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作成年月日:2014年6月7日

海外情報プラス

海外情報−中国5月分

作成者:中国 上海 佐藤 忠幸

教育しなければ優秀な者から辞められる

上海のI社は、社員の更なるやる気を引き出し、会社が発展成長するためには社員教育が必要であると改めて判断した。現在、幹部研修は約半年間かけて行っており、それなりに効果があるので、それを監督者にまで広げて行く予定である。費用はかかるものの、日系企業らしさを出し、さらに社員のやる気を引き出すには、階層別研修が欠かせないことと認識をしたのである。

中国人は自己啓発の習慣がない

日本企業は、会社としての集合教育は一部の企業しか行っていない。しかし、意識はしていないが個別にはしっかりと教育を行っている。先輩から後輩へ、上司から部下へと伝統的につなげられているものがある。古い徒弟制度の名残だというご批判もあるが、大部分の企業ではそれがよき制度へと発展している。しかも、それを吸収し発展させる基礎を個人が「自己啓発」で身に付けているのである。

中国には、その自己啓発という習慣がない。したがって、一般的には仕事の学び方や勉強の仕方まで誰かが教えなければ理解し、吸収できない。

中国では、会社が教育するものと思っている

中国の、ある人材会社の求職者登録時のアンケートで「貴方はどういう会社に入りたいですか?」の答えは、@賃金の高い会社、A将来性がある会社。ここまでは当然の結果と言えるが、意外にもBは、教育制度がしっかりとしている、または教育制度が充実していること、である。

 誰のアンケートでも、必ず上位に社員教育に関するものが入っているのである。

 すなわち、中国人は、会社や上司は教育してくれるものであり、自分を伸ばしてくれるものとして期待しているのである。

それどころか、会社は社員を教育する義務を背負っていると思っている。入社面接で「○○はできるか?」と聞くと、絶対にできないことでも「今は知らない(できない)が、教えていただければできます」と自信満々に答えるのが一般的である。

教育しない会社は社員から見捨てられる
しかも、優秀な者から先に辞められる

若い中国人の会社に入る目的は、自分の生活のためというよりも、自分の成長のためである。自分を成長させ、次のステップにしようというわけ。それをしてくれない又は成長出来そうに無い会社には、早々と見切りを付けるのである。

「中国人は直ぐに辞める。だから社員教育はしない」という会社は、ますます辞められる確率が高くなるというわけである。

しかも、残って欲しい優秀な者から見切りを付けられ、残った者は何処にも転職ができない者ばかりという最悪のパターンとなってしまうだろう。

教育していない者はOJTもできない

社長さんと社員教育についてお話していると「我が社はOJTでキチンと教えているので問題は無い」と云われる場合もあるが、しかし、それは(少なくとも中国では)間違いである。集合教育でOJT教育の仕方を学んでいなければ絶対にできない。

OJTとは、(On the job training)の略で、実務を進める中で行うトレーニングを指す。逆のOFF-JT(Off the job training)は、実務とは別に時間を確保して行うトレーニングを指し、集合教育がその代表である。

前記の、先輩から後輩への指導はOJTの一つかも知れないが、教える側の厳しさと学ぶ側の真剣みがあって初めて成り立つ指導方法である。 自己啓発の習慣がない中国では無理なことと考えるべきである。仮にOJT教育ができたとしても、集合教育でなければできない事項が多いことも理解する必要がある。

もちろん、OJTの方が教育に適した項目もある。

教育すべき事項を階層別資格別に列挙し、何と何はどうやって、誰が教育するかという年間教育スケジュールを立て、その中で集合教育とOJT教育に振り分ける作業が必要である。

以 上