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インド

作成年月日:2013年12月

海外情報プラス

5州議会選挙、BJPが勝利か
来春の下院選挙で政権交代か

チャティスガル、マディアプラデシュ、ミゾラム、ラジャスタン、デリー、5州の州議会選挙が順次行われ12月4日のデリー州の投票で終えた。 5州とも12月7日に一斉に開票される。5州の中でも州都の在るデリー州の結果が6か月後に予定されている国政の下院選挙の結果に大きく影響するものとして注目されている。

各マスコミの出口調査によれば、ヒンドゥ至上主義を唱えるRSSを支持母体に持つBJP党の優勢が示されている。このことは6か月後の下院選挙で現中央政権与党のコングレス党の退潮が予想され、インド政権の交代もあり得ると見る評論家も出てきている。しかし、ヒンドウ教をバックに持つBJP党が州政レベルではともかく、国政レベルになると、他の世俗政党(非ヒンドゥ)の支持が得られず、簡単に中央政権を組織し、ナレンドラ・モディ現グジャラート州首相がインド総理大臣に就任することは難しいと見る向きが有力だ。コングレス党は下院選挙で大敗しない限り、地域政党と連立を組んで政権にとどまると見るのが妥当かもしれない。

しかし、物価上昇、インフレ、経済減速、汚職の蔓延、シン総理の後継者ラフル・ガンディーの経験不足などで、有権者のコングレス党の政治に対する欲求不満が表面化してきていることも無視できない。政治の一新を望んでいる有権者も多く、コングレス党の大敗、ナレンドラ・モディを首相候補に掲げるBJP政権の誕生も可能性として無視できないものがある。

追記:開票結果(12月8日):

 デリー州      :BJP 32、コングレス 8、AAP 28、その他 2
   ラジャスタン州   :BJP 165、コングレス 58、その他 6
   チャティスガル州  :BJP 49、コングレス 39、その他 2
   マディアプラデシュ州:BJP 162、コングレス 21、その他 16

インド選挙のジンクス
高い投票率は現政権に不利

インドの選挙では、「高い投票率は現政権に不利」と言われる。また、「玉ねぎの値上がりの度合いで現政権の運命が決まる」とも言われている。高い投票率に関しては、「インドの有権者は自身の生活現状に不満であると、その矛先を政治に向け、政権が変われば何か具体的に生活も変わるのではないかの期待感で投票所に足を運ぶ」と評論家は解説する。確かに現状の生活に満足しておれば、投票所に足を運ぶという面倒なことをする必要が無いかもしれない。いずれにせよ、高い投票率は有権者の政治に対する関心の表われであり、民主主義政治として好ましいものである、とする意見の方が多いが、現実には高い投票率は現政権の政治に不満を持っている有権者の票であると見ることが出来よう。

今回の州議会選挙で、デリー州の場合、1200万人の有権者の内66%が投票所に足を運んだ。午後5時の締め切り時間になっても17万人の有権者が投票所の外で列を作って順番を待つという過熱(?)事態であった。オクラ選挙区の投票所では午後9時半まで締め切り時間を延長したほどであった。今までの選挙で最も高い投票率は1993年の61.75%であったので、今回の投票率の高さが分るだろう。

不思議に選挙が近づくと玉ねぎの小売価格が暴騰する。玉ねぎはインド人にとって一日3食のカレーを作るのに絶対に欠かせない食材である。通常なら1キロ10〜15ルピーの玉ねぎが選挙前には30〜40ルピーに暴騰する。高くなればなるほど、一般庶民の物価をコントロールできない現政権に対する怒りが強くなるは当然のことだ。怒りが強ければ強いほど、現政権に不利になるということだ。どういうメカニズムで選挙になると玉ねぎが暴騰するのか我々には分らないが。今回の州議会選挙でも、「玉ねぎの暴騰」現象があった。 2つのジンクスに直面した、14年続いたシーラ・デキシット政権の続投は果たしてあるのだろうか。

インターネット・ユーザー2億人(2013年10月)

インド人のインターネット・ユーザーが2,013年10月、2億人を超えた。1年前の2012年10月の1億2千万人に比較して40%の増加である。 価格的に購入が容易になったスマートフォーンの導入、携帯電話のインターネット価格の低下が増加に拍車をかけた。

インド経済の行方
来春の総選挙を待たねばならないか

今年7〜9月期のインド経済に関する2つの重要な経済指数が発表された。

実質国内総生産(GDP)と国際収支統計であった。経済現況を示すGDPの伸び率は前年同期並みの4.8%に留まった。4〜6月期の4.4%を上回ったが、政府目標の5%台には届かなかった。2012年度のGDP伸び率は過去10年で最低の5%であり、引き続き4四半期連続で5%を割り込んでおり、経済減速が恒常化してきていること示している、と指摘する向きが多い。政府は今年度の成長率は5〜5.5%、2年以内には8%成長に戻る、と強気の態度を変えていないが、果たして目的達成は可能であろうか。政府が期待しているのは農業分野の好調さだ。7〜9月期の伸びは4.6%と高かった。インドでは人口の70%が農業に関係しているとされる農業国であり、今年のモンスーン(6〜9月)の降雨量は昨年よりも14%も多かったので、豊作が期待出来、5%台成長軌道に乗せることが出来るとしている。

一方、今年7〜9月期の国際収支の経常赤字は52億米ドルと、前四半期の4分の一になった。GDP対比でも1.2%に大幅減少した。国際収支の改善に大きく貢献したのは金の輸入の減少である。インド人は金を好む国民であり、インフレ・ヘッジの利点もあり、輸入量も2003年の50億米ドルから2012年には500億米ドルと10倍に増えてきていた。国際収支の悪化で外国人投資家のインド離れの傾向を憂慮した政府は、手っ取り早く効果が出る輸入制限とルピー安による輸出増大を図る政策を打ち出した。金輸入の場合、20%は再輸出に回すことと、輸入税の倍増であった。この政策は成功したと言える。しかし、輸入制限は他の輸入物にまで拡大され、身近なところでは日本食品の輸入まで影響を受けており、日本人社会では日本食材確保に頭を悩ましている。

来春の下院選挙を控え、劣勢が予想されている現政権が一般庶民に不人気な金輸入抑制政策を何時まで続けられるであろうか。シン政権に対する失望感は一般国民にまで広がっており、最近行われた5州の州議会選挙の出口調査を見る限りは、政権が交代しない限り景気は良くならないとの見方が強くなってきている。

(了)