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アラブ首長国連邦(UAE)

アラブ首長国地図
    作成年月日:2012年4月

    海外情報プラス

    2001年から10年間、UAEで勤務したT氏からの報告


    --特徴的な制度--
    個人にも法人にも所得税が掛からないUAEは、比較的安い人件費、光熱費、通信費等と相俟って、外国からの事業者にとって有利な要素が沢山あります。しかしながら、自国民が全人口の20%に満たないこの国には、特徴的な制度と不都合も少なくありません。
    先ず、会社を設立するには、UAE国籍を持つ人(スポンサー)が51%以上の権利を所有しなければなりません。(アブダビ、ドバイなどにあるFree zone(免税地域)を除く。 この免税地域についての説明は別の機会に譲ります。)当然のことながら、利益の51%は彼等のものです。それが「税金」と考えられなくもありません。
    更に自国民には、現代において他国では到底想像も出来ないような多くの特権が与えられるので、結果として彼らは(男女共に)きわめて高学歴であり、肉体労働には一切見向きもしません。従って、少しでも身体を動かす仕事は外国からの出稼ぎ労働者に委ねられます。下は道路清掃、ゴミの収集から、バス・タクシーの運転手、港湾や工場・建設現場の労務者、レストランのウェイター・ウェイトレス、熟練工から非熟練工まで100%が外国人です。従業員が数百人以上の大工場でも、工場長クラスでさえ外国人(英米人、インド人を含む)です。

     
    アブダビ新都心の開発(2011年8月撮影)

    --従業員気質 「約束」とは?--
    ホテルとかレストラン、銀行などのサービス業でも、彼らにとって御客様は「神様」では決してありません。顧客満足、おもてなしの心などという訓練・教育に関しては、日本から3−40年遅れているでしょう。
    彼らにとって大切なのは、自分の昇給と昇進のチャンスを握っている上司なのです。従ってUAE内の下請業者に何らかの仕事を注文する場合、日本とは全く異なった覚悟と注意が必要となります。彼らの営業担当とか実務レベルの担当者は大部分がインド人なのですが、殆どのインド人は約束を守りません。
    電話やNetで済むホテルの予約や、レストラン・航空券のBooking等は、まず何の問題もないのですが、業者への依頼よる見積もりの提出や家の中の簡単な修理の依頼などでさえ、約束通りに実行されることは殆どありません。 
    約束の前日に「明日は大丈夫だね。」と念を押し、「OK, Sir!」言われても全く安心出来ません。その日になって、「あと、1時間以内に必ず」と言われて、それから更に丸1日待たされたこともあります。彼らの遅れの言い訳は「交通渋滞」、「子供や妻の病気」、「停電」、「PCの不調」、「Faxの故障」、とにかく色々です。
    一番厄介なのは、「自分はすべて準備を終わっているが承認する上司がいないから送れない。」、「いつまでだ?」と言うと「上司の行動まで自分は承知していないし、管理もできない。」としゃーしゃーとしていることです。そして決して「Sorry」とは言わないのです。
    余談ですが、筆者が10年以上雇っていたインド人の秘書(中年の女性)は決して礼儀を知らない人ではありませんが、「Sorry」と言ったのは筆者の親が亡くなった時だけでした。それは謝罪でなく御悔みです。
    病気で休む、バスが遅れて遅刻する、タイプミスをする、そのようなことが頻繁にあるわけではありませんが、とにかく決して「Sorry」とは言わないのです。
    日本人は人に呼び掛ける際にも「すみません!」と言いますが、あれは英語に置き換えると「Sorry]ではなく「Excuse me」ですね。
    とにかく、当然謝るべき状況でも決して謝らないのです。そのことは覚悟しておいてください。

     
    五つ星ホテルの一例(ドバイ) / ロボット操作のラクダもいる・・(手前2頭)

    --業者への業務委託、いつも悩まされることは?--
    それはさて置き、ここでは現地の業者に何らかの業務を委託するケース(例えば加工外注品の制作)について述べてみます。
    特に気をつかうのは、日本人の御客(ユーザー)を連れて、現地業者の工場に製品検査に行く時です。
    日本の御客の感覚では、その時点では何もかも完璧に出来上がっており、工場立会検査は、半ば形式的なセレモニーのようなものですが、一方、UAEでは、業者は「御客が見に来るなら検査は彼らがやるだろう、指摘されたら直せば良い。」という考えです。
    日本ならほぼ常識の、御客用の綺麗なヘルメット、手袋、懐中電灯、手ぬぐい、夏なら冷たい飲み物、などと言うことがまったく念頭にありません。
    必要な図面、仕様書、検査レポートすら、言われて初めてあちこち駆けずり回らなければ揃わない。御客の機嫌が見る見る悪くなるのが分かり、こちらはヤキモキ・・・そんなことがしょっちゅうです。
    業者ごとに、勿論対応は様々なので、それぞれの実力を読み、先を見越して色々と手を打つことが必要ですが、その辺の気遣いに、いつも悩まされます。

     
    オイルヒーターモジュール(例)

    --危機管理--
    上記は物の出来栄えとか品質、それに対する彼らの対応に関することですが納期についても同様のことが起きます。
    契約に完成納期(工期)が明記してあっても、仕様変更や追加要求、その他色々のことを理由にして納期の遅延を正当化しようとするのみならず、追加料金を要求します。
    深夜残業、休日出勤をしてでも納期を守ろうとする姿勢は期待できません。日本におけるような、御客を何よりも大切にする習慣(美徳?)は殆ど皆無です。
    従って契約書の作成と調印に当たっては経験者の助言を得て、十分な理論武装をしておくことが非常に大切です。
    契約書さえしっかりしたものにしておけば、仮に出るところへ出たとしても、当方の正当性を堂々と主張することが可能で、何も恐れることはありません。
    もちろん、裁判とか調停によって第三者の裁定を仰ぐ前に、そのようなトラブルにならないように、日ごろから各業者とも友好的な関係を築いておくことが望ましいことは古今東西どこでも同じことに違いありませんが。


    シェイク・ザィード・モスク (アブダビ)

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