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作成年月日:2011年6月

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高インフレが課題 成長率を下方修正へ 政府首脳の見解

インフレ率、9月までに8%未満へ 政府首席統計官
 印政府のアナント主席統計官は5月20日、モンスーン(雨期)の降雨量が平年並みならば、総合卸売物価指数(WPI)で測ったインフレ率は2011年8〜9月には前年同月比8%未満へ低下するとの見方を示した。農産物の収穫が順調と期待でき、食料品の価格上昇に歯止めがかかると見込まれるため。 同統計官はニューデリーで記者団に対し、「平年並みのモンスーンを迎えれば、総合インフレ率は8〜9月までに前年同月比で8%を割り込むだろう」と語った。ただし、国際的な原油相場の高騰が続けば、インフレ率の上振れ要因になると警告。また、国内で消費する石油の約7割を輸入に依存するインドでは、原油高は海外へ流出する所得の増加をもたらし、景気を押し下げるところから、11-12年度(11年4月〜12年3月)の実質国内総生産(GDP)成長率は政府が同年度の予算発表時(11年2月)に想定した前年比9%前後を下回り、同8.5%に着地するとの予測を示した。

高インフレ、最大の懸念要因  財務相
 ムカルジー財務相は5月21日、インフレ率の高止まりが短期的には最大の懸念要因だと語った。総合卸売物価指数(WPI)の上昇率は2011年4月まで16カ月連続で前年同月比8%を上回っており、国民生活を圧迫しているため。
同相はムンバイで開かれたインド銀行協会(IBA)の年次総会で講演し、「短期的な最大の課題は高 インフレの継続だ。インフレ傾向は国際的な一次産品価格の高騰と、一部商品における国内の構造的需給不均衡から生じている」と指摘。その上で、「政府と準備銀行(中央銀行、RBI)は財政と金融の両政策を動員し、インフレ率を許容可能な水準まで引き下げる努力を続けてきた」と強調した。ただし、インフレ圧力はすぐには解消しないと予想。「一部の食料品で、供給不足に基づく値上がり圧力が持続している。輸入依存度の高い品目については、国際市場の価格上昇が印国内のインフレにも影響するのは自然な現象だ」と述べ、物価高に対して、警戒を続ける姿勢を示した。

インフレ抑制への協力、州政府に要請 準備銀総裁
  インド準備銀行(中央銀行、RBI)のスバラオ総裁は5月2 4日、ムンバイの同行本店で開かれた州財務次官会議で演説し、インフレの抑制に対する協力を各州の政府に求めた。供給制約への対応では州政府の役割が重要と見ているため。
総裁は、「各州は公的配給制度(PDS)の運営改善や農業・同関連産業における生産性の向上、農産物マーケティング委員会(APMC)法の改正、貯蔵施設などインフラの整備で貢献できる」と語った。 また、州財政の課題にも言及。「計画作成面の改革と積極的な資金管理、財政責任法(FRL)の厳守を通じて歳出入の効率を引き上げなければならない。各州政府は税制改正で収入増を図るのみならず、支出のチェック強化にも力を入れるべきだ」と述べた。

食料インフレ率、8.55%に再上昇 5月14日時点
 商工省経済諮問室(OEA)が5月26日付で発表した「卸売物価指数(WPI)」統計によると、食料類のWPIは2011年5月14日で終わる週には前年比で8.55%上昇した。上昇率(食料インフレ率)は1年前(10年5月15日終了週)の同21.55%から大幅に低下。
しかし、1週間前(11年5月7日終了週)の同7.47%を1.08%ポイント上回り、4週間ぶりに前週よりアップした。最大の要因は果物価格の高騰(前年比32.37%上昇)だ。これを受け、食料類を含む一次産品のWPI上昇率も前年比11.60%と、1週間前の同10.94%を上回った(1年前は同20.31%)。一方、燃料・エネルギー類のWPI上昇率は11年5月14日終了週には同12.11%となり、1年前の同14.24%からダウン。ただし、1週間前とは同水準だった。
今後については、食料インフレ率は短期的な上下動はあるものの、モンスーン(雨期)の降雨量が平年並みならば、下降トレンドが継続する見込み。他方、14日に実施されたガソリン価格の引き上げがWPI統計に反映されてくる上、政府はディーゼル油や灯油(ケロシン)、液化石油ガス(LPG)の値上げにも踏み切る方針であるところから、燃料・エネルギー類のインフレ率は再び上昇に向かう見通しだ。

9%から下方修正へ 財務省主席経済顧問
 財務省のバス主席経済顧問は5月27日、2011-12年度(11年4月〜12年3月)の実質国内総生産(GDP)成長率について、予測値を現在の前年比9%から下方修正する可能性に言及した。国際的な原油価格の高騰で国内の物価上昇圧力も高まっているため。
インフレの高進がインド準備銀行(中央銀行、RBI)による追加利上げを招き、金利の上昇で需要が下押しされると見ているからだ。
同顧問はニューデリーで記者会見し、「インフレ率の上振れリスクは高まっており、二ケタ台へ乗るかもしれない」と指摘。その上で、「成長率の見通しを6月半ばまでに引き下げ方向で再検討する。ただし、変更は小幅にとどまるだろう」と語った。