各国・地域情報

中国

作成年月日:2015年10月9日

海外情報プラス

海外情報−中国9月分

作成者:中国 上海 佐藤 忠幸
分野:人事・労務、異文化、その他(企業経営)

幹部は尊敬されなければならない

中国にある日系企業の多くは、社長(中国では総経理という)始め大多数の幹部を日本人が占めている。創業当初はやむを得ないともいえるが、中国人幹部がある程度育ってきた段階では本当の幹部で無ければ企業として成り立たないことは日本と同じである。

日本人幹部の行動は常に中国人社員から注目されている。知識や業績は当然であるが、日々の行動や発言の注目度合いは日本にある日本企業の幹部の比ではない。

セミナーの無断キャンセルに見える無責任ぶり

9月に中国蘇州市でOVTA主催の「赴任して1年前後の人」向けの公開講座を開催した。

テーマは「コンプライアンス重視の経営をしよう」である。蘇州日商倶楽部の広報媒体も利用させていただいたおかげで参加申込者は、開催日1ヶ月前には30名の定員に達した。その後の広報活動は手控えた。しかし、当日になってのキャンセル電話が1名、無断キャンセルが6名すなわち20%もの人が来ず愕然とした。

名簿を見直したら、講座対象者は「赴任して1年前後の人」とはいうものの全員が社長をはじめとした高級幹部であった。この講座は早々に定員に達したため参加したくとも参加できなかった人が多数いたはずである。その人に対してどう考えているのだろうか?他人の迷惑も考えず、勝手な行動をする幹部を中国人はどう見るだろうか?この公開講座のお世話をいただいた会社の中国人社長もあきれていた。

日本人の行動は常に見守られている

日系企業に働く中国人の大半は一般社員からこつこつと積み上げて長期間かかって出世していく。しかし、日本人は赴任した途端に経営者か管理者となっている。たとえ日本時代が一般社員であっても二階級以上特進して幹部となって赴任している。

そのことは、中国人の大半が、大株主が派遣している人だから仕方ないと思って我慢していることである。 しかし、だからと言って幹部としての力が無くてもよいとは思ってはいない。自分の上に立つ以上はそれだけの実力を求めることは当然であり、ましてや異国の日本人であるから尚更である。

日本人幹部の行動は、興味とやっかみの目で常に見守られていることを承知しなければならない。

赴任者は見本を示すべき

日本人幹部の行動は、何も業務遂行中だけでなく休憩中も出退勤途上でも街中でも、常に見守られている。監視されているのではなくそれだけ興味の的であるということである。それは自分たちの見本を求めているとも言える。

好い見本となるか、悪い見本となるかは、本人次第である。

好い見本となれば「さすが日本人だ」と言われ、悪い見本を示せば「やっぱり日本人は駄目だ」と言われる。 「さすが!日本人の幹部は違うなー」と言われる幹部を目指して欲しいものだ。

上から目線では経営できない

しかし、残念ながら中国にある日系企業はあくまでも子会社である。昔の商社や銀行でよく言われたことに次の話がある。

ニューヨーク支店長が帰任すると副社長か社長。

上海支店長が帰任すると定年退職か子会社役員。

さすがに最近はこの常識も変わってきたが、中小の製造業においては未だこのとおりであるのは残念なことである。 前記のお世話になった中国人社長とお会いし、日中関係と在中国の日系企業のあるべき姿について議論する機会を得た。無料だからといってセミナーを無断キャンセルするような日本人駐在員は中国人からは絶対に尊敬されない。そういう者が幹部を勤める日系企業の将来性に極めて憂慮すると残念がっていた。

誇り高い中国人と上手に立ち回り、その力を精一杯引き出して立派に経営するには「上から目線」では絶対に不可能である。そして、未体験の国で、未体験の仕事を、未体験の職位・肩書きで、新会社の立ち上げなど満足に出来るわけが無い。 せめて創業期だけでも、現職の高級幹部を、できれば役員クラスを送り込んでいただきたいものだ。

大切な赴任前教育

日本の会社の多くはキチンと社員教育をしている。

一般社員から監督者、管理者、経営者と段階を上がる毎にそれに応じた教育をしているのである。しかし、中国へ二階級特進で派遣する社員に対してはそれに応じた教育はしていない。すなわち、一般社員を部長で派遣する場合には上級管理者としての教育はしていない。それどころか監督者教育すらしていない。

もちろん、中国と中国語についてはある程度教育して送り込んでいるが、管理監督者としての基礎教育がなされていないのでは身につかない。 言語教育などは最後にすべき教育テーマである。

たとえば、会社で何かを話そうとするには、目的がある。叱るのか、注意するのか、指導するのか、諭すのか、それぞれ話が違う。その違いを自分自身で理解した上で、日本語で話を作り、それを中国語に直して相手に話す。通訳を使う場合には通訳が訳せる言葉で話して、はじめて目的が達成できるのである。

そんな時間も予算も無い?

しかし、そんな状態で送り込んでも少なくとも半年から1年間は何も出来ませんよ。

以 上