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作成年月日:2019年3月13日

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海外情報-中国2月分

作成者:中国 上海 杉川 英哲
分野:人事・労務、危機管理、法務・税務

総経理の法的定義と責任について

はじめに

先月は日系企業の総経理交代に伴う事前準備についてレポートさせて頂きました。

新たに着任する後任総経理へのサポートの一環として、総経理に特化したレクチャーを行うという内容でしたが、ご参考までに、各社に共通する部分として総経理の定義や責任についてご紹介したいと思います。


総経理の法的定義と実際

総経理は董事会が任免する経営全般の責任者ですが、総経理とは何かを理解するためには、先ず董事会を理解する必要があります。

董事会とは出資者が任免するメンバーにより構成される会議体で最高意思決定権を持つ機関です。経営方針や事業計画、中期・年度計画、資金計画、予算、賃金、年度決算、配当(利益分配)、総経理、副総経理、監事の任免等、重要事項や企業全ての事項に対する決議権を有しています。

 

董事会は通常、年度或いは半期ごとに開催され、董事長、副董事長、董事を設置します。一般的には董事長が法人代表者となり、董事長が総経理を兼任するケースは非常に稀です。但し、董事長以外の董事会メンバーが総経理を兼任するケースは良く見られます。因みに、法人とは法律上で人格化された組織(会社)のことです。

 

日本的な理解では董事会は株主総会と取締役会の両方の権限と機能を併せ持っているとよく言われますが、どちらの性質に近いかは企業や構成メンバーによって異なるでしょう。董事会は出資者の考え方に基づく決議を行うためです。合弁企業では出資比率によりメンバー構成(割合)が決定し、往々にして出資双方の利害関係や思惑が董事会の運営と決議に影響します。この点が独資企業との最大の差異と言えるでしょう。

 

総経理とは董事会の決議に基づく経営方針及び目標を実行、実現する責任を負う経営全般の責任者です。日本的によく「社長」と認識されている所以ですが、英語表記は「General Manager」となり「President」ではありません。

 

実際には、前述の董事会決議の事項中、総経理任免を除くほとんどの事項は、董事会の 考え方に基づき総経理が作成し、董事会に対し提議し、承認を得る(決議)かたちとなります。 董事会が最高意思決定機関、総経理は経営管理(責任)機関という理解です。董事会の開催手配や資料準備等も全て総経理が中心となって行われます。総経理は出資者、董事会の考え方に基づき経営実務に責任を負う一方、董事会に対し経営実務における各種情報や問題の報告及び提案を行い、経営方針等に反映する責任も有しています。

 

また、出資者により株主会(股東会)が設置されることもあります。株主会は会社の最高権力機関(機構)として、董事会メンバー及び監事の任免権を持ちますが、対外的には会社の代表権はなく、内部的に経営業務に直接関与することもありません。独資の場合、通常は本社が株主会に相当する権力と機能を持っています。

総経理の法的責任と業務責任

次に総経理の法的責任と業務責任についてご紹介します。外国独資企業の総経理も中国の会社法(公司法)の規定に基づく責任と権利を有しています。責任とは、董事会及び董事会決議に対する経営責任を指しています。権利とは、上述の責任を負うために必要な権利を指します。具体的には下記8点です。(法文意訳)

 

① 会社の経営管理、董事会決議の実行

② 会社の年度経営計画と投資計画の立案と作成

③ 会社内部管理機関の設置計画の立案と作成

④ 会社の基本管理制度の立案と作成

⑤ 会社の具体的規則の制定

⑥ 副総経理、財務責任者の採用或いは解雇の提案

⑦ 董事会が採用を決定した責任者以外の責任者の採用或いは解雇の決定

⑧ 董事会に授与されたその他の職権

 

総経理の法的責任は上記の通りですが、会社として違法を防止する経営管理業務の責任は総経理が負うことになります。中国の民法上では、違法行為等により会社が起訴された場合(第三者に損害を与えた場合)、法定代表者がその結果に対する責任を負うこととなっていいます。(別途、訴訟代表者を定めていない場合)

一般的には董事長が法定代表者となり法的責任を負うことになりますが、経営において会社が起訴される状況を招いた責任は総経理にあります。

 

今回は総経理の定義をメインにご紹介させて頂きましたが、実務において総経理として知っておくべき内容はこれに留まりません。むしろ、これよりも広く深い知識が必要とされ、その知識をもとに総経理として最も重要な仕事である「判断」を行います。総経理の実務知識については、別の機会にあらためてご紹介できればと思います。

 

以 上