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作成年月日:2014年10月7日

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海外情報−中国9月分

作成者:中国 上海 佐藤 忠幸
分野タグ:人事・労務、異文化、その他(企業経営)

中国でも5S運動を

5S運動とは、整理、整頓、清掃、清潔、躾(しつけ)の5つのローマ字読みの頭文字をとった企業活動であり、日本の企業人なら誰でも知っているし、多くの企業で取り組んでいる。それが日本企業の発展成長の基礎となっている。中国でも、多くの企業が活動しているが、肝心の日系企業は、一部の大企業を除いて運動は形だけ、実質していないのは極めて残念。

こでも、(本来の)日系企業の強みが活かされていない。

日本の5S運動は躾を基に活動

日本の5S運動は、1950年代60年代に整理、整頓の2Sから始まり、清掃が加わり3Sとなった。後に清潔と躾が加わって5S運動となったが、基本は3Sである。それは日本人特有の親からもらった躾が生活の基礎として、習慣としてあることが前提となっているからである。

時代が進み、1960年代70年代には運動がさらに厳しい躾を求めるようになり、躾が加わり、5Sとなった。後に、他のSが加わり6Sや7Sも生まれたが、躾が運動の中心であり、運動の基礎であることは変わりない。

中国には躾は無い、しかし、諦めるな!

中国で5S運動をしようとした場合、最大の問題は躾である。

なぜなら、中国人には躾(しつけ)という文字も習慣も無いからである。大昔はあったかもしれないが、文化大革命以降それはなくなった。

躾とは、子供が戒律厳しい社会に出て困らないように、恥をかかないようにと親が「仕付ける」ことが語源で「身+美」と日本で作った国字である。自らを厳しく律し、自らの行動(身)を美しくすることである。「あれはいけない」、「これはいけない」、「○○したら罰金」などと言われなくても社会人として守るべきことは自分で守ることが躾である。

中国では「修養」や「素養」などと訳して運動をしているが意味が少々異なる。それよりも何よりも、親からの躾がゼロに近いため、会社で何でも教えなければならないことを認識すべきである。しかし、教えなければ出来ないことも事実であるが、「中国人だから仕方ない」と諦めた企業は終わり。何処でも、誰でも教えれば出来る。

現代の日系企業で指導できる者がいない

日本企業も前記のごとく、1960年代70年代に5S運動を開始した企業が多く、今では大多数の企業で行われている。運動を開始し、ゼロから立ち上げた方は既にリタイアしている。大多数の方は「5S運動はやって当然、空気の様な存在」という環境で育ってきている。もちろん、新入社員にはキチンと教えているし、そのカリキュラムもあるが、職場がそのように出来ており5S運動をしなければならない雰囲気に染まり、いつの間にかやって当然と洗脳される。

したがって、(毎年この専門家を養成している大企業は別として)5S運動を知らない国で(しかも躾ゼロの人を相手に)ゼロから立ち上げることが出来る管理者は、現在の日本本社には存在しない。

既にリタイアした方を顧問で迎えるか外部に指導を依頼しなければ、新たに5S運度を起こすことは出来ない。しかし、そこに費用をかけることを惜しむ企業も多い。

2Sや3S活動は根付かない

では、手っ取り早く2Sや3S運動からやろうとして成功した企業は見たことが無い。整理や整頓、清掃を形や理屈は教えられるが、それを守り育てるのは人である。人を育て律するのは清潔と躾であり、すべての基礎が「躾」である。躾がなくしてどうして整理や整頓が出来るのだろうか?

がんじがらめの規則集を作り、罰金などのペナルティで縛るしかできないだろう。しかし、部下を直接使う立場の班長や組長などの監督者がそれを取り締まることは不可能である。班長が部下の間違いを叱責し罰金を取るなど出来るわけがない。躾のない会社でそんなことをしたら、あっという間に嫌われ者となり会社に居られなくなる。

したがって、規則はあるが全くの空文であり、管理者は「キチンと規則をつくり、守るように指導したから私の責任は果たした」または「うちの社員は規則を守らなくて困るよ」と言い、経営者は「ここは中国だから仕方ない」と言い訳を言って終わりにしている企業が多い。

チームを作り競争させて定着

前各項目で記したような悪い事例の企業は、意外に10年以上前に進出した企業に多い。10年以上も前なら、中国の安くて豊富な労働力を使うだけで親会社へ利益還元できたからであるが、今はそうは行かないことは周知の事実である。

中国だから、安いのだから「品質はどうでもよい」は全く通じない。そんな物は中国市場でも相手にされなくなった。では、日本ですべて全数検査をしてから使ったらどうか?そんなことをしたら中国でのコストメリットは消えてしまう。

だから、社員が自ら作るものに責任を持ち、愛着を持ち、次の工程をお客様と心得、お客様が喜んでいただける物やサービスを送り届ける精神を植えつける必要がある。それが5S運動の基本である。だから2Sや3Sではなく、5Sの全てを一度に立ち上げ、同時並行して指導する必要がある。

そして、5S運動を定着させるには、各職場単位にチームを作りそこの間で競争させ、チームを表彰することが近道である。

以 上