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インド

作成年月日:2009年11月12日

職業能力基準、職業能力評価制度

4.1 職業能力基準

4.1.1 制度概要

  1. 国家技能開発制度の品質保証に関わる政策及び制度構想
    1. 第11次5カ年計画(2007〜12年)文書
       現在の国家技能開発制度に関する品質を取り扱う技能開発任務が述べられている。これは職業能力基準及びその評価制度に関する下記の目的を定めている。
      • 政府各省及び民間産業団体により設立された、すべての資格認定機関に対する信頼できる資格認定制度及び指針に関する枠組みの確立
      • 雇用主と求職者間の情報交換を目的とした国内ウェブサイト上に、「全国技能一覧」及び「全国技能不足地域図」の創設
      • 複数のキャリア転換点において、さまざまな職業教育訓練、技術、教育間での水平的移動を可能とする「国家資格枠組み」の確立
      • 規制が活動の中心となっている各々の分野において認定機関が規制中心となっているが、これを成果測定及び格付け・ランク付けへ転換
      • 基準とカリキュラムの設定を目的として、各分野の縦割りに一定の基準設定及び品質管理を実施する機関の設立

       インド政府計画委員会による当文書では、以下のような職業訓練制度の品質に関する包括的な見解を述べている。
      • インフラ設備、器具、道具、指導員及びカリキュラムの水準が基準以下と報告されており、訓練制度の品質が懸案事項となっている。
      • 報告によると、試験、資格証明及び資格認定制度における脆弱である。
      • 成果に関わる提出書類の明確な定義が存在しないため、成果に関する評価及び人材紹介後のフォローがされていない。
      • 非公式部門の多数の労働者は、学校教育を経ずに家族の伝統や長年にわたる経験及び自己努力等により技能を獲得しているが、彼らの技能に対する資格証明制度が実質的に存在していない。
      • 訓練機関に対する十分な適格性検査の仕組みが存在しない。

    2. 国家技能開発政策(National Policy on Skill Development)
       技能開発に関する国家政策は技能開発の品質に重点を置いている。技能開発には、知識経済社会の要求に伴い、計画に関する訓練機関の能力増強、品質保証とすべての関係者の関与及び品質保証を開発する調査・研究のための制度、試験、証明、協力関係と認証など多くの課題がある。

      1. 実行戦略
         政策文章の一部である実行可能な戦略の1つとして下記を述べている。 「能力認定枠組みは学位、等級と等しい制度に移らなければならない。国家職業資格枠組み(National Vocational Qualification Framework:NVQF)は個人が各々の知識や技能を積み増し、これらを試験や認証を通じて学位、等級に変更できるようなオープンかつ柔軟性に富んだ制度に作り上げられる」

      2. 基本方針
         技能開発の品位に関し政策上の3つの核となる基本政策がある。
        • 労働市場では技能は刻々変化しており、応募者が職場に入れるよう短期かつ有効なコースを中心に置き、応募者はダイナミズムを維持するためNVQFを通じて強化される。
        • 訓練機関に関する測定可能な能力基準と、情報普及のための資格認定及びインフラに関する枠組みを設置すべきである。
        • 高品質の学習、信頼できる認証、資格証明が開発され、雇用主が応募者の資格を知る最適な方法としてこの資格証明の使用を可能とする。

      3. 目的
         この政策の重要な目的は、現在及び拡大する雇用市場が必要とする高い品質を持つ労働力を創出・開発することである。さらに関係者の広範囲な要求に応える、柔軟な資格認定の仕組みを確立することもその他の目標である。

      4. 関係者の役割
         国家技能開発イニシアチブの政府の関与に関し、政策では現在国家職業訓練審議会(National Council for Vocational Training:NCVT)の現在の役割を再定義することを想定している。技能開発の品質に関するNCVTの主たる機能は、国家職業資格枠組み(NVQF)をデザインし、開発、維持することで、これは実務能力、コースの構造、積み上げ、証明、協力関係の枠組み、機関の認証及び適切な品位管理のための枠組みを設定することを含むものである。この政策には資格枠組みと品質保証メカニズムの設定を含む政府の役割も想定している。また、政策には実務能力の見極め、基準の設定、試験の受験、資格証明、資格認定への参加を含む雇用主の役割も想定している。また、能力基準の開発、研修コースのデザイン、受験、証明書取得に対し労働組合が支援する役割も想定している。 市民社会組織による同様な役割も期待されている。

      5. 職業能力基準とその評価制度
         政策の書類では技能開発の品質こそがグローバル競争に打ち勝つ鍵であると繰り返し強調している。グローバル経済において競争する企業にとり職業訓練の品質が世界標準に達し、国内及び国際市場に必要とされる同等の価値を持つことが必要で、品質保証は下記の機能をベースとしている。
        • 資格に関し、それが市場のニーズと企業内での要求を反映し、また明確な評価基準により、能力基準の形で表される検証機能
        • カリキュラム及び基準の中で述べられている適切なツール、技術、方法、教材を使用する訓練課程の承認
        • 評価は国内能力基準を基に、有効かつ信頼できる評価方法を使用することを明確にする品質保証評価であること
        • 訓練は能力のある、有資格指導者により実施されることを保証する訓練提供者及び訓練機関の認定
        • 組織化、あるいは非組織部門全般にわたる十分に調査された労働市場情報に基づく方向に技能労働者を供給する調査情報

      6. インフラ及び指導者の品質
         政策書によれば、技能開発において強化する品質とは、インフラの改善、指導者の品質の改善、国家職業資格枠組みの改善を通じて実現できると述べている。
        1. インフラの品質
          • 学習、及び学習の動機付けは情報通信技術(IT&C)の広範囲な活用により促進される。
          • 既存の物理インフラを効率的に使用する。
          • 技能開発活動を支援するため、産業界からの余剰インフラの提供を奨励する。
          • 物理インフラを特定の産業部門で必要とされる技能の改善のために設立し、またその拡大を図る。
        2. 指導者の品質
          • 実務経験のある元訓練生、熟練工として訓練を受けた専門技能者などを、訓練指導者として新たに採用する。
          • 職場で実践的な技能を習得する一方で、訓練生が必要とする理論的な学習を訓練機関で行う、革新的な技能開発制度を考案する。
          • 指導者としての必要条件を満たすよう、防衛部門出身の退職者を再教育する。
          • 報酬、キャリアの積み上げを含むインセンティブ等を見直し、指導者の地位の改善を制度化する。
          • プログラムに関する職業指導者に対し限られた期間「認定訓練指導者」と地位を与える制度により「国家職業資格」を発展させる。
          • 特に訓練指導者の男女バランスの改善に取り組む。

      7. 国家職業資格枠組み(NVQF)
         技能開発における改革を支援、促進するため、また、国際的な資格と比較可能な全国基準の資格にするため、国家職業資格枠組み(National Vocational Qualification Framework:NVQF)を設立する。各省の傘下にある技能開発に関与する既存のすべての機関、機構、委員会に対して、このNVQFへの準拠を促進する。この枠組みには下記の特徴がある。
        • 国内で合意した標準及び基準を基礎とした能力に基づく資格及び証明
        • 学習到達度及び資格に対する認証
        • 責任、活動の複雑性及び能力の実用性に関する基準を基にした国家資格水準の範囲
        • 資格の重複を回避し、同時にすべての訓練ニーズの網羅を確保
        • モジュール方式を採用、到達度の単位は小さくし、累積して認定資格につながるような仕組み
        • 技能の移動性及び労働市場での実用性向上のための、品質保証体制
        • 技能認定制度の改善による生涯学習、及び正規・非正規・非公式を問わず事前学習の認定
        • 知識、技能の蓄積を試験し、認証することを通じて、有能な者にはさらに高度な修業証書及び学位取得が認められる柔軟性のある開かれたシステム
        • 一般教育及び職業教育の異なる学習経路の統合:特に職場での学習といった公式・非公式での学習を統合し、職業教育から一般教育への垂直的移動の促進
        • 訓練及びキャリアプランに関する個人へのガイダンス
        • 適切なレベルでの一般教育と職業資格の比較基準の提供
        • 全国的に合意された提携枠組みと認定機関
        • NVQF内に複数の認証機関を設立

      8. 労働市場情報制度とHR計画のメカニズム
         技能開発における適合性と技能のミスマッチを改善するためには、労働市場情報の設立が必要であり、また、経済の傾向や労働市場の需要について、信頼のおける現実的な評価にするために人的資源計画(Human Resource Planning:HRP)の改善が必要である。分野別特有の人的資源計画(HRP)は国家レベル及び州レベルで設立され、労働市場の分析を行う国家技能開発公社(National Skill Development Corporation)傘下の、産業別技能委員会(Sector Skill Council:SSC)の支援により地域レベルで特定の情報制度が構築される。人的資源計画はさまざまな技能レベル、各経済分野、地域、訓練期間によって技能労働者の需給予想に取り組む。労働市場情報制度及び人的資源計画により得られた情報は、政府や雇用主、訓練提供者、受講者が自ら適切な決定を行うための参考となるよう整理され、配布される。NCVTはSSC及び州政府からの情報に基づき国家レベルで情報を関係者に配布する責任を負う。雇用交換制度が求職者に対しカウンセリング、指導、職業紹介を提供するため、国家雇用サービスの下で強化される。関係者は就職を求める応募者を就業、徒弟、職業訓練などに振り分ける。

    3. 国家雇用政策草案
       国家雇用政策の草案では基準及び評価制度について下記のように述べている。
      • 技能訓練を終了した応募者に関する独立した証明書発行制度と訓練提供者に対する適切な基準を制定する。
      • 大学許可委員会(University Grant Commission)により採用された線に沿った認定制度の導入する。
      • 種々のイニシアチブには産業界を含めることが不可欠であり、現存の成功モデルを参考に、類似の制度を適切に採用する。

  2. 職業訓練機関の認定
    1. 産業訓練研修所(ITI)/産業訓練センター(ITC)の認定
       インド労働雇用省雇用訓練局(Directorate General of Employment and Training Ministry of Labour and Employment:DGET)の第三者諮問機関である国家職業訓練審議会(NCVT)は、訓練機関の産業別試験及び証明を規制するが、産業訓練研修所(Industrial Training Institutions:ITI)、産業訓練センター(Industrial Training Centres:ITC)がNCVTに加盟するための認定手続きは下記のとおりである。
      • 職工訓練制度の担当局長は、職工訓練制度を基に、訓練開始許可を求める民間企業から受理した申請書を受領し、精査し、適正さ、財務状況の判断を下した後に予備許可を与え、開始に必要な準備を進めるよう要請する。なお、政府機関は申請書提出が免除されるが、そのほかの手続きはすべて行う必要がある。
      • 申請機関の経営者は、規定の基準に基づき、申請した訓練分野に必要な施設等、規定に従ってすべての必要となる準備を行う。
      • 担当局長が準備を適切と認めた場合、常設委員会を設立して審査を行う。常設委員会には、州職業訓練審議会(State Council Vocational Training:SCVT)から2人、国家職業訓練審議会(NCVT)から1人が任命され、さらに1〜2人の専門家が加わる。なお、州の職工訓練担当局長もメンバーの1人である。
      • 常設委員会の立入検査が訓練生の入学許可前に実施されるため、検査時には規定上必要となる訓練指導員等がまだ配置されていない可能性がある。この点については常設委員会が手配状況等審査を行い、訓練開始時には同機関の職員等が基準どおりにすべて配置されていることを確認する。検査実施後、委員会は当該機関の職種に関する加盟承認の推薦を行う。なお、付帯条件がある場合はそれを明示する。
      • 州の担当局長は、検査報告書をNCVT次官に送付する。一方、同局長は、訓練機関に対して該当する職業訓練への訓練生の受入れを許可する。なおここでは、恒久認可が下りない場合は最終職業検定及び認証が当該訓練機関ではなく、SCVT経由となることが明確にされる。
      • 常設委員会の検査報告書は、DGETで審査される。また、訓練開始後に訓練機関職員、訓練生、訓練基準等について同機関から局長に報告され、その後、DGETに提出される。この段階で、恒久的認定機関としての基準に合えば、DGETが恒久的職業訓練校として推薦を行い、NCVT内の認定に関わる作業部会の許可を得た後、最終決定書がNCVT次官により発行される。
      • 職種訓練の追加を行う場合、追加するすべての訓練に関し、その都度、別途上記と同様の手続きが必要となる。
      • NCVTにより指示された訓練基準が守られているかの確認のため、定期的な立入検査が州政府の幹部、常設委員会あるいはDGETにより行われ、規定の基準が守られていない場合は資格が取り消される。

    2. 国立オープンスクール協会(National Institute of Open Schooling:NIOS)による訓練機関の認定
       政府、政府系企業、登録協会、慈善信託機関のみが認定を目的とする申請が可能である。NIOSは民間事業者の申請は奨励していない。認定の申請を行う訓練機関、学校等は、職業訓練ごとに最低10人の訓練受講生のために十分な施設の面積と共に必要な、工具、機器、実験室、実習室、認定された訓練教師、指導員の用意が確保されなくてはならない。各コースで必要となる標準工具及び機器は、NIOSウェブサイトに掲載されている。認定を申請中の職業訓練への入学許可は、認定取得後に開始が可能となる。認定はNIOSが承認したコースのみが対象となる。
       認定を受けた機関は、認定職業訓練機関(Accredited Vocational Institutions:AVI)に指定され、また「学習センター」とも呼称される。当初の認定の有効期限は2年である。AVIの機能は、NIOSの学校案内の販売、入学願書の受付、NIOS提供の指導教材の配布、NIOSが規定している理論・実地訓練課程の実施、受講生の内部評価実施及び外部試験の実施等である。
       AVIはNIOSからの通達に沿って、衛生、空調、水道等の環境条件を満たし、また学生が必要とする施設の要件を満たすことが要求される。NIOSは、基準に沿った必要な施設の提供が実施されていない場合、学生への過剰請求、不適切な資金記録の管理、NIOSが発行する教材の保管、施設の老朽化、不十分な試験監督、3年間にわたる入学受講生不足等の点において問題がある場合、認定を取り消す権利がある。
       オンラインによる認定制度も準備されており、詳細は下記のウェブサイトより閲覧可能である。

  3. 特定の職業訓練プログラムの認定
    【コンピュータコースに関する電子工学認定局(Department of Electronics Accreditation for Computer Courses:DOEACC)制度による認定】
     DOEACC制度による認定とは、詳細な基準に合致する非公式部門におけるコンピュータ訓練校が実施する、特定水準の研修コースに対して認定を与える制度である。DOEACC認定コースの実施を希望する教育機関は、下記の規定に従う必要がある。
    • 訓練実施機関及び組織は、会社登記局、社会協会登記局等、実施する組織に該当する法律に基づく登記がなされている必要がある。また、最低で2年間、同様のコースの実施経験があり、財務の安定性と訓練目的に対する誠実性を証明しなければならない。
    • 訓練施設は自己所有の施設が望ましい。施設を借りる場合は、認定コースのレベルに合致する長期リース契約の必要がある。施設の最低床面積は90平方メートルで、収容人数25人以上の教室、収容人数15人の実習教室、図書館及び受付施設を備えなければならない。
    • DOEACCの該当コースの基準に従い、近代的なハードウエアを有し、訓練課程の半分以上の期間は実習が保証される必要がある。コンピュータの最低数は生徒数により異なるが、最低8台のコンピュータを備えなければならず、2人以上が1台の端末あるいはコンピュータを共用することはできない。また、すべてのソフトはライセンス契約が結ばれる必要がある(DOEACCコースの実施に適合するソフトは、学習要領に規定されている)。また実施機関は、OHP及びAV等近代的設備を設置する必要がある。
    • 訓練指導員は、実施機関に最低6カ月以上在籍する3人以上の正規職員から構成される必要がある。また正規職員とパート職員の比率は、4対1以上であり、訓練指導員と学生の比率は、1対25以上でなければならない。指導員は必要資格の保有及び最低2年以上の経験が必要で、指導員の氏名、資格、経験等は認定申請の際に提出が義務付けられている。
    • 訓練機関は図書館を備え、十分な書籍及び定期刊行物及びDOEACCの教科要領に記載されている書籍を保有する必要がある。また、DOEACCの教科要項及びその他DOEACCによる刊行物も保管しなければならない。
    • 最低50%の入学生は、功績を基に選別される必要があり、入学許可、学生登録、適正試験に関わる記録は、透明性確保のために保存しなければならない。

     DOEACCコース実施の認定を受けた訓練機関は、DOEACC協会の定める倫理規定に厳格に準拠することが求められる。なお、DOEACCの認定に関しては以下の点に留意する必要がある。
    • DOEACCによる認定はコンピュータコースに対して行われ、訓練機関自体を対象に行われるものではない。
    • 特定の地域のコースのみに適用される。
    • 訓練機関への認定は、その他の支所、センター、本部、フランチャイズ、ライセンス供与先に自動的に適用されるものでなく、各センターがレベルに合った認定を受ける必要がある。
    • 既存の認定機関でも、特定の基準等に適合しない場合、資格が取り消される可能性がある。
    • 訓練機関の機能への苦情の調査がある場合あるいは年次報告に問題がある場合に訓練機関の調査のために専門家が派遣され、調査結果が報告される。
    • 各訓練機関の実績は、同機関が提出する年次報告書、専門家による報告書、DOEACCによる試験での受験者の成績等を通して評価が行われる。

  4. 高等技能教育機関(Higher & Technical Education Institution)に対する認定
     高等技能教育機関に関する認定の手続きは、国家認定委員会(National Board of Accreditation:NBA)が実施している。NBAの主たる目的は教育機関が最高評価の「Excellence」達成に向かい持続的に進めることを教育機関に促すことである。NBAの評価制度は8点の広範囲な基準に基づく。各々の基準は教育機関の活動やプログラムの有効性に関する基本内容を認証している。このプログラムの認証を求める教育機関は各々の基準を満たすことを求められる。認定された有効期限内にこれらの基準に合致させることが求められ、プログラムの強みや欠点を定期的に見直し、継続的に改善を進めることが求められる。基準は下記のとおりである。
    • 教育機関と教育機関におけるガバナンス
    • 資金源と分配及び利用
    • インフラ施設
    • 人材(指導者とスタッフ)
    • 受講者
    • 指導、受講制度
    • 補助制度
    • 研究・開発及び相互交流
     高等教育及び大学に対する認定は、国家認定評価審議会(National Accreditation and Assessment Council:NAAC)により行われ、NAACは3段階の認定手続きを設定している。第1段階は、まず認定の計画段階において申請機関は品質評価に関し、機関の適格性(Institutional Eligibility for Quality Assessment:IEQA)を取得しなければならない。
     これにより教育機関が達成に必要とされる品質レベルを満たす特定の改善策についてNAACから情報を入手する。第2段階は教育機関による自己調査書を準備しNAACに提出し、NAACが内部分析を行う。第3段階では自己調査書の承認のためにNAACのチームが教育機関を訪問し、教育機関に対し包括的な評価レポートを提示する。最終結果はこのチームが作成した評価レポートを基に等級化、証明、認定が行われる。NAACは評価手続きの基準として下記7項目を挙げている。
    • カリキュラム内容
    • 指導、受講及び評価
    • 研究・相談と延長
    • インフラと学習教材
    • 学生の支援
    • 教育機関の運営管理とリーダーシップ
    • 改革活動

4.1.2 整備状況

  1. 国家職業分類(National Classification of Occupations:NCO)
     国家職業分類(NOC)は、2,945種の職業を業種、任務、職務遂行上の機能等を総合的に鑑みて分類化している。この中で、必要な技能水準が職種間の関係を決定するための重要な要素を担う。
  2. ITI/ITCにおける職業・職種リスト
     ITI/ITCにおける職業・職種リストは、各機関、州の管轄局ウェブサイトを参照。
  3. 2009年10月6日現在のモジュール式雇用可能技能制度によるコースのリスト
     このコースは下記のウェブサイトで一覧を見ることができる。
  4. NIOSにおける職業分類
     このコースは下記のウェブサイトで一覧を見ることができる。
  5. 建設産業振興協議会(Construction Industry Development Council:CIDC)によるコース
     現在、CIDC-IGNOU制度の下で、37の職種がカバーされている。当コースは、建設労働者職業資格プロジェクトの一部であり、インディラ・ガンジー国立オープン大学(Indira Gandhi National Open University:IGNOU)と建設産業開発機構が共同で実施している。

4.1.3 利用状況

 DGET、NIOS及びCIDC等の個別制度は既に実施中であり、その利用状況については関連ウェブサイトに掲載されている。これら訓練制度は、それぞれ異なる政府機関で設定され、承認されているが、多くはお互いに独立しており、国家基準と呼ばれるには公式及び非公式部門のすべての労働者に適用できるよう統合される必要がある。また個人が、世襲的、公式的あるいは非公式、通信教育あるいは前職での経験等から得た能力に関しても、資格取得が可能とするべきであり、また、資格取得に年齢制限は不適切である。これらの問題点は、諸機関、諸団体により検討され提案もなされているが、現在のところ国家的職業訓練基準はまだ作成されていない。

4.2 職業能力評価・資格制度及び実施状況

4.2.1 制度概要

 国家職業能力開発制度には、その各構成分野に関し下記のようないくつかの試験及び認証制度がある。

  1. ITI・ITCにおける職業検定及び認証制度
     2008〜09年のインド政府労働雇用省の年次報告では、DGETによる通常の職業検定及び認証制度に言及しているが、この制度の下、全インド職業検定(All-India Trade Tests:AITT)がNCVTの後援で毎年1月と7月に実施されている。AITTは、職工訓練制度の下でのITI・ITCの訓練生に対して実施されるが、中央で統一的に企画され、所在地の州政府が支援及び管理している。当該職種の訓練生及び有資格の個人がこの職業検定を受験し、合格者には国家職業証明書(National Trade Certificate)が授与される。当証明は、中央及び州政府機関、公営企業において、該当する担当職種の求人の際に資格として認定される。
     すべての州のITI・ITCにおいて職業検定が実施され、試験は英語及びヒンディー語で実施される。試験科目は以下のとおりである。
    • 職種に関する理論(特定の職種)
    • 職種における実務(特定の職種)
    • 実務計算と科学
    • 機械製図
    • 社会科

     上記5項目については筆記試験が課せられ、職種における実務能力については実務試験によって測られ、口頭試問も含まれる可能性もある。規定の期間内に訓練を修了し、出席率が80%以上の訓練生が受験資格を得るが、AITT試験には個人の参加規程もある。ただし、個人の場合には、企業労働者あるいは研修中の徒弟訓練生、訓練指導者等の特殊な分野の応募者で、各々の職種で最低5年の経験が必要であり、かつその経験に関しても政府企業または著名な企業等という条件が付けられる。この国家職業資格証明書は、国内の雇用市場のみならず外国(湾岸諸国等)でも認知され、インドの中央政府、州政府、関係省庁、公営企業においても資格として認められている。2009年8月より品質ツール、IT能力、言語がNCVTによりすべての職種に追加された。

  2. 徒弟訓練制度の下での職業検定
     徒弟訓練制度の下で、NCVTは1年に2回、徒弟訓練工のために年2回AITTの試験を実施しており、合格者に国家徒弟訓練証明書(National Apprenticeship Certificate:NAC)を授与している。この証明書は、インドの政府関係省庁、公営企業において雇用の際の資格として認められている。職工訓練制度及び徒弟訓練制度に関して、職業検定受講可能な資格は下記のウェブサイトに記載されている。
  3. 技能開発イニシアチブ(Skill Development Initiative:SDI)での認証制度
     DGETの技能開発イニシアチブ(SDI)では技能を持つ個人が試験を受け、証明書が与えられる。この制度は能力基準を高め、認証基準を発展させる能力の強化を目的としている。非公式に獲得した技能に対する試験と証明を行う。受講者の技能に対する試験は訓練を提供する機関に含まれない独立した認定機関により実施される。この制度の本質は国内、国際的に認められた証明である。この制度では官民提携モデル(Public Private Partnership)を採用しており、試験及び証明書授与の対象となるグループは単純労働者、学校中退者、失業者及びITI訓練修了者である。
     この制度で職業訓練を提供する機関の品質を保証するため、訓練提供機関が提供した訓練の結果に基づき、訓練機関の実績が詳細にモニターされ訓練提供機関に等級が与えられる。この訓練提供機関として登録するため、応募機関は訓練に必要な訓練インフラを保有している証明書を提出することが要求される。仮に必要なインフラなしで訓練コースを開始したことが分かれば登録が取り消される。評価を行う認定機関に関する条件は下記のとおりである。
    • 認定機関は、DGETにより割り当てられた州及び部門に関して試験を実施する。試験は、DGETに承認された部門におけるMESコースのみに対して実施される。
    • 認定機関は試験センターのリストを公表し、分野別・地域別評価担当者名簿を決定する。
    • 認定機関あるいは指定訓練センターが受験料を徴収し、インターネットベースの制度上に受験者を登録する。
    • 認定機関は、登録データの処理を行い、訓練センター、日時等の詳細が記された受験票を受験者へ送付する。
    • 訓練センターでは、認定機関からの指示に基づき試験に必要な準備を行う。
    • 認定機関は評価担当者の指導のため、評価指針及び採点手順を用意する。
    • 認定機関により任命された評価担当者により、訓練センターでの試験が実施される。
    • 合格者に対しては、NCVTにより発行される証明書が授与される。

    下記の各機関が認定機関としてDGETにより認可されている。
    • インド産業連盟(Confederation of Indian Industry:CIA)、ニューデリー
    • インド商工会議所(FICCI)、ニューデリー
    • バンガロール商工会議所、バンガロール
    • 建設産業振興協議会(CIDC)、ニューデリー
    • インド訓練開発協会、ニューデリー
    • Akhil Bhartiya Mishthan Namkeen Vikreta Mahamandal(全インド菓子・調理品販売連盟)、ニューデリー
    • Transtia-Fnf、サービスセンター、チェンナイ
    • KITCO Ltd.、コーチ
    • APITCO Ltd.、ハイデラバード
    • 起業家育成センター、ボパール
    • ITCOTコンサルタンシー&サービス社、チェンナイ
    • The Lancer Technologies、ニューデリー
    • The Indian Institute of Welding、コルカタ
    • Eduquity Career Technology(P)Ltd.、バンガロール
    • Star Projects Services(P)Ltd.、ニューデリー
    • Federation of Indian Women Entrepreneurs、ニューデリー
    • Merit Trac Services(P)Ltd.、バンガロール
    • Apparel Export Promotion Council、グルガオン
    • India Skills(GISS)、ニューデリー
    • Human Potential Development Centre、コルカタ
    • Akruti Citygold Institute、ムンバイ
    • Bureau of Skills Assessment、バンガロール

  4. 国立オープンスクール協会(NIOS)による試験及び証明書
     NIOSは、オープンラーニング※1機関であると同時に試験実施及び資格証明を行う権限を持つ。インド政府はNIOSに対し、学位コース前の段階までの職業、技術及び学術コースにおいてNIOSに登録した学生への試験実施及び証明授与の権限を与えている。同機関での職業訓練コースに対する最終評価認定は、実務試験、内部認定、訓練記録、プロジェクト及び各期末に実施される公開試験を通じて行われ、教育コースを終え、準備ができた受講生は、自由に公開及び実務試験を受験することができる。NIOSは、認定した職業訓練学校が実施する定期試験、口頭試問、学習課題及びプロジェクト等をベースにした、各コースの内部評価に関する規則を定めている。内部評価に合格することが試験の合格の条件であり、NIOSの試験は、3〜5月、9〜11月の年2回、実施される。理論及び実務試験の時間、各試験科目の配点等の詳細に関しては、試験案内書に記されている。なお2004年3〜5月の試験から、NIOSは、評価のための直接的な等級付け制度を導入しており、資格証明取得には、理論、実務及び学内認定それぞれの項目で、少なくともE等級(平均レベル)の取得が必要である。
    ※1
    オープンラーニングとは、狭義には放送学習を指すことが多く、広義には学習者のニーズや生活実態に応じて、さまざまなメディアや学習方法を組み合わせた、学習者が主体となって行う学習をいう。

  5. 建設産業振興協議会(CIDC)制度の下での認証制度
     CIDCは、中央政府の計画委員会により設立され、建設産業における訓練と技能開発のニーズに重点が置かれている。CIDCの主要なイニシアチブのひとつに、47職種に関する建設労働者及び現場監督の訓練及び証明書の発行がある。訓練コースの内容は建設産業市場及び各地域の潜在需要を理解している建設産業界あるいは顧客の要求に基づき開発される。種々の分野の建設労働者に対する技能開発、訓練、試験、証明の一連のプロジェクト実施が1つの重点部門である。コースに対する証明書がCIDC及び労働省、CIDCとアッサム州中央大学の後援の下で提供される。制度では受講者の訓練進展度合いを常に評価し、中間試験及び最終試験が実施される。訓練、試験、証明についてはいくつかの州政府機関と協力している。CIDCは、インディラ・ガンジー国立オープン大学(IGNOU)と共同で意欲的なプロジェクトをスタートさせた。このCIDC-IGNOUプロジェクトは下記のような特色を持っている。
    • 収入減を最小限にするためOJT訓練が中心
    • 受講が容易なパッケージ型プログラム及び単位制の採用
    • 建設業界の要求に沿った統一的教育細目及びコンピテンス基準
    • IGNOUが開発した近代的な訓練提供技術
    • 実務専門家及び訓練担当者、教育者等を含む委員会による、客観的な認定試験
    • 既存の訓練機関・企業により提供される訓練及び試験の後方支援。これら機関は、当制度のもとで、地域における構成機関(Constituent Institutions:CI)あるいはパートナー機関(Partner Institutions:PI)になることができる
    • 雇用主には試験及び証明に関わる費用負担や、資格を得た労働者の昇給、昇進等を保証するよう要請される。また雇用主は、同じ職場における労働者の技能向上のため、資格を得た労働者を指導者あるいは実演担当として活用することも可能である
    • IGNOUによる証明:基礎的教育レベルを保有する応募者に対しさらなる教育(大学、カレッジレベル)の機会を与える

     このプロジェクトは建設労働者の技能開発を目的に、通信教育を通して実務能力を基準とする職業訓練、評価及び証明を提供することを目標としている。導入段階として当プロジェクトでは、一般石工、バーベンダー加工、型枠大工及び一般作業監督の基本的能力を対象範囲とする。また、当プロジェクトの実施にあたっては、インド建設業協会(Builders' Association of India:BAI)、国立ビル建設公社(National Building Construction Corporation:NBCC)及びハイデラバードの国立建設アカデミー(National Academy of Construction:NAC)の支援を受けている。CIDCはさらにDGETにより、39業種について建設労働者の技能を証明する機関に指定されている。種々の職種において建設労働者の訓練、証明のため19機関を設立している。

  6. DOEACC制度の下での証明
     DOEACCの制度の下では、コンピュータ関連技能に関して以下の資格認定がある。
    【O(基礎)レベル】
     Oレベルは、受講生の能力基準が「プログラマー・アシスタント」レベル、もしくはそれと同等のレベル達したことを証明する。実施されるコースの条件は、期間が1年以上かつ平均的な学生が1年間パートタイムで学習するのと同等のレベルが要求される。入学資格は、中等教育12学年を修了した者あるいはITI試験合格者となっている。
    【A(上級ディプロマ)レベル】
     Aレベルは、受講生の技能が「プログラマー」として認められることを証明する。訓練期間で実施されるコースの条件は、期間が1年以上かつ平均的な学生が1年間フルタイムで学習するのと同等のレベルが要求される。入学資格は、理工科技術者専門学校ディプロマ取得者、大学卒業資格者または上記のOレベル資格証明取得者である。
    【Bレベル(コンピュータ・アプリケーション修士と同等)】
     Bレベルは、受講生の習熟度が、システムアナリストあるいはソフトウェアエンジニアレベルであることを証明する。認可された訓練機関で実施されるコースの条件は、期間は3年以上かつ平均的な学生が3年間フルタイムで学習するのと同等のレベルが要求される。入学資格は、技術者専門学校学位取得者、大学卒業資格者または上記のAレベル資格証明取得者である。
    【Cレベル(技術修士と同等)】
     Cレベルは、受講生の習熟度が、システムマネジャーレベルであることを証明する。実施されるコースの条件は、資格認定された機関において、期間は18カ月以上かつ平均的な学生が18カ月フルタイムで学習するのと同等のレベルが要求される。

  7. NASSCOMの国家能力評価の下での試験及び認証
     NASSCOMは、インドの全国ソフトウェアサービス企業協会であり、NASSCOMの能力認定(NASSCOM Assessment of Competence:NAC)は、IT関連サービスやBPO(Business Process Outsourcing:業務委託)業界に対し、認定された高品質の人材の送出を目的に、人材の能力水準を認定するために創設された業界による資格認定基準である。この全国の基準となる評価を通じて、主要な技能に関する就職希望者の継続的な評価を実施し、企業にとっては就職希望者の選抜が容易となり、また求職者に必要とされる訓練の分析も可能となる。NACを通して評価される技能は、1)会話、2)ヒアリング、3)分析及び定量的思考、4)筆記(択一式及び小論文)、5)学習能力、6)キーボード技能(データ入力とそれ以外)である。

    表4‐1 NASSCOMの能力認定試験
    テスト名 能力認定
    ヒアリングとキーボード技術 アクセントの理解力、ヒアリング、
    キーボードの操作技術
    会話力 文法、文章の構成
    英会話 会話の明確さ、流暢、語彙、文法、文章の構成、アクセント、理解力
    理解力と記述能力 メッセージの理解
    Officeソフトウエア使用 MS Office、走査検索
    計算と分析 計算能力、理論推理、理解力
    集中と正確性 プロセス順守及び細部にわたる注意力
    ※出典:
    NASSCOM,
    http://chdit.nic.in/nac_test.pdf

     NACはIT業界が必要とする認定され、かつそれが証明された人材を企業が創出することを支援するもので、また、初級の就職者に対する全国レベルの基準を提供するものである。ITeS-BPO産業への就職志望者に必要な訓練の自己評価能力を提供し、NASSCOMの下で全国レベルで証明される機会を提供している。NACは、同業界が認証により適切な人材を雇用することを支援する、広大な訓練の後方支援枠組みを提供している。また、応募者や訓練企業に必要な情報を提供している。さらに、教育機関や、大学はこの認定を基にIT業界の変化の傾向に応じカリキュラムの作成で提携している。

     職業訓練機関に対する認定状況、特定のプログラムの認定、技能評価制度(テストと証明)の要約は表4‐2のとおりである。

    表4‐2 職業訓練機関、訓練プログラム及び技能評価制度
    職業訓練制度 制度推進機関 所管政府機関 訓練機関・訓練プログラム
    モジュール式MESによる技能開発推進 労働雇用省/DGET DGTE MES傘下のすべての訓練提供者
    職工訓練制度 DGET、諮問機関としてNCVTと共同 中央政府が制度設計するが各州政府により運営管理 ITI/ITC
    徒弟訓練制度 DGETが諮問機関である中央徒弟審議会と実施 DGET管轄の徒弟訓練局及び各州徒弟訓練局 認定された企業
    NIOSによる職業プログラム NIOS 人材開発省により認定されたNIOS傘下の機関 NIOSが訓練機関を承認し、また、試験・資格証明の基準を設定に責任を持つ。
    コンピュータ関連コース制度 DOEACC認定の訓練機関 IT庁 DOEACCにより認定された訓練機関。訓練コースはOからCに技能レベル
    CIDC制度による訓練プログラム 建設産業開発発展審議会(CIDC) 国家計画委員会 認定を受けた建設会社。建設労働者の雇用主。訓練を提供する建設業種。
    BPO企業従事者に対する能力試験の国家評価認定(National Assessment of Competence:NAC) NASSCOM NASSCOMは独立機関であるがIT省と緊密な協力を行い実施 NASSCOM は、技術評価委員会を通じて実施されるオンライン試験の評価、認定に責任を持つ。

4.2.2 評価の実施状況

  1. AITTの合格状況
     当テストの合格状況を公表する全体的な制度はないが、ILO(国際労働機関)が行ったサンプル調査では、3州(オリッサ州、アンドラプラデッシュ州、マハラシュトラ州)での合格率が割り出され、62.9〜88.3%と報告されている。

  2. 徒弟訓練制度における合格状況
     2003年4〜5月に実施された職業検定では、中央政府国営企業における7,264人の徒弟訓練生が受験し、このうち6,304人が合格した。同様に、2003年11〜12月に実施された職業検定では、中央政府分野における1万202人の徒弟訓練生が受験し、このうち9,072人が合格した。したがって、当分野での合格率は、それぞれ87%、89%となっている。一方、州政府関係及び民間企業は、2003年4〜5月は3万2,456人が受験し、1万7,709人が合格、2003年11〜12月は3万6,068人が受験し、1万7,939人が合格している。したがって、州政府関係及び民間企業の合格率は、それぞれ55%、50%に過ぎず中央政府部門に比べ合格率は低くなっている。このことから、国営企業での訓練が州及び民間と比較して品質的に良好であることが考えられる。

  3. 世界銀行職業訓練改善プロジェクトにおける合格状況
     このプロジェクトにおける2008年の広範な基礎訓練(Broad Based Basic Training:BBBT)の合格率は平均で74.4%であった。

  4. その他の制度の合格状況
     本報告書で取り上げたその他の証明制度の試験結果に関する情報は、ウェブサイト等には公表されていない。

4.3 相互認証

 技能資格を相互に証明するためのインドと諸外国との間の公式な協定はない。また、インド企業に職を求める外国人の技能証明に関わる特定の基準について、インド政府及び州政府の制度規定も存在しない。したがって、多くの雇用主は、特定の業務に必要な資格証明のみを応募者に要求し、外国の資格証明を持つ応募者を雇用するかは個別に対応している。ただし、NCVTによる国家職業資格証明書は、インド労働市場及び外国(例えば中東諸国)でも受け入れられており、中央政府、州政府の各部局、公営企業では資格として正式に認められている。インドから英国、シンガポール、日本、米国、カナダ及び中東に移住するインドの技能労働者の移住に関する状況は、以下のとおりである。

  1. 英国
     「A Points based System:Making Migration work for Britain」という文書に、英国が段階的に導入する5段階の枠組みに関する要点がまとめられている。5段階は表4‐3のとおりである。

    表4‐3 英国の5段階ポイント制度
    段階 説  明
    1 経済成長と生産性向上に寄与する高度技術者。(この場合スポンサーは要求されない)
    2 英国の労働力格差を埋めるため就職の提案を受けている技能労働者
    3 特定の一時的労働力不足を埋めるための限定された人数の非技能労働者
    4 学生
    5 非経済的目的を満たすため、限定期間英国においての就業を許可された青年の移動と一時的労働者

     第1段階の制度は2008年4月に導入され、第2、第5段階は2008年11月に導入された。しかし、第3段階は英国政府が国内及びEUから、該当する労働者が十分供給されると考えており、変更はなく、現状維持されている。第1段階を除きすべての段階でスポンサーが必要とされる。スポンサーとなることを希望するすべての企業は、英国における政府関係当局に登録し、4年ごとに更新される免許を取得しなければならない。スポンサー希望企業は、当該技能ポストを自国の労働者で埋めることが不可能で、かつ英国において求人広告が行われいることを証明する必要がある。各段階において申請者は、英国への入国あるいは残留資格を取得するために十分なポイントが必要となる。既に英国に在住する外国人労働者も、残留のためには再度ポイント制度のもとで資格を取得する必要がある。

  2. シンガポールとの包括的経済協力協定
     インド‐シンガポール間の包括的経済協力協定の下で、インドの大学助成委員会 (UGC)により特定された学位及び承認された大学、あるいはUGCにより大学と同等と看做された大学及び研究機関による学位及びインド国家重点研究機関(Institute of National Importance of India)での学位、及びシンガポールの大学からの学位は両国それぞれの大学への入学許可の際に資格として認められる。ただし、インド及びシンガポールの各々の教育機関により規定される学位以外の入学条件、あるいは要件が免除されるわけではない。

  3. 日本との相互技能協定
     インド・日本の両国は、DOEACCの「インドIT技術者試験」及び「日本のIT技術者試験」を相互認証している。この相互認証への前進は、インド・日本両国間の急速な連携強化の証となっている。

  4. 米国及びカナダの就業資格取得における問題
     インドの技能専門家が米国及びカナダに移住するための資格証明は、問題の中心ではない。歴史的に両国における移民受入は、技能労働者が不足する職種の範囲のみで許可されてきた。1965年の米国の移民法により規定された「労働証明書」の導入は、移民が米国において必要とされる技能を持ち、米国民から職を奪わないことを明確にすることが目的である。その後の1986年移民コントロール法及び1990年の移民法では、その受け入れの水準をさらに高いものにしている。カナダの移民政策も同様の基準を採用し、同国で需要のある労働者に対してのみ移住を許可している。

  5. 中東各国の相互認証資格の問題
     歴史的に、公式、非公式な手段を問わず中東諸国に移住し、大手石油企業に雇用されないインド人労働者は、最終的に未熟練労働者の範疇に組み込まれる。多くの場合、労働者がインド職業訓練機関の有効な証明書を保有しているにもかかわらず、このような状況は発生しており、大多数が未熟練労働者あるいは半熟練労働者の範疇に属し、技術専門職、経営管理職は移住労働者中わずか10〜14%程度に留まっている。

  6. 相互認証資格に関わる全体的な状況
     上述のほぼすべてのケースにおいて、技能の相互認証は、熟練専門労働者の雇用に影響を及ぼす中心的な問題ではない。英国、シンガポール及び中東諸国は、インドの熟練労働者の移住を奨励しているが、英国は求める技能レベルを明確に規定せず、高水準の資格に高得点を付与する形態をとっている。またシンガポールは、資格を持つ人材を要求しており、両国間の協定では大学の学位については相互認証を実施しているものの技術者水準の技能を有する人材には言及していない。中東では、技術者水準の技能労働者に対する需要は高いが、資格証明書が熟練レベルに相応の雇用を保証するものとはなっていない。米国、カナダにおいてもインドの熟練技能者の需要は高いが、基本的にはソフトウエア技術者が中心とされている。また両国では、自国民の仕事が奪われることのないよう、インドの専門家の移住について規制の必要性を考えている。一方、英国では、英語能力の高い技能専門家を重視する方向で、その目的のための評価試験を実施している。

  7. アジア太平洋地域での技能開発協力の枠組み
     インドを含むアジア太平洋諸国は、ILO支援によるアジア太平洋地域技能就業能力計画(Regional Skills and Employability Programme for Asia and the Pacific:SKILLS-AP)の法制化に合意している。当プログラムは、同地域全般において技能開発分野における知識及び経験を共有するビジョンの実現のため、必要とされる情報の識別、協力の機会及びその他現実的な手段等の課題を委託されている。特に、加盟国間での資格の相互認証に関していくつかの情報交換のテーマが提起されているが、それらは以下のとおりである。
    • 技能及び資格の相互認証の達成
    • 国家資格認証枠組みの開発方法
    • アジア地域における能力基準の設定
    • 職業訓練、認証及び資格の相互認証に関わる国際的な指標の設定
    • 職業訓練機関と達成された資格に関する保証

  8. 国家資格承認の枠組みに対するILOのガイドライン
     ILOは政策当局が国家資格認証枠組みをデザインする場合のガイドラインを打ち出している。1つ目のポイントは、技能、知識、能力基準を目標レベルに合わせて開発、等級化、承認するための手段であり、学習の結果により既存の等級及び新しい等級を作り上げることである。資格承認枠組みは、職務・産業部門、職業訓練機関や教育機関を超えて、個人があるレベルから他のレベルに進むことが可能な資格の比較可能性を示すものである。枠組みの範囲はすべての包括的な学習達成とその道筋であり特定の部門に限定される。いくつかの枠組みは法的基準を持つが、その他は社会的パートナーの合意に基づく。すべての枠組みは国内及び国際的を問わず労働市場における資格の認定に、アクセスの容易性、連携及び資格認証を改善する基礎を示している。
     NQFの価値は生涯学習、技能の認定、あるいは教育の品質の改善、職業訓練を改善するための政策の終着点に寄与する潜在性の中にある。したがって、そのデザインはそれが実行される内容を支援するための目標に関するべきである。NQFは固定された、あるいは普遍的な性格を持つ存在ではない。NQFを構築する最も有効な手段は、枠組みが有する性格についての考え方を設定するのではなく、明確な政策手段から始めることである。枠組み開発の最初の基本的な要素は達成されるべき一定の学習レベルを開発し、そのレベルへの等級を設定することである。レベル数の決定における最初のポイントは、主要な資格とその相互の関係について関係者間の理解を持つことである。多くの枠組みは8〜10のレベルに分けられる。
     2つ目には、品質に対する保障で、資格の有効化、基準、認定及び教育、研修機関の認証、及び資格を与えるための評価に対する品質の保証が重要である。草の根レベルで品質に対する責任を持つ場合にのみ品質の改善の文化が作られる。政策作成者の目的は利害関係者と協力し、品質に対し教育機関が責任を担うように促すことである。
     そのほか、ガイドラインでは下記を強調している。
    • 一定の国におけるNQFの目的とその内容は何か
    • NQFをデザインし、導入するための戦略は何か
    • 制度のレベルをどのように開発すべきか
    • NQFの品質をどのように保障すべきか
    • 資格は結果をベースとしたものか
    • NQFの資格認定にどのような認定制度を使用するか
    • モジュラー式の資格であるべきか

     ガイドブックでは、オーストラリア、南アフリカ、アイルランド、ニュージーランド、トリニダード・トバゴにおけるNQFレベル制を引用している。

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