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作成年月日:2014年2月

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インド情報2014年1月

外資の小売業参入、取り消し
デリー庶民党州政権

15年続いた会議派政権に代わって、昨年12月にデリー州政権の座に就いた庶民党(AAP)のケリジワル州首相は、前州政権が認めた小売業への51%の外資参入認可を取り消すと発表した。

理由として、「外資参入は消費者に選択肢の拡大を与えるが、一方で失業が増大することは自明の理だ。デリー州の大問題である失業対策を優先する」と述べた。この発表に対し、中央政府商工相は反発し、「前州政権の認可したことをこのような形で取り消すことは出来ない。認可された外資企業とは法的な契約を結んでおり公告している」と述べた。

有力経済団体からも批判の声が強く出ており、今後5〜6年で500億米ドルが見込まれていた外資流入に水を差すものとして不快感を表明している。

現在12州が小売業への外資参加を認めているが、取り消しはデリー州が初めて。本件は最終的には最高裁の判断にまで行くと思われる。庶民党州政権は会議派の暗黙の支持で誕生したものだが、デリーの治安問題でも会議派中央政府との軋轢が大きくなっている。

AAPは元来、市民運動から派生して出来た政党であり、マハトマ・ガンディーに倣った“ハンスト”を武器にしている。

有識者の中から過半数を制していない現政権の安定性、永続性に疑問符を投げる声も出始めている。

2005年以前発行の紙幣を交換せよ
2014年7月1日までに:印準備銀

印準備銀行(RBI)は2005年以前に発行された全紙幣(10,20、50、100、500、1,000ルピー札)を2014年3月31日以降市場から引き上げると発表した。

この目的は贋札防止機能の強化としているが、箪笥に眠っている裏金の吐出しや海外に逃げているブラック・マネーの還流という一石二鳥を狙ったものと見られている。国際調査監視機関のGFIによると、2011年度、課税を逃れてインドから海外に流出したブラック・マネーはインド国家予算の約3分の1に相当する849億ドルになる。

また、この時期にこのような発表を中央銀行が行うのは貿易収支改善策としてのルピー安誘導を狙ったものでないかとの見方もある。 2005年前に発行された紙幣は369億3,400枚、総額36兆1,229億ルピー。1,000ルピー札が全体の36.9%で42億9,900枚、総額4兆2,990億ルピー。500ルピー札が46%で、1,071億9千万枚、総額5兆3,590億ルピー。  

2005年以前に発行された紙幣を持っている人は、銀行に持参すれば無条件で新紙幣に交換できる。デッドラインは2014年7月1日。 7月1日以降も旧紙幣は廃貨になることは無いが、新紙幣への交換は口座を持っている銀行でしか行えず、身分証明書の提示などが要求される。 発行年は紙幣の裏面中央下部に小さく印刷されている。

成熟期に入ったインドIT産業

1,800億ドル規模に成長したインドのIT産業も40年が経ち、成熟期に入って成長が鈍化して来た。300万人のIT従事者も年を取ってきており、勤務ぶりも、以前のように残業・週末出勤も厭わないものから、定時に帰宅し家庭団欒を楽しむように変わってきている。初任給の上昇もあり、若年層雇用のコストメリットも無くなってきている。このような雇用環境の変化にインドIT各社は対応の切り替えを迫られている。

バンガロールに本拠を置く業界2番手のインフォシスの場合、高等教育を受けた若者を安いコストで雇用し、IBMを始めとする世界の大企業を顧客にすることに成功し成長してきた。しかし、このパターンも変化してきており、2009年3月時点で30才以上の従業員は9万1千人の内15%であったものが、4年後の2013年3月時点では15万7千人の内、30才以上は25%強となっている。

ITソフトの需要もより高度のものになってきており、各社は経験のある現従業員の教育、トレーニングに力を入れており、未経験の学卒雇用を手控えてきている。従業員構成は従来の若年層が底辺に厚いピラミッド型から中年層が多い中太り型になってきている。

インドIT産業の収入規模も2008年以前の年間30%成長から、最大の市場である米国と欧州の経済減速の影響を受け10%台半ばにまで落ちてきている。今後はかってのような大幅成長は望めないだろう。

インフォシスはこのような環境変化に対応するため、60才役員定年で引退した創業者のナラヤナ・ムルティの会長復帰を決めた。ムルティは現在67才。ムルティ会長は「顧客に対しより高い付加価値を提供しなければならない。顧客はそれに見合うコストを払ってくれるだろう」と述べている。

安倍首相、インド訪問 共和国記念日式典、主賓に

安倍首相は26日、憲法発効を祝う「共和国記念日」式典に主賓として招かれ、大統領官邸とインド門間を行進する記念パレードに出席した。

例年、記念日には近隣諸国の首脳が招かれるが、日本からは安倍首相が初めて。招かれる首脳の顔ぶれでインドが現時点で、どの国との関係強化に重点を置いているか分るとされ、重要な政治的意味合いを持っている。

日印両国は対中国の軍事的脅威について共通の認識を持っている。特にインドは中国と国境を接し、過去に戦争を経験し、現在でも軍事的な小競り合いが時々起きている。

式典前日に安倍・シン両国首相会談が行われた。会談後の両国首相の談話から、日印両国の関係強化、首脳間の信頼醸成が図れたことが窺われる。 安全保障、経済協力の面で両国の接近は歓迎され、いよいよ本格的に日印関係が具体的に動き出すことが期待される。

インドの総選挙は今年5月ごろ行われる。最大野党インド人民党(BJP)の躍進を予想する向きが多く、同党首相候補のナレンドラ・モディ現グジュラート州首相の中央政権首相就任も考えられる。世界最大の民主主義を標榜するインドでは、例え政権交代があってもスムースに行われる。

81才のシン首相の引退は確実であり、モディ氏が首相の座に就いても日印関係は変わることは無いようだ。モディ氏の親日は良く知られている事実だ。  

(了)