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作成年月日:2014年7月7日

海外情報プラス

海外情報−中国6月分

作成者:中国 上海 佐藤 忠幸

人事賃金制度の改定前に社員教育を

上海のI社は、会社が発展成長するためには社員教育が必要であると改めて判断した。幹部研修は約半年間かけて行った結果効果を感じ、続いて監督者を対象として教育研修を進行中である。日系企業らしさを出し、さらに社員のやる気を引き出すには、階層別研修が欠かせないことと認識をしたのである。当初は次の5項が理由だと思っていたがもっと大きな課題が潜んでいたことが分かった。

・ 中国人は自己啓発の習慣がない

・ 中国では、会社が教育するものと思っている

・ 教育しない会社は、会社としての責任を果たしていないという評価を受ける

・ 教育しない会社は社員から見捨てられ、しかも、優秀な者から先に辞められる

・ 教育していない者はOJTもできない

古い賃金制度の弊害

I社の賃金制度は日本の古い制度(年功序列型・職階別賃金)をそのまま持ち込みそのまま13年経っている。結果は、当然の如く管理者が増えてしまい、組織も膨れ上がる。たった数人の組織でありながら、○○本部であり本部長や副本部長をおき、そしてその下には部長や課長がゾロゾロ生まれるという現象が生まれるのである。

その一方で、管理監督能力とは異なる、特殊な職務遂行能力がある専門職の社員の存在を殺してしまっている。したがって、管理監督者に就けなかった「職人」の多くはその「腕」を見込んだくれた企業に移っている。もちろん、若手の有能な社員は自分の将来に見切りをつけて次から次に去っていく。

この欠陥と弊害は誰でも分っているが、中国人幹部は、誰もそれを改定しようとはしない。

放っておかれる制度疲労

中国人幹部は、何故、制度改定をしないのか?

理由は簡単である。

・社員の既得権を尊重する・・・自分の既得権がもっと大事

・ 楽な道を選ぶ・・・何故自分がやる必要があるか

・労働争議が怖い

・管理者と言っても、雇われ人の私が判断すべきことでは無い
   ・・・ここは日本が経営している会社だよ

結局、中国人幹部は、経営判断はせず日本人経営者にそれを求めるというよりも、任せているのである。

では、日本人経営者は?

彼らの赴任期間の大部分が3年であり、それに気が付かないままに任期を迎えてしまうのである。また気が付いても、限られた任期中に中国人幹部の不人気なことはしたくないし、それは与えられた使命とは違うのでやらないという判断をしてしまう。

たまに問題に気がつき改定しようとしても、自分では出来ず、それを任せられる中国人部下もいない。外部へ委託しようにも親会社はその予算をくれない。本社の人事担当者を派遣して改定をさせている会社もあるが、日本の人事担当者が中国でまともな制度を作れる訳がなく、中途半端な改定でお茶を濁しているのが実態である。

I社に限らず、日系企業の人事賃金制度は古いままが多く、それが故に不人気な企業が多い。これは、反日運動や労働争議に口実を与えている。

教育をしない限り制度改定もできない

このような現状で、人事賃金制度を能力主義に変えようとすると、既得権を得ている永年勤続者の猛反発を受けることは間違いない。しかも永年勤続者の大部分が幹部である。

制度改定をする前に意識改革をし、公平・公正・透明な人事賃金制度の必要性を階層別に理解させなければ絶対に不可能である。

社員の誰しもが高給を望んでおり、遣り甲斐のある仕事も欲している。しかし、原資は無限にある訳では無い。能力の高い者よく頑張った者を高給で優遇するためには、逆の者は減給か昇給ゼロとしなければ原資が続かないことは、幹部として処遇しているなら説明すればよく分ってくれる。(幹部としてその責任を果たしているかどうかは別であるが)

理屈として分ってくれても、会社が社員教育するという責任を果たさない限り、彼らも自己責任を果たそうとはしない。当然、人事賃金制度の改定に対して幹部は他人事となり、制度改定は成功しない。

幹部の大多数が、人事賃金制度をあるべき姿に変えることに積極的に賛成し、自ら推進役にさせる為には幹部教育が重要な地位を占めていることを再確認したい。

以 上