを送った。

モディ首相はレッドテープ(お役所仕事)解消の具体案を示した。それはインドの首相府(官邸)に“日本スペシャル・タスクフォース”を設置し、日本企業のインド進出をスムースに進めるための窓口一本化を図ることを発表した。特に注目したいのはタスクフォースの中に2名の日本人を入れると発表したことだ。政府の最高機関の中に外国人を入れることは大変珍しく、インドのメディアも驚きを持って受け止め、モディ首相の日本への入れ込みを好意的に報じている。しかし、共同声明にこの件が盛り込まれなかったことは、インド官僚の抵抗と伝えるメディアもある。

日本人が2名、首相 直轄のタスクフォースに入ることが実現すれば、日印関係に画期的な変化をもたらすだろう。 モディ首相は本気のようだ。大いに期待したい。

モディ政権100日の評価
78%が合格 357社調査

モディ政権が100日を迎えるに当たり、経済団体Assochamが357社を対象に行った調査によると、78%がモディ政権を責任性、実行力の面で、前政権とは際立って違った政権と高く評価している。83%のCEO、CFOは、インドは工業生産、サービス、輸出、貿易赤字縮小、財政赤字縮小の面で改善が期待出来、GDPも上昇するとしている。カプールAssocham理事長は「6%成長への軌道に乗ったようだ。インフレが収まり、金利も下がるだろう」と述べている。

しかし、大幅な規制緩和発表を期待した一部の産業では、実行型政権の地道な政策に失望している向きもあるようだ。74%のCEOは、モディ政権は5年間の安定政権になるとしている。「モディ政権のやり方は従来の政権とは違う。今後6か月〜9か月にその成果がはっきりと表れるだろう」と好意的な見方をしている産業界指導者は多いようだ。モディ政権の日本や中国、シンガポールなどアジアの経済大国へのアプローチも高く評価されている。  

モディ政権の船出は順調なようだ。

(了)