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インド

作成年月日:2014年3月

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インド情報2014年2月

インドの中古車市場好調
新車も物品税軽減で活力

インドの新車販売は過去3年間、低迷の経済状況を反映して増加傾向が見えないが、一方、中古車市場は好調で、年間22−25%の伸びを示している。販売台数から見た対比は、新車市場が270万台に対し、中古車市場は300万台超で、徐々に米国型の自動車市場に向かっているようだ。米国の中古車市場は4千400万台、新車市場の約3倍となっている。業界筋でも中古車市場の拡大は今後も続くものと見ている。

新車市場の1月乗用車販売台数は16万289台で、前年の17万3449台対比7.59%減であった。しかし、政府は2月17日に発表した2014年度暫定予算で、自動車に対する物品税を3〜4%下げたため、わずか10日間であるが、その効果が表れ、インド最大メーカーであるマルティ・スズキの2月販売台数は9万9758台で、前年対比1.8%増となった。ホンダは1万4543台で前年比、倍増を記録した。ホンダ・シティが貢献したとのこと。フォードは51%増の6799台。外国勢の健闘が目立つが、一方、現地メーカーの低迷は引き続き、マヒンドラは11%減の3万9338台、タタモーターは39%減の3万5315台であった。トヨタは20.82%減の1万100台、現代は3万4005台でフラットであった。

外国勢が健闘したのは、物品税の引き下げに加え、5日から1週間開かれた第12回インド自動車ショウの影響も大きいようだ。連日、入場者10万人以上の記録的な盛況で、人気を呼んだのはアウディ、BMW,ベンツ、マルティ・スズキ、ホンダの外国勢ブースであった。グーグルによれば、最もオンライン検索が多かった車種はSuzuki Ciazであったとのこと。

物品税の軽減は5月の総選挙を意識した政策で、6月に誕生する新政権は、財政赤字解消のため増税を打ち出すとの見方が強いが、増税前の駆け込み需要で、3月以降も新車販売が回復すると期待をかける向きは多い。

日印観光協力協定締結
観光新幹線の可能性は?

安倍首相のインド訪問に合わせ日印観光協力協定が締結された。協定には、@両国民の相手国訪問促進、A観光情報の交換、Bホテル/旅行社の交流、C人材開発プログラムの確立、D旅行社/メディアの相手国訪問、E観光インフラの開発/マーケッティング等のノウハウ交換、F旅行博/イベント相互参加などが盛り込まれている。日本人のインド訪問者数は22万人(2012年)で年間13〜15%のペースで増加しており、間もなく30万人に乗せようとしている。

一方、訪日インド人は7万人で年間10%伸びている。 しかし、両国民の相互訪問は増加傾向にあるが、日本とアジア諸国との人的交流に比較すると全く不十分であり、3〜5倍に伸びる余地はあることは間違いなく、今回、協定が締結されたことは歓迎すべきことだ。インドは23の文化遺産、6か所の自然遺産を持ち、仏教の発祥の地であり、踊りや音楽など長い歴史の中で培われてきた深い文化を持っている国で、観光的潜在力は抜群に大きい。日本観光客のインド訪問が増加すれば必然的に両国間の経済交流にも好影響を与え、日系進出企業が増え、ビジネス客も増えるというスパイダル効果が期待できる。

観光振興のポイントはアトラクション、アクセス、アコモデーションの3Aと言われる。インドでは観光資源と宿泊施設は十分にあるが、観光地に行く道路、鉄道、航空などのアクセスがネックとなっている。

まずは日本の援助による、外国観光客に最も人気のある観光地タージマハールまでの観光新幹線プロジェクトなど如何だろうか。

インド、政権交代か
5月の総選挙予想 野党優勢

来る5月の総(下院)選挙では野党BJP(インド人民党)の優勢が予想されている。現地テレビ、ABPニュースの世論調査によれば、BJPが率いるNDA連合が定数543議席の内、236を勝利するとしている。これは過半数にわずか36議席足りないにすぎない。この内のBJPは217議席で、現与党の会議派率いるNDA連合92議席(会議派73)、共産党29、その他地方政党186となっている。

BJPの躍進予想の原動力には、首相候補のナレンドラ・モディ・グジャラート州首相の実行力への期待が挙げられる。グジャラート州の経済再建を果たしたモディ氏に経済減速に悩むインドの国政レベルでの再建を期待する向きが多い。他のメディアによる世論調査でも、BJPの躍進によるNDA連合の政権交代を予想している。

勝敗のカギを握っているのは、初めて投票する18〜22歳の若年有権者の投票動向と指摘しているメディアが多い。その数は全国で2千320万人。

1選挙区あたり約9万人。来る総選挙の有権者総数は8億1千500万人、2009年に行われた総選挙では7億1千700人であったので、この5年間で13.6%増。2009年総選挙の全国226選挙区で行われた投票結果から推測すると、初めて投票する若者の9万票は勝敗を左右する力を持っていると言える。若者は一般的に現状に不満を持っており、反現政権感情、革新志向が強い。世論調査でも、ワイロ、物価上昇、失業の3点に若者たちの不満が集中している。

最近行われたデリー州議会選挙で、政治に全く素人のAAP(庶民党)が勝利し政権が交代したことは、会議派主導の政治にNOを突きつけたものであり、国政レベルでも同じことが起きることを予想する向きは多い。 選挙の事前運動はすでに始まっており、各党とも候補者選び、幹部の地方遊説など本格化している。

テレンガナ新州誕生、 デリー州は大統領統治

全ては来る5月の総選挙を見据えた動きであるが、州レベルで大きな政治的な動きが2件あった。 一件は国会でも、現地でも揉めに揉めた末、テレンガナ地方のアンドラプラデシュ州からの分離、新州創設が29番目の州として正式に決まったことだ。

6月10日がテランガナ州創設記念日と決まった。新州の州都は、現在のアンドラプラデシュ州の州都ハイデラバードを10年間、共同州都とすることになった。パンジャブ、ハリヤナ州の共同州都チャンディガルに倣ったものだ。

ハイデラバードはテランガナに位置する。新州の人口は3千500万人。

南インドのアンドラプラデシュ州は、大きく分けて内陸部のテランガナと海岸部のアンドラから構成されていたが、設立当初から政治的にアンドラが実権を握り、豊かなテランガナの富がアンドラに遣われているとして、不満が溜まっていて新州設立の動きが強くなっていた。この動きを会議派が勢力拡張に利用したと見られている。

もう一件は、デリー州で昨年末の選挙で15年続いた会議派政権を倒し、新政権をスタートさせたばかりのAAP(庶民党)政権が49日間で辞任し、大統領統治が導入されたことだ。アガルワル州首相は、州議会で政府提案の“汚職撲滅法案“が否決されたことを理由に再選挙を行うことを要求して辞任した。

ナジーブ・ジュン州知事は議会解散、再選挙の要求を退け、大統領統治の導入を決定した。大統領統治の有効期限は6か月間。この間、州知事が大統領の名代として、官僚を使って日常の行政業務を行う。 AAP政権は汚職撲滅を掲げたデリーの市民運動から派生して出来た政党であるが、来る5月の総選挙を視野に入れて、国政進出の野心を持っており、その布石として、州首相辞任の挙に出たと見る向きが多い。

 

(了)