各国・地域情報

中国

作成年月日:2015年11月6日

海外情報プラス

海外情報−中国10月分

作成者:中国 上海 佐藤 忠幸
分野:人事・労務、異文化、その他(企業経営)

何処でも教えなければできない

中国の日系企業を訪問して驚くことは、しつけを含めて社員教育を一切していないことである。

しかし、守衛だけは愛想がよく、対応もしっかりとしている。あとで聞くと守衛は外部の警備保障会社に委託しているそうだ、彼ら守衛は警備保障会社から徹底した教育を受けており、愛想が悪ければ委託先の会社から受託キャンセルされることが怖く、しっかりしているのである。

しかし、構内へ一歩入ると日本人として恥ずかしくがっかりする光景に出くわす。 何故だろうか?

大切な赴任前教育

日本の会社の多くはキチンと社員教育をしている。

しかし、中国へ二階級特進で派遣する社員に対してはそれに応じた教育はしていない。

すなわち、一般社員を部長で派遣する場合には管理者教育を、管理者を社長など経営者として派遣する場合には経営者としての教育はしていない。

そして、中国に来たら「上から目線」で中国人に接し、外部セミナーでも平気で無断キャンセルするような非常識な者が、社長や副社長などの経営者や高級幹部で赴任しているのである。そして「中国人は出来ない、駄目だなー」と嘆いただけで終わらせている赴任者が多すぎる。

したがって、赴任前教育は必須であろう。

しかし、不幸にして教育前に赴任させてしまったら、後でもよいので定期的な教育が必要であり、その予算処置が必要であることは先月も報告したとおり。

会社の電話応対は大丈夫か?

中国では、その会社の教育レベルやしつけ状態、そして管理状態を掴むには、その会社の代表電話に電話すれば一発で分かると言われている。

日本人は言葉の問題もあってか、自社の固定電話に電話した経験が殆ど無い。

しかし、外部からの最初の接触窓口は代表電話である。代表電話の応対の良し悪しで、その会社の管理水準を把握されてしまうという恐ろしい電話でもある。

・ 代表電話が鳴ったら誰から出るのか、その順番は決まっているのか。

・ 電話に出たら、何から話すか決まっているか。・・・社名や自分の部門、名前、時候の挨拶等。

・相手が話したい者や用件を聞く。 話したい者が不在の場合の答え方。・・・折り返し電話させる。何分後に電話をかけてくれ等。

・用件が終わったら電話をどうやって切るのか。・・・相手が切ってから切る、3秒待って切る等

・ 敬語の使い方は正しいか。自社の上司の敬称をどうするか。

など、事前に教育すべき事項は多数ある。 残念ながら日系企業の大半はこれが全く出来ていない。社長と話したくて電話しても、

社長をお願いします・・・「いません」

いつ戻りますか?・・・「知りません、聞いていません。ガチャン」 と切られるだけ。

「中国人はそんな簡単なことが出来ないのかー」と嘆く前に、思い出して欲しい。

日本の数十年前に中学や高校を出たばかりの子供に教育無しで代表電話交換をさせただろうか、電話交換という専門職でなくても、総務や営業の事務員の中でしっかりとした人を選抜し、答え方や電話機の扱いを徹底的に教えてから応対させていたはずである。

教えれば出来るはず

中国人もはしつけやマナーに関わることは、教えない限り出来ないだろう。しかし、教えればきちんと出来ることは当然である。

日本へ来ている観光客を見ていただきたい。

個人の観光客は、日本で働いたり学んだりした経験者が多く、現代日本人よりも遥かにしっかりとしたマナーを身につけている。団体ツアーで来ておられる方も数年前に比べたら比較にならないほどよいマナーである。これは、ツアー先の海外で散々非難されたことから、ツアー会社が出発前に基本を教えていることが大きな原因である。

日本も、数十年前の欧米観光ツアーの多くは「また日本の農協ツアーか!」と馬鹿にされていたものである。

何れも、経済レベルが上がりマナーが自然によくなったという面もあるが、これではいけない、国の恥だと反省し、教えてから旅に出すことから改善されてきたのである。

誰でも何処でも、教えれば出来るのである。

逆に言えば、教えなければ出来ないことは多いのである。

部下が知らない、出来ないのは教えてないということ

日本の「社団法人 日本産業訓練協会」が、日本だけでなく世界で教えているTWI(Training Within Industry=監督者訓練)。その中のJI(Job Instruction Course)仕事の教え方では、次のように教えている。

「部下が知らない、出来ないのは、上司が教えていなかったことだ」

「私はきちんと教えました、出来ないあいつが悪いのです」 

こんな理屈は何処でも通じないことはお分かりだろう。

部下が出来ないのは、部下を非難する前に、教え方が悪かった自分を反省し勉強すべき。これはコミュニケーションの原則と同じである。 中国に限らず、異国に指導者や管理者で派遣するには、もの事を教えられる人、教える必要があることを自覚した人を赴任させるべきである。

 

以 上